T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

森永健次郎監督「続 東京流れ者 海は真赤な恋の色」

キャストも音楽も、その魅力が十分に生かされてないような・・・

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【映画についての備忘録その97】

森永健次郎監督×渡哲也主演「続東京流れ者 海は真っ赤な恋の色」(1966年)

 

出所した本堂哲也(渡哲也)は、かつての兄貴分・秀(垂水悟郎)の故郷・高知へ向かっていた。その連絡船の中で、殺し屋の健(吉田輝雄)を知ったがいつかは健と対決せねばならないことを予感した。

堅気になってやり直そうと誓い合った秀を探して、あるキャバレーに向かう。そこで踊り子をしているサリイ(松原智恵子)を訪ね、秀の居所を聞くためだった。キャバレーの客でサリイに夢中になっている浩司(杉良太郎)は、その場で瀬川組の組員と乱闘になり、居合わせた哲が喧嘩をとめる。その後、サリイに秀の居場所を聞くが、彼女からは答えをはぐらかされてしまう。

その帰り、哲は健に襲われるが、危うく逃れた。健は、かつて哲が秀と共に潰した甲田組に頼まれてやったのである。哲を救ったのは安太郎(嵯峨善兵)という老人で、哲はその紹介で波止場作業員として働き始める。安太郎はある日、家出した息子浩司を見て追いかけたが、クレーンの荷箱が崩れて下敷になった。哲は責任者の瀬川一家に乗り込むと慰謝料を請求し、安太郎の入院費にあてた。哲はその頃、節子(橘和子)という美しい娘と知り合ったが、節子の兄信次の写真を見て、それが秀であることを知る。

浩司は踊り子サリイに惚れ、サリイを好きな瀬川一家の浅吉と争っていた。そして、今では賭博で二百万の借金をこしらえて瀬川(金子信雄)に縛られていた。哲はサリイと仲良くして見せて、浩司をあきらめさせ、また、瀬川に身売りをして浩司の借金を払い、安太郎の許に帰すのだが…。

 

 

約1ヶ月ぶりの更新でございます。『東京流れ者』の感想が書かれてないのに(鑑賞済みなのですがw)、『続 東京流れ者』の感想を書いているのは、当ブログならでは、です(`・ω・´)

新しい(というか未見の古い映画w)映画を全然観れていないこともあり、鑑賞済みの輝雄さんのご出演作品の中でまだ感想を書いていなかった本作について、備忘録でございます。ちなみに、本作は『大悪党作戦』で松竹が宍戸錠さんを使わせてもらったので、そのお返しで輝雄さんが日活の映画に出た、ということだそうで。

 

 

有名な第1作をさておいての続編の感想なわけですが、1作目をしのぐ作品、というわけではなく、また、続とはいいながら、渡さんの役が”フェニックスの哲”という以外にはストーリーも作風もつながりはなくて、魅力的な要素がありながらそれを生かせていないように感じてしまった、なんだかもったいない作品でありました(´・ω・`)

 

 

さて、なぜそう感じたかというと・・・、なんとも言えない、甘っちょろい作風のせいでして。

 

渡さんは撮影当時はまだ24歳のようですが、演じるフェニックスの哲はするどい目つきや落ち着いた雰囲気はヤクザの裏の世界を散々見てきた男、という雰囲気を感じさせるには十分。1作目も含めて考えれば、信頼していた親分に裏切られたという悲しみみたいなものも背負っているよう。単身、瀬川の事務所へ乗り込むところとか、黒いスーツをビシっと着こなしていて、格好良く、存在感抜群。

輝雄さん演じる健は、連絡船の中で哲に声をかけるという『網走番外地 南国の対決』の南さんのごとし(ちなみに『~南国の対決』が66年8月13日公開、こちらが66年11月9日公開なので、これを意識して書かれた役なのかな。どんなスケジュール感で当時の映画が作られていたのか分からないのでなんともですが(^_^;))。一匹狼の殺し屋のクールな佇まい。そして、助演でいて主役をくうような魅力。

そして、裏の世界を生きるしかない者の心情を歌っているかのような歌詞と渡さんの低音の歌声が印象的な歌、「東京流れ者」。

渡哲也、吉田輝雄というアウトローないい男を演じられる俳優と、「東京流れ者」という印象深い歌を使いながら(映画のとは違う歌詞のものもあるんですね)、作品そのものはアウトローの命がけの生き様を十分に描けていない、不良青年の更生する姿をみせられているような青春映画のような印象で、“甘っちょろい”と感じたわけです。

 

 

そう感じた要因の第1は安太郎の息子・浩治。

踊り子に熱をあげて博打で借金をつくって返済のために父親の仇のような瀬川の船に乗る浩治。浩治がそんなあれた生活を送る原因となったのは節子に結婚を申し込んで断られたから、というのがきっかけ。なんだこぬるい理由はorzっていう。アウトローのシビアで暴力的な世界に、違和感のある生ぬるい不良青年・・・。その父親=安太郎に世話になっているので、哲は単身瀬川の元へ乗り込んだりして骨を折り、命をかける訳です。で、哲が命をかけるのがこの浩治のためなので、浩治の存在でストーリーが動くわけです。この辺が、アウトローの生き様というより、不良青年の甘えた生き方をみせられているような感じがしてしまう。

 

第2に、秀の妹・節子。

演じる橘和子さん(Wikipedia読んだら高橋一三の奥様なのですね!高橋さんの現役時代は知らないけどw)は透明感があってめっちゃかわいらしい女優さんだったのですが、まさに「兄の友人にあこがれる妹」とかいう青春映画っぽい設定(^_^;)サリイの松原千惠子さんとWヒロインのような扱いで、わりとしっかりとストーリーに絡んでくるので、この子供っぽい設定がやはり、『東京流れ者』というタイトルの映画に期待するものとは違う甘さ。

 

 

 

アクション部分も、輝雄さんを渡さんのライバル的な立ち位置で起用して制作しているのに、哲と健の一騎打ちの描かれ方も中途半端。ここから盛り上がる!?ってところで邪魔が入って、最後まで盛り上がりに欠けるし・・・モヤモヤ(石井監督の宍戸錠さんの扱いがひどかったからお返しですか!?と言いたくなりますwなぜこの役に吉田輝雄を起用したの?と言いたくなるような、なんとももったいない起用の仕方であります)。で、こういう部分もやはり、なんだか甘くて、ピリピリとしたアウトローの物語というより・・・と感じる要因だったり。

 

物語の最後は、続のほうも、やはり信じていた人物に裏切られる、という悲壮感ある結末なのですが、そこにいたる過程の物語が甘すぎて、その悲運も十分に感じとることができず、なんともやはり残念な感じ・・・。

 

 

というわけで、トップ画像に置いたスチル写真でも分かるように、高知城はりまや橋室戸岬、それによさこい祭りと、舞台となる高知の観光名所(ちなみに哲と節子が話しながら室戸岬高知城と移動していて、どんだけ長い話してんねん!と思いましたがw)を楽しんだり、渡さんと輝雄さんの格好良さを楽しんだりしながらも、それらが生かしきれてないように思えて、微妙な気分になった鑑賞後。『東京流れ者』と同じく鈴木清順監督だったら、どんな面白い映画になっていたんだろう、なんて思いつつ。。。

 

 

【特別編!?】

↓の記事でもお名前を出させていただいた真壁さんから教えていただいたお話。

kinakossu.hateblo.jp

 

渡哲也さんは青学のご出身。松竹でご一緒で輝雄さんと仲の良かった竹脇無我さんが青学出身だったこともあり気にかけておられたようで、映画の撮影中に「竹脇さんはお元気ですか」 と尋ねてこられたとか。

そして、この4年後、渡瀬さんが『殺し屋人別帳』で輝雄さんと共演することが決まって、輝雄さんに電話をされ「弟をよろしくお願いします」という丁重なご挨拶があったそうで、輝雄さんも石原裕次郎さんが後継者として任せるだけのことはあると痛感されたそう。

 

こんなお話を伺い、渡哲也さんって、映画やドラマをはじめ、メディアを通して伝わるイメージ通り、人間的にも素晴らしい方だったのだなぁ、と思うのでありました!

本多猪四郎監督「ガス人間第1号」

異形の者への畏怖か愛か。恋愛映画の良作を観る。

ガス人間第1号

ガス人間第1号

  • 発売日: 2014/07/01
  • メディア: Prime Video
 

 

 【映画についての備忘録その96

本多猪四郎監督×八千草薫・土屋嘉男主演「ガス人間第1号」(1960年)

 

 

吉祥寺の銀行で強盗殺人事件が発生した。五日市街道を逃走する犯人の車は、それを追跡していた警視庁の岡本警部補(三橋達也)の目の前で崖から転落する。しかし、放置された車の中に犯人の姿はなかった。付近を捜索した岡本たちは、日本舞踊の名門だが今は没落して弟子たちもいなくなり寂れてしまった春日家の屋敷にたどり着く。付近に民家のない場所で、岡本たちはここに犯人が逃げ込んだのではないかと目星をつけて中に踏みいるが、そこで春日流家元・春日藤千代(八千草薫)の美しい姿を目撃する。

その数日後、再び五日市街道付近で強盗殺人事件が発生したが、今回は密室状態の金庫室から金が持ち出され、金庫内にいた銀行員が気管に謎のガスを詰められて殺害されるという、不可解な犯行。続いて、三度目の強盗事件が発生して犯人は現行犯逮捕されたが、一度目と二度目の事件で奪われた現金の隠し場所を吐こうとはしなかった。

一方、貧窮していたはずの春日流は絶縁状態だった弟子たちに大金を配って呼び戻し、実行できずにいた発表会の準備を始めるなど、突然羽振りが良くなる。岡本は彼女が事件に関与していると推理し、恋人の新聞記者・甲野と共に藤千代の身辺を捜査する。岡本の読み通り、藤千代の持っていた紙幣と事件で盗まれた紙幣のナンバーが一致していることが発覚、藤千代は逮捕される。
そんな時、警視庁に水野(土屋嘉男)と名乗る男が自首してきた。彼は自分が一度目と二度目の事件の真犯人であり、三度目の事件は模倣犯だと断言する。騒然となる刑事や新聞記者達の前で、証拠に二度目の事件の手口を再現しようという。彼らの眼前で自身の体をガス化してみせ、鉄格子をすり抜けて銀行員を殺害し、密室状態の金庫室から脱出してみせる。水野はかつて生物学の権威・佐野博士による人体実験を受けた結果、自らの肉体をガス化させる能力を得てしまったガス人間だったのである。彼は、世間に藤千代を再評価させるために発表会を実現させようと、そのための資金を手にいれるための犯行を重ねていたのだった・・・。

 

 

今年最後の映画鑑賞は『鬼滅の刃 無限列車編』で、おおいに楽しんできたのですが、そこの感想はこのブログではスルーして(笑)色々あって現実かSFか分からないな、と言いたくなるような2020年最後の感想は、SF映画。というか、日本が誇る円谷英二が特撮監督をつとめる特撮映画。…なのですが、見終わったあとに残る余韻は、恋愛映画のそれ。「電送人間」の感想を書いた際に、RedPine様からもオススメいただいていた本作ですが、たしかに、良作で、特撮技術を楽しむというような枠組みを超えた作品で映画として十分に楽しむことができました。

 

本多監督と言えばゴジラ、という程度の知識ですが(それしか観たことなかったですし(^-^;))、「ゴジラ」が怪獣映画というよりも戦争映画として人間を描いてる物語に感じたのと同様、こちらも特撮の面白さでエンタメ性をもたせながら、本題は人間を描いてる、と感じる作品(特撮や怪獣映画をどこか子供向けのものと思ってしまうの、良くないな、とは思いつつ(^_^;))。

その物語がうまく行っているのは、八千草薫さんと土屋喜男さんのお二人のキャスティングのはまり具合によるところが大きかったかな、と。

 

 

