T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

小林恒夫監督「陸軍諜報33」

特撮ヒーロー的戦争映画。  

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【映画についての備忘録その102】

小林恒夫監督×千葉真一主演「陸軍諜報33」(1968年)

 

1940年(昭和15年)、陸軍将校・山本和夫千葉真一)は新聞記者で新郎の柿沼(吉田輝雄)と妹の素子の結婚式に出席する。幸せに包まれていたその帰り、汽車の中で同じ陸軍の将校と同席する。その直後、デッキへ出た和夫は煙を吸い込んで意識を失い、目が覚めると、車内で向かいの席にいた婦人とホテルのベッドにいた。和夫はこの身に覚えのない罪で逮捕、軍法会議で位階勲等を剥奪され、懲役刑を言い渡される。

しかし、これは和夫が陸軍中野学校へ抜擢されたため、家族や友人と連絡を絶たせるための手段だった。中野学校では、汽車の中で一緒になった将校、秋山少佐(丹波哲郎)たちがまっていた。英語、マレー語、柔道、射撃らの訓練を受けた。秋山少佐の訓練は厳しく、死者が出るほどだった。

昭和16年、訓練を終えた和夫たちは、卒業と同時にひとつの任務を与えられた。それは、日本にはりめぐらされている外国の諜報網のひとつを潰すことだった。和夫は同期生の正田(今井健二)とともに、ドイツの駐日通信員ハイゼを探ることになった。そして、ハイゼと秘かに連絡をとっている城北大学教授佐々木(根上淳)との間で、柿沼が連絡員をやっていることを突き止める。事情を問いただした和夫は、柿沼が内情を知らずにやっていることを知ったが柿沼はその直後、何者かに殺されてしまった。和夫は佐々木に近づいたバー「ル・クレール」のマダム杏子(緑魔子)を探り、諜報網の全貌を明らかにした。ハイゼは米人ジョンソンに情報を流していたのだった。

ハイゼを逮捕し、その情報網から、日米間の空気が悪化しているのをみて、英国軍は南方の油田に爆破装置を仕掛けようとしている、とことを探知する。和夫は正田とともに北ボルネオに飛び、来るべき日本軍の進駐のため、油由を爆破から守るの任務につくが・・・。

 

 

久しぶりの更新ですm(_ _)m

なかなか忙しくて映画を観る気力がなく(映画好きゆえにきちんと時間をとってじっくり向き合いたい系なので、なかなか心に余裕がないと観れなかったりします(^_^;))、書くものもなかったのですが。。。こちらのブログでも何度もご登場いただいている真壁さんから、輝雄様からいただいたという本作のDVDを借していただけることになりまして!輝雄様作品を観るのは別(*ノωノ)とばかりに鑑賞させていただきました♪

 

千葉真一さんは、物心ついた時には「キーハンター」もやってないし、「影の軍団」も放送していない、関根勤さんが物まねをする「暑苦しい人」、っていう認識しかありませんでした(すみませんw)。そんなわけで、1960年代の映画で観る、好青年風な千葉さんは「あ、こういう人だったのね!」みたいな感じで見ていて、それが似合っておられ、後年の物まねされる千葉さんのイメージってどっから来てるの?って感じなのですが、この陸軍将校の役もはまり役です。

 

陸軍中野学校を舞台にした作品だぞ、ということで第二次世界大戦へと向かう時代を描いた戦争映画、というと、いわゆる反戦的なテーマに集約されていくようなものを基本的に想像する私(子供の頃にあふれていたコンテンツがそういう感じだったんだろうな、たぶん)。『この世界の片隅に』(2016年)を観た時に、そこに描かれていた視点に新鮮さを感じたものですが、本作も、この時代を舞台にした映画の描き方としては初めて触れるタイプのもので、見出しのような印象を受け、ある意味新鮮な感覚を味わいました。(本家本元らしい、市川雷蔵さんの『陸軍中野学校』もこういう感じなのかな?)

