T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

山田達雄監督「駆逐艦雪風」

主役のミスキャストが最後まで尾を引く…っていうか輝雄様の!!軍服姿を!!

f:id:kinakokan0620:20200814124049j:plain

 

 

【映画についての備忘録その89】

山田達雄監督×長門勇主演「駆逐艦雪風」(1964年)

 

木田勇太郎(長門勇)は佐世保海軍工廠の工員として駆逐艦雪風を製作する。誰よりも雪風に思い入れが強く、船の設計者山川少佐(菅原文太)を慕う木田は、海軍に応召した。

他の艦で任にあたることになった木田は、雪風に乗る夢があきらめられず、仕事に身が入らない。その思いの強さは第2艦隊司令長官に渡す請願書を準備するほど。そして、念願かなって雪風の乗組み員となった。

日ごとに高まる戦火の中、雪風は無傷のうちに多大な戦果を収めていく。内地に帰還した日、手島艦長(山内明)の家に案内された木田は、艦長の妹の由起子(岩下志麻)に好意を抱く。

昭和二十年戦局は激しさを増す。木田は弟の勇二(勝呂誉)にばったり逢った。特攻隊員として明日をも知れない身。勇二と別れて数日後、勇二の悲報が入った。ちょうど訪れた母にも告げられぬまま木田は、再び雪風で戦場へと赴く。雪風は大和とともに沖縄出撃するが、大和も沈んでしまう。雪風だけが人員救助のうえ帰艦しろ、と命を受け…。

 

 

今年1月の「東京さのさ娘」以来の未見の輝雄さんご出演作品を観る機会がやってきました~!!「駆逐艦雪風」!衛星劇場での放送です。放送されるのを知ってから1か月超、待ち続けておりました( `ー´)ノ 輝雄さんの軍服姿が観られるよ!!という、もうそこが一番の期待!

 

 

映画は防衛庁が全面協力したそうで、導入シーンはこの当時(1964年)の防衛庁の行進の様子や飛行訓練の様子が鮮やかに映し出されていて、戦後の後継のゆきかぜが登場し(映画の最初で丁寧に説明があります)、戦闘のシーンや甲板での会話など、本物の艦船を使って撮っているのだろうなと思われる場面が多々ありました。

実際に艦船(ゆきかぜ?)から魚雷が発射される映像が使われたり、本当に海上をすすんでいる、その波がリアルにうつっているシーンであったり、大きなスクリーンで観たらかなりの迫力に違いない。軍艦やら戦史には詳しくない私ですが(広島旅行の流れで大和ミュージアムに行くくらいには興味はありますが)、そんな私にもやっぱりセットと違うのはわかり、重厚感には「おおっ」となります(逆にセットのシーンがあからさまに分かってちょっと醒める、とかいうのもありました(;'∀'))。

 

 

…が、映画全体としてどうだったかというと、正直なところ消化不良というか、物足りない感じで終了しまして、その要因が、見出し(これまでで1番訳分からん(笑))。

 

まず、スチル写真を観てわかると思うのですが、、、長門勇さん、40歳を超えていそうなビジュアル(実際には調べてみたらこの時32歳だそうで( ゚Д゚))。でも、最初の佐世保の工廠のシーンで、先輩(こちらは役者さんも役も40代くらいな感じ)から若手扱いを受けていて、どうやら20代くらいの設定らしいぞ、というのが分かります(^_^;)

その後、配属された艦で友人となる兵士は三上真一郎さんだし、ほのかな恋を描かれるその相手は岩下志麻さんで、弟は勝呂誉さんで、こりゃどう考えても20代の設定だな、と思うわけです(後半で26歳とわかります)。でも、長門さんはおじさんにしか見えない。。。友人と恋人がリアル20代なせいで余計に増す、おじさんっぽさ(^_^;)映画の中では若いしゃべり方をしているのですが、ちょっとした動作やお腹やあご周りのお肉のつき具合やら、いかんともしがたいのです。映画そのものも戦後に雪風が中国に引き渡されるところ(1947年)が数分あるだけで終わるため、なぜわざわざ木田役を32歳(でも40代に見える(;'∀'))長門さんに演じさせることにしたのか、う~ん。。。

雪風進水式からストーリーが始まるので、雪風が完成して戦場に赴きながら不沈艦として残る様と、若い木田が戦争を耐え抜き生き延びるさまを重ねて描こうとしているのかな、という気がします。キャスティングがうまくいけば、木田のつらさー弟や愛する人を失う悲しみや、自分が生き残っていることへの苦しみなどーを通して、雪風にも人格を見出すようにして、思いをはせることができたような気がするのですが、このキャスティングのせいで、木田が無謀な転職組のようにしか見えず(;'∀')雪風の物語と木田の物語がシンクロしません…。当時の観客には雪風の活躍を補う知識があって、なつかしさとともに観れた作品なのかな、とも思うのですが、今、それを知らない人間が観ていると、雪風をタイトルにつけた価値や意義を、十分に感じ取ることができず。せっかくの迫力のある雪風のシーンがありながら、映画としては十分にそれがいかされてなくてもったいない。。。その他の乗組員のエピソード(孤児院育ちで母親の味を知らない、という仲間や、子供が生まれたその日に敵機の攻撃をうけて亡くなってしまう烹炊長など)も、ただ単独に挿入されているように見え、やはり同様にうまく作用してなくて残念な感じ。

 

 

それでも…そもそもこの映画への期待は”輝雄様の海軍の軍服姿(礼服、でいいのかな)が見られる、よね!!(絶対めっちゃかっこいい!)”というところなのでw 主役のミスキャストには目をつむろう…と思いながら見ていましたwこの映画のビリングの1番最初が長門勇さんと岩下志麻さんで、次が輝雄さん、三上さん、勝呂さんの三人一緒という順番。主役ではなくても出番も多いはず!と。

 

で、90分くらいの映画で最初の20分ほど経過してようやく姿を現す輝雄さん。期待していた礼服姿!やっほい!

f:id:kinakokan0620:20200814125052j:plain

初登場シーン。カッコいい( *´艸`)

しかし、この時台詞なし!キャプチャ画像のこの横の方はめっちゃしゃべりましたけど。輝雄さん無言。そして、全編を通してこの礼服姿、↑のキャプチャのシーンともう1シーンしか出てこなくて、あとはスチル写真のような茶色い戦闘服(?)の姿が多い。輝雄さん演じる加納少尉は清潔感があって、木田たち下の兵士達にも優しくて素敵(*´▽`*)期待通りのかっこよさ!でしたが!なんせ登場シーンが少なくて、それが何より1番の消化不良の要因(´・ω・`)もっとハンサムの軍服姿を写してヽ(;;)ノ(今作は輝雄さんよりも文太さんのほうが目立ついい役でした。松竹としては珍しい!?)。

 

長門さんご自身は本来は脇で味を出す俳優さんだろうなと思ったので、集客のために松竹の若手二枚目俳優がかり出されたのかしら(特に輝雄さんは出番や役柄的にそんな感じ)、とか思ったり。お陰で少しでも軍服姿を観られたから良しとするべきか!?と考えてみるも、結局もったいぶられた感じで、かえって「あゝ 回天特別攻撃隊」!!とか思ったり(^_^;)

 

というわけで、雪風をテーマにした雄壮な映画を想像して見始めたのに、物足りなく終わり、見出のようなヽ(;;)ノな気分になってしまったのでした。

 

雪風の艦長役の山内明さんも威厳があって優しくて、素敵でございました!