T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

井上昭監督「関東おんなド根性」

女組長が強すぎた!代貸の侠気は控えめでメロドラマのヒーローのごとし。

 

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【映画についての備忘録その90】

井上昭監督×安田道代主演「関東おんなド根性」(1969年)

 

江島組二代目組長・江島美樹(安田道代)は、出所して、川崎に帰ってきた。代貸の憲次(吉田輝雄)たちが出迎えに来ていて、その足で同じ川崎の佐川組の組長・佐川剛介(小池朝雄)のもとへ向かう。佐川は美樹の出所を祝う宴をもうけ、賭場も用意していた。そこで、佐川は美樹に、“関東明和会結成発起人名簿”を示し、加入するよういう。関東明和会で関東の博徒を一つにまとめるのだという。暴力組織ではないことを宣言し、新空港の建設の仕事を請け負えるだけの大きな組織にして、これからの時代の関東の博徒の存続をかけるものである。

佐川は“関東明和会”の会長選挙の際には、美樹に自分に一票を投じるようにと言うが、美樹は返事をしなかった。佐川の対抗となるのは若いがやり手と評判の大沢良平(中谷一郎)である。

美樹が賭場を去ろうとする時、賭場にいた客に襲われる。大阪弁を話すその男は筒井(亀石征一郎)といい、大沢組に世話になっていた。翌日、美樹は大沢のもとを訪れる。大沢は建設会社を経営しており、堅気になりたいと言ってきた筒井を受け入れていた。大沢は美樹から事の次第を聞いて筒井を呼び出すが、筒井は何も言わず自分の小指を潰して大沢の元を去る。美樹は大沢と話し、その人物に惚れ、会長選挙の一票を大沢に投じることにする。

美樹の一票が自分の思うままにならなかった佐川は、美樹に言いがかりをつけてきた。美樹を心配する憲治は、美樹が佐川の子分に襲われそうになっているところへ姿を現し、子分を刺して美樹を守った。

この一件で憲治は刑務所へ、美樹は責任をとって関東ところ払いとなる。江島組解散をせまる佐川に対して、大沢が代紋を預って、危機は免がれる。関東を立つ前、憲治の面会に向かった美樹は憲次に恋人の秋子の故郷が石川県だと聞く。秋子は憲治が投獄されたあと佐川に手込めにされ、姿を消していた。

美樹は秋子を探しながら旅をするが、その先でも筒井は執拗に美樹を追いかける。筒井は美樹が潰した組の構成員だったのだ。

旅先の温泉宿にも筒井は姿を現すが、板場の機智で危く難を逃がれた美樹は、隠れた女中部屋で、探していた憲次の恋人・秋子にめぐり逢った。そして再び襲ってきた筒井を倒した美樹は、秋子を連れて八王子に行き、そこから大沢に電話を入れた。憲治と秋子は、電話で愛を確かめ合う。八王子から先へ入れぬ美樹のため、大沢と憲治は車を飛ばすが…。

 

 

 

輝雄さんの仁俠映画、「決着」二作と「仁俠魚河岸の石松」といずれも静かで熱い、侠気溢れるものすーっごいイイ男!この作品も仁俠映画なのでその流れかと思われ、とても観たかった作品。で、直近でCS放送があったわけでもなく、映画館で上映されたわけでもなく、ソフト化もされてないわけなのですが、なのになぜこの映画の感想を今書いているのかと言いますと…‼輝雄様ご本人からDVDを送っていただいたからなのであります("▽"*)

 

「かっこいいよぉ」って感想をひたすら書いてたら、去年超絶至近距離でお話させていただく機会がめぐってきて(//ω//)ゞ

kinakossu.hateblo.j

 

さらに今回こんなことが起き("▽"*)いや、もう、一ファンのただの兼業主婦にこんな素敵なプレゼント!何だこのミラクル!!

 

…は!本題!!映画の感想!