日本舞踊の家元の藤千代・八千草さん、最初は般若のお面をつけて舞っていて、そこへ岡本警部補たちがやってきます。恐ろしい般若の面をとると、藤千代の美しい姿。岡本が見とれてしまうのも納得で、ガス人間に対し、彼女もまた夢か幻かといった、人ではないのではと思ってしまうような美しさ。なおかつ、どこか憂いを帯びていて、物語の悲しい結末を予感させ、また、物語の深さを感じさせるようでもあるのです。

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そして、ガス人間である・水野。彼が最初に登場したのは藤千代が通う図書館で司書をしているので、捜査をしている岡本から、藤千代が何を借りていったのかを聞かれるだけ。まずこの、何と言うこともない役に土屋喜男さんががっつりハマっています。THE 普通。土屋喜男さんを今作で初めて認識した(「電送人間」にも出ておられたようでしたが、全然思い出せず、でしたw)知識の乏しい私は“怪しい”とも思わず、真面目な男性、という印象のみ。

航空自衛隊に入りたかったが体格ではねられてしまい、図書館の職員となった水野。図書館の職員であれば仕事をしながら勉強ができるかもしれない、という志をもっていましたが、そう思うようには行かず。無為に時が過ぎていくなか、佐野博士が現れます。

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このくだり、若い水野の、何も成し遂げられないまま歳を重ねてしまうのかという焦燥感とか、苛立ちが伝わります(土屋喜男さん、こういう役が得意な方だったのかな。旧作邦画、鋭意お勉強中のため知識不足なところはご了承ください(^_^;))。水野の生真面目さ、繊細さ、脆さ、を感じられ、それが、藤千代を世間に評価させるために犯罪を犯していくことも厭わない一途さや情熱と地続きなのだ、と理解できるのです。

 

で、この二人に目をつけて追いかける三橋達也さん演じる岡本警部補が、体育会系な感じの”陽”な人間だったりするので、その反対側にいるような藤千代と水野のもつ、人ではない何かを抱えた人間の悲しさが際だって見えてきて。

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これは十津川警部

 

だから、最初は金や、ガス人間への恐怖で、彼に繋がれているのかと思われた藤千代が、やがてそれぞれのもつ悲しさみたいなものが共鳴して、それだけではない彼女の意志がそこにあって、彼を受け入れているのだ、と感じられるようになります。

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そうしてついに発表会を開くことができた藤千代。しかし、その当日、二人は悲しい結末を迎えます。

 

この結末へと向かうシークエンスは”ガス人間”をテーマにするにふさわしい、特撮作品らしい展開で、その面白さや映像技術に対する驚きもたっぷり。でも、私にはそれよりも、水野の藤千代への一途な愛とそれを受け入れた藤千代の二人の思いの終わり方、その切なさが印象深くて余韻が残り、見出しの通り、良作の恋愛映画を観たようなそんな鑑賞後でありました。 

 

 

 

【おまけ】

ちなみに、佐野博士の研究室はこれ。これぞ特撮作品。

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番匠義彰監督「渦」

豪華な俳優陣と職人監督による手堅い一作。”渦”にまかせて生きていく。

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ポスターの写真がブレブレですみません(^_^;)

 

【映画についての備忘録その95】

番匠義彰監督×佐田啓二岡田茉莉子主演「渦」(1961年)

 

伊沙子(岡田茉莉子)は夫の帰宅が遅いある夜、警察からの電話で、山西光一(石川竜二)を署まで引取りにでかけた。光一は戦災孤児で、以前知人に頼まれて就職の世話をしたことのある少年だ。その光一が、少年仲間の恐喝に加わって補導されたのだ。光一を迎えに行った晩、伊沙子は彼の服がぼろぼろなのをみて、白いセーターを買ってやり、喧嘩などしないようにと言い聞かせて別れた。

夫の洪介(佐田啓二)は洋画輸入会社の社長で、仕事熱心だが、冷淡なところがあり、伊沙子が善意で光一の世話をしてやるのを不快に思っていた。洪介の会社で、翻訳の仕事などを手伝っているりつ子(岩下志麻)は、洪介を愛していた。妻のある洪介に好きだと言うことはしないでいたが、誕生日になるとプレゼントを渡し、また、洪介も友人がヨーロッパへ出張するときに、彼女に頼まれた本を探してくるように言付けたりと、親切にしている。

光一は国際航業の給仕として働くようになった。ある時、エレベーターボーイの九平に、伊沙子に買って貰ったセーターを汚されたのがきっかけで、喧嘩となる。九平を殴って死なせたと思った光一は、伊沙子の家に現われた。光一の世話を焼くことに不満の洪介の手前、自分の家に泊めてやることもできなかったので、彼女は光一を旧知のピアノ教師・鳥巣(仲谷昇)の所へ連れていく。伊沙子に下心のある鳥巣は光一を自宅に泊めることを嫌な顔もせず引き受ける。

伊沙子は翌日、国際航業へ行き、副社長の吉松(佐分利信)に面会する。光一は会社を首になったと思っていて、伊沙子はあらためて吉松に光一のことを頼むつもりでいた。その帰り、伊沙子ははりつ子に出会う。りつ子は吉松の姪で、吉松は彼女に見合いをすすめていたのだが、洪介のことを思うりつ子は見合い話を承諾しかねていた・・・。

 

 

シネマヴェーラ渋谷の「名脇役列伝V 岡田英次&芥川比呂志生誕百年記念 インテレクチュアルズ」 で鑑賞してきました。インテレクチュアル=知的なさま。知性を必要とするさま だそう。特集名に岡田英次さんと芥川比呂氏さんの名前がついていますが、この特集自体はほかのインテレクチュアル名脇役な方(+仲谷昇さん、平田昭彦さん、渡辺文雄さん)の作品もとりあげられていて、こちらは、仲谷さんご出演作ということで上映されたもの。ほんとは芥川さんの出演作品(「ゴールドアイ」のボスだし!岡田英二さんは第1話のゲストで、私が旧作邦画を観るきっかけとなった作品に出ておられた二人ということで)を観たかったのですが、なんせテレワーク中…都合がつかない!ということで通院で新宿に行った日に上映されていたこちらを観てきました。

 

 …今回は鑑賞してから2週間もたってしまったので、かなり”印象”に軸足を置いた感想になっております。

 

お話は、伊沙子の親切心、洪介とりつ子のお互い言葉にしなかった好意、それらがそれぞれの出来事(光一の喧嘩、りつ子の見合い話)がきっかけで夫婦の間に波風が立ち、やがてそれが渦になり…、というストーリー。番匠監督の作品は『泣いて笑った花嫁』と『抱かれた花嫁』、そしてこの『渦』で三作目ですが、どれもはずれがなく、いろんな角度で楽しめる作品。そして変に芸術的な感じでもなくて、手堅く作品を撮られる職人監督という印象で、この作品も地味な映画だけど豪華な俳優陣の演技と堅実な監督の手腕で飽きずに見ることができる作品。

 

 

佐田さんはかっこいいし、茉莉子さんはきれいだし、志麻さんはかわいいし、主演の3人が豪華で楽しいのですが、それよりも佐分利信さんの吉松が何とも言えず素敵。お見合いなんて気がのらない、恋愛で好きな人と結ばれたい、といった風のりつ子に対して、そんなもんは風邪みたいなもんだ、とばっさり。言ってみれば古い考え方、の代表的な感じの立ち位置ですが、温かみがあって、押し付けがましくない。素直だけれど口下手で誤解されやすく、周りと揉め事を起こしてしょっちゅう警察に補導されてしまう光一の姿に、かつての自分を重ねて、あきらめずに支援してやろうとする。口うるさくて怖そうな雰囲気なのに温かくて、とても魅力的な人物でした。

(…そして、今の婚活だとかなんだとかって世の中を見ていると、結局は吉松の言うことが正しいよな、と思ったりしました。)

 

 

タイトルの「渦」ですが、映画の中でいろいろな出来事が起きて、登場人物の周囲に動きがおきる、これを”渦”と表現したのかな、と私は思いました。出来事自体は何か偶発的な感じで、その場その場で伊沙子も洪介もりつ子も、基本的に理性的な行動をとっていて、普通の人の、常識的な、行動。ずっと何か起きそうだけど平穏を保てていたものが、ちょっとしたほころびから渦が起きて、それが小さな意地の積み重ねー喧嘩して口をききたくない、みたいなーで、少しづつ大きくなります。

この作品が面白いのは、登場人物が、負の渦の中に飲み込まれそうになっていて、押しとどめようという心の動きはありつつも、それに積極的に抗うというよりもどちらかというと渦の流れに身を任せる、というところ。そして、全てが崩壊するように見えて落ち着くべきところに落ち着くという展開。だから、なんというか、、、劇的なんだけど、劇的じゃなく見える不思議。

 

 

さて、今回の特集上映の対象(⁉)でありました仲谷昇さんは、私、『カノッサの屈辱』のイメージが一番で、ドラマなどでも大体、あの教授のようなビジュアルの姿しか見たことがなかったのですが、まったく違う人物に見えてビックリw(前にも他の映画で1作、若いころのお姿を拝見したことがあり、やはり仲谷さんだと気づきませんでした)こんなスマートないけすかない感じのイケメン(が似合う)だったのか、とw

 

あと、光一役が『今年の恋』で茉莉子さんの弟役を演じていた石川竜二さんだったのも、なんかちょっとツボだったなぁ。

 

【本編と関係ないことをあれこれと】

この作品、1961年1月15日の公開。同じ年の1月9日が『セクシー地帯』の公開日。新東宝の主演俳優が、この1年半ほどあとにこの映画に出ていた3人と、小津安二郎の映画で共演することになるなんて、考えてみるとすごい不思議な組み合わせだな、なんて思ったり。

そして、旧作邦画をあれこれ見るようになって、松竹三羽烏の中では佐分利信さんが好きだわ、と思った私、輝雄さんとの共演が観てみたかったけど、それが叶わなかったのがとても残念だなぁ、と思うのでありました(『大根と人参』が実現していたら、、、と思わずにはいられない!…私が気づいてないだけで共演作があったらすみません(^_^;))。

 

石井輝男監督「白線秘密地帯」

第1作目は、地帯シリーズの異色作!? 

 

白線秘密地帯

白線秘密地帯

  • メディア: Prime Video
 

 

 

【映画についての備忘録その94】

石井輝男監督×宇津井健主演「白線秘密地帯」(1958年)

 

上野のとあるトルコ風呂。初めてそこを訪れるという中年の紳士風の男が、みどりというソープ嬢を指名した。間もなくして、男は慌ただしく出て行く。部屋には息絶えたみどりの姿とナンバーの押してある奇妙なチケットが残されていた。

それから間もなく、多摩川で中年の男の変死体が発見される。所持品の帽子から松崎という名前を見つける。その身許を洗うと、彼が秘密売春組織の会員でその会員券が現場のものと同型である事が判明する。

捜査にあたった田代刑事(宇津井健)は同じソープランドで働いていたトミ(三原葉子)から、みどりがかつて洲崎の「赤玉」という店にいたということを聞き出す。店を訪れて話を聞くと、みどりは結婚するために「赤玉」を辞めたという。しかし、その後、みどりは福祉事務所を訪れ、旅館の女中の仕事を斡旋されていた。旅館で働き出したみどりだったが、そこへ32,3歳のマダム風の女が訪れ、みどりを連れだし、そのまま姿を消してしまったというのだ―。

 

 

これにて「地帯シリーズ」、ついに全作制覇\(^O^)/Amazon Prime Videoで鑑賞。Amzonさん、ありがとう!本作は公開時71分の作品のようなのですが、どうやらそのすべては残っていないそうで、現在観られるのは短縮版の作品のみのよう。そして、今回鑑賞したものも、57分の短縮されたもの。短縮されているせいで、トミに目星をつけて捜査を始めることになった理由とか全然分からないのですがwそれでもちゃんと面白かったです!(でもやっぱ全部観たい!!)

 

 

さて、私の中では「地帯シリーズ」は、裏道を歩く人達の視点にスポットを当てた作品、というイメージです。「黄線地帯」の殺し屋・衆木はもちろんのこと、「セクシー地帯」のサラリーマン・吉岡くんも、そちら側の世界へ否応なくつれて行かれる、そんなイメージなのですが、本作の主演は宇津井健さんで…。

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これは天知茂にも吉田輝雄にも出せない空気感。

 

見出しのように書いたのは、刑事が主役だから、ということもあるのですが、要するに、宇津井健さんが映画にもたらす雰囲気が圧倒的で”表”の視点で描かれている、と感じたから。田代刑事はトミがセクシーにキュートに迫ってきても、微塵もなびきそうな気配がありません(^_^;)とっても折り目正しい正義感。そんな訳で、視点はずっと刑事側にあって、主人公は売春組織と平行な別世界の住人で、これはもう、売春組織がテーマ、っていうだけで、「地帯シリーズ」ではなくて、何か別の刑事モノの映画を観ているよう。

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現場の遺留品からあちこち捜査にかけずりまわり、張り込みや尾行、内通者を見つけ出して改心をせまったり、、、刑事側の物語の基本を押さえた刑事ドラマが展開されます。短縮版だから、って部分もあるかもしれませんが、まどろっこしい感じもない。

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奇妙なチケットがどういう役割を担っていて、どんな仕組みになっているのかとか、テンポよく売春組織の実態を暴いていく展開と、そして刑事たちが駆けずり回る当時の東京の、しかも華やかでない部分の様子もあって、刑事物のサスペンス映画の良作という感じ。

 

 

ただ、そんな表の視点が中心な作品に、まったく違う空気を吹き込んでくる人物が一人。はい、そうです。売春組織を構成しているドライブクラブのオーナー・久保木=天知茂

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「黒線地帯」で主役が交代するのも納得の石井輝男的世界。自己中心的だけど、何か影を感じさせる雰囲気。宇津井さんがめちゃめちゃ”陽”なので、天地さんの”陰”の部分がまた際立つという。

で、「セクシー地帯」からさかのぼってここまでたどりついたので、天知さん以外にも・・・

大友純さんとか

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中国人/朝鮮人役じゃなかったw右は文太さん。

近衛敏明さんとか

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こちらもおなじみ。

 

東宝の石井作品でおなじみな怪しげな人物が盛りだくさんで(二時間サスペンスでこの俳優さん出てきたらこの人が犯人でしょ!みたいな感じですねw)、それらがつながっていく結末も、「おお!」って感じ。

最後は、港に積まれた石炭の山の上での田代刑事VSラスボスの大格闘で、ここはもう、さすがの石井監督、と言いたくなる切れ味で見ごたえあり。・・・このアクションシーンも結構はしょられてる気がする(T_T)

 

というわけで、順番をさかのぼってみることになった、地帯シリーズ第1作、「白線秘密地帯」。主役と主人公でもってほかの作品と違って表の視点を感じる作品でしたが、天知さんの存在もあって、のちの作品の方向へ舵をきっていくきっかけのようなものも見え、短縮版でも十分楽しむことができました。・・・でもやっぱり、全編みたい!どっかからフィルム見つかってくれないかなw

 

 

と、その他思ったことを付け足し。

三原葉子さんのトミがとっても魅力的!こういう役が似合うのだなぁ、とあらためて。

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そして、菅原文太さんは「黄線地帯」とかの鳴門洋二さん的ポジションの役。新東宝時代の石井監督の作品にはほかにもいくつか出ておられるようですが、役的にはこれは鳴門さんのほうが似合うなぁ、という感じで、石井監督の世界観にあまりはまっていないように見えました。ハンサムタワーズのデビューで石井監督が過去に組んだことのある文太さんではなくて、輝雄さんを指名したのも、なんだか納得、なのでした。

 

 

井上梅次監督「踊りたい夜」

That's entertainment! 楽しくて、切なくて、前向きになれる、ミュージカル映画

 

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【映画についての備忘録その93】

井上梅次監督×倍賞千恵子主演「踊りたい夜」(1963年)

 

東京のナイトクラブで人気のショーダンサー、”ピンクタイツ”。南真理子(水谷八重子)、南由利子(倍賞千恵子)、南美智子(鰐淵晴子)の三人姉妹、マリ、ユリ、ミッチーだ。彼女達の父親・亀三(有島一郎)は、昔は売れない手品師として地方を回る芸人であったが、今では娘達のマネージャー。そして、稼いだ金は若い情婦に貢いでいた。

亀三はギャラが良ければ娘達をどこへでも連れて行く。今日の舞台が終われば明日からは東北をまわるのだという。ただし、マリとの仲が険悪で言いづらいらしく、明日からは仙台である、ということことを彼女にだけは伝えていない。

作曲家の沖(吉田輝雄)は同じクラブでピンクタイツや島津(藤木孝)のミュージカルに曲を提供している。彼はマリを秘かに愛していたが、マリはホテルチェーンの息子で金持ちの山田(穂積隆信)にひかれていた。明日からの仙台行きを知っている沖は、3人を食事に誘い、今日、マリにプロポーズするつもりだった。「後で行く」と言ったマリは、しかし、山田と食事にでかけ、姿を現さなかった。家までユリとミッチーを送った沖は、ユリと二人だけで話がしたいと誘い、マリに渡すつもりで書いた曲の楽譜をユリに託す。しかし、楽譜を受け取るユリの表情は切ないー彼女は沖を愛していたのだった。

翌朝、仙台行きを知ったマリは怒って家を出て、山田の元へ行く。その後、ユリとミッチーだけになったピンクタイツは、人気を失っていく。やがて、ストリップ劇場でダンスをするようになり、亀三は劇場の支配人に今の倍のギャラを出すから、と言われ、二人に裸にならないか、というのである。

二人の様子を心配して訪ねてきた沖はその話を聞いてしまう。怒ったミッチーは父とはもう一緒にいられない、と飛び出す。ユリはそれでも残される父を思ってためらう。沖はそんなユリを見かね、彼女を引き取るという。「何の権利があるんだ!」と言う亀三に沖は思わず「ユリさんにプロポーズします!」と宣言してユリを連れて出ていく。勢いで出てきた沖だったが、ユリを愛していることに気付き、あらためてプロポーズする。ユリはショーダンサーから身を引き、沖との生活を大切にしていこうと決意する。

父の元を飛び出したミッチーは新日本バレー団の前にいた。いつか母の夢を継いでバレリーナになりたいという夢を抱くミッチーは住み込みのお手伝いをしながらバレー団に入団することに。そして、主宰者の団(根上淳)にその才能を認められ、厳しい練習に必死についていくのだった。

一方、マリは山田のホテルにいたが、妻に乗りこまれ、彼が養子であることを知る。虚しさに山田の元を出て東京に戻ってくるが、沖とユリのことを知り、しずかに姿を消し、福岡に流れ着く。酔いつぶれながら歌うマリは客を怒らせてしまい、支配人にクビを言い渡されるが、バンマスの津村(佐田啓二)はマリの歌の才能を認めてかばい、自分を大切にしろ、という。津村はかつて人気女優と結婚し東京でも名声を得て活躍していたが、離婚をしてから東京を離れて福岡にいたのだった。彼との出会いで、マリは再び歌い、踊りはじめる。

 

 

 

 

今作も輝雄様から送っていただいたDVDで鑑賞させていただきました(*´▽`*)井上梅次監督と組まれた作品は『犯罪のメロディ』と『真赤な恋の物語』、そしてこの『踊りたい夜』の3作で、どれもまったく違うタイプの作品。今作は中でもとくに素敵な役で、そして、見終わった後に、映画を観る幸せを感じられ、「楽しかったなぁ」っていうすごく素直な感情が残る素敵な映画でした。(倍賞千恵子さんとの共演作もあと『恋人よ』‐これも川崎の町工場で働いている、という輝雄さんにはレアと思われる役