 

映画は、

 

義弟役の輝雄さんのいきなりの登場で、期待感が高まりますw

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幸せな結婚式に出席した帰り、汽車に乗った和夫の前に突如秋山少佐が意味ありげに登場。そして、気を失っているうちに罠にはめられて気がついたら陸軍中野学校へ、というスピーディーな展開で始まり、さらには「陸軍諜報33」という「007」のごときワクワクのタイトルですから、おお、となります。

 

そして、いよいよ!となる中野学校のシーンあたりから、、、こんな感じで特訓シーンが・・・

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1:縄抜けの特訓!

 

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2:地雷踏まないように進むよ!

 

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3:柔道も!

などなど。

そのほかにも、語学の勉強をしたり、銃の訓練があったり。

20代くらいの、同年代の軍人が集まった学校で、厳しくも仲間意識をはぐくんでいくような、なんかこう、学園もののような雰囲気。

みんな、選ばれた軍人として、誇らしげに校長の訓示をきいたり。

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沢彰謙校長

 

新鮮、というのはこういうところで、陸軍中野学校というと、事実はどうか知るよしもありませんが、人体実験だとか、「悪の日本軍」みたいな文脈でとりあげられるような印象しかありませんでした。でも、この映画で描かれる中野学校の様子はなんだか青春モノの一幕のようですし、厳しい訓練をへてスパイとして実地に出る彼らは、悪の権化ではなくて、日本のために戦うかっこいい男たちです(゚ω゚)

 

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実はカメラになるライター。007っぽい。

 

もともと素質のあったものが鍛え上げられて一流のスパイになる。

正体は親兄弟にも知られてはならない。

人知れず、日本を、愛する者たちを守るために戦う。

 

これは、映画の後半、和夫と正田が南方へ向かい油田の爆破を避けるためにボロボロになる(正田は命もおとし。。。)姿を通して、さらに鮮明になり、そして、「ああ、そうだ、これは、ヒーローなのだ」と気づきました。

愛する者たちを守るために戦い、傷ついても、その正体を知られるわけにはいかない。

こんな自己犠牲の男達、仮面ライダーだとかウルトラマンだとかの、ヒーローであるような、そういう感じなのです。

(なんだか、アクション映画としては小さな規模感で作られた感―地雷の特訓シーンとかでつかんでいただけると思いますが―をもろに感じ、テレビ以上映画未満、といったこじんまりとした感じも、ちょっと、特撮ヒーローものっぽいかもw)。

 

ストーリー的にはちょっぴり適当感もあったりして、シリーズにしたそうなエンディングに対して、これではちょっと難しいな、と感じるような出来ではありましたが(^_^;)主演は東映の期待の若手スター(って感じ?)千葉真一、助演には輝雄さんはもちろんのこと、丹波さん、根上淳さん、緑魔子さん、特別出演の池上良さん。今ではきっとどっかからクレームきそうで作ることができないような気がするテーマですが(もしくは劇場公開ができない、とか)、この当時なら、これだけの豪華な俳優陣でつくることも可能だったのだな、という、陸軍中野学校をヒーローとして描いた娯楽アクション映画、でございました。

 

DVDをお借りした真壁さんから伺った貴重なお話♪

今作の輝雄様のご出演は輝雄さんが東映大泉撮影所に所用があって行かれた際にプロデューサーから「スケジュールあいてる?2,3日ですむんだけど」と声をかけられたことがきっかけだそうです。結果的に、本作が唯一の輝雄さんと千葉真一さんの共演作(『日本暗殺秘録』も『網走番外地』2作品も、同じ映画でクレジットされても共演シーンはないのですよね)ということになった、わけですね。

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義弟のほうが兄っぽい貫禄あるぞw

タイトルから、輝雄さんの軍服姿が見られるんじゃないかと期待していたのですがwまさかの新聞記者だったので、それはありませんでした(^_^;)

あ、あと、『プレイガール』のゲスト出演回での緑魔子さんとの共演がとってもキュートだったので、それも期待したのですがw輝雄さんとご一緒のシーンはなく、、、残念でした(^_^;)