 

美樹は女だてらに関西のヤクザの組を潰して刑に服していたという組長(これ、シリーズ作品のようなので、過去作をさかのぼるとつながってたりするのかな)。

ただ、演じている安田道代さんはあまりドスのきいた感じではなく(比較は「極道の妻たち」の岩下志麻さんなんだけどw)、かわいらしい雰囲気のほうが勝っている感じがします。それゆえ、小池朝雄さんとか取って食っちゃいそう、みたいに見える。

 

でも、一人で組をつぶすくらいなのでめちゃめちゃ強くて、立ち回りがかっこいいです。最初は宴席が開かれている料亭(旅館?)の廊下で筒井に襲われるという、なんとなくありがちに思える所から始まるんですが、旅先の石川県では広い荒れ地で筒井(&同じ元組員の二人も)を相手に戦い、そうかと思うとラストではマンモス団地の前の遊園地(広場?)でたくさんの人がいる前で佐川をおいつめる。しとやかに着物を身にまとっているのに、男たちに一人で立ち向かう姿は、かなりの男前。荒れ地のシーン(TOP画像がそれ)は西部劇のようなかっこよさだし、団地の前の立ち回りは博徒の古い社会と、そういうものと決別しようとする新しい社会との対比のようだし、いずれも印象的(描写が結構グロくて、筒井が指を潰したりとか、美樹が筒井にとどめを刺すシーンとか、ちょっと目をそむけたくなるような絵で、それでまた余計に美樹の強さが際立つというか。仁俠映画って時代劇的な感じだと思ってたのでリアルな感じに驚きました)。

 

 

そんな美樹を支える、輝雄さん演じる代貸・憲治。美樹が不在の間は江島組を守り、彼女が戻ってきてからは陰に日向に美樹を守ります。美樹が会長選挙に出席すると言えば、そこで揉め事が起こって美樹が巻き込まれるのではと心配し、代わりに行かせてほしいという。そして美樹を守った結果刑務所に入ることになっても、関東明和会の今後を思って佐川の工作については口を割らない。親分を慕い、筋を通してまっすぐで、まさに任侠映画のかっこいいアウトロー

 

なんだけど…

美樹が強すぎじゃない!?

憲治が守ってあげなくても大丈夫そうよ?

って感じ。

 

任侠モノ(いくつか見たVシネ含め)のカッコ良さって、命をかけて何かを守ったり、筋を通したりってとこに侠気があってかっこいいと思うのですが、主演(じゃないんだけどw)の「決着」シリーズも助演の「任侠魚河岸の石松」もそういう格好良さを堪能できる作品。が、この作品は美樹が強すぎるせいで、憲治は”命をはって親分を守る”というカッコよさを十分に発揮できない(´・ω・`)

―美樹が強い代わりに(!?)秋子という、憲治にとっての守るべき存在がいます。が、秋子もそんなにか弱そうに見えなくて(これは女優さんのビジュアルの問題で、もっと可憐な感じの女優さんをキャスティングすればよかったのになぁ、と(;'∀')「仁俠魚河岸の石松」の長内美那子さんのハマり具合よ!)。憲治が秋子を身を挺して守るようなシーンもなくて、なんか、…アレ?という感じ―

憲治は美樹に対しても秋子に対しても、侠気的な格好良さよりも、細やかな気遣いのできる優しいいい男、という格好良さのほうが印象深くて。

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ヤクザとは思えないスマートさだよ!

 

女性が主人公の任侠映画を他に見たことがなくて(「女王蜂と大学の竜」は一応、女性の任侠映画??)他作品はどうかとかは分からないので、「そういうもんだぞ」って突っ込みがはいるかもしれませんが。。。美樹に、守ってあげたくなるようなふとした弱さ、みたいなものがあったら組長と代貸の信頼や絆の強さが感じられて、いいのになぁ…、とか、女性を主人公にしてる意味があるんじゃないかなぁ、と思ったり。美樹は一人そびえたつ大きな組長という感じでなんでも自分で抱え込んで解決してしまいます。そのせいで、映画のラストで美樹が単身佐川のところへ殴り込みに行く、その思いの強さがなんかちょっと薄くうつってしまう…。殴り込みに行くのに十分な悲しい理由はあるんですけど。。。

 

 

で、見出し。東映任侠映画アウトローのいい男を演じていた輝雄さんを借りて、大映で作られた任侠映画ですが、どちらかとういうと松竹でメロドラマを演じる吉田輝雄を借りてきました、という感じの役回り。仁俠映画で想像していた無骨な男前ではなくて、女性向け映画の中にいるようなスマートなハンサムでした。予想とは違ったけど結論は結局「カッコよかった!」になるんですけどねーヾ(o´∀`o)ノ

 

 

【本編とは関係ないとこの感想】

映画の冒頭、川崎駅についた美樹を車で出迎える江島組の組員三名。みんな黒いスーツで上空からの引きの絵なんですが、スタイルの良さと立ち姿のカッコよさで顔が写ってなくてもそれと分かる吉田輝雄なのでありました(*´▽`*)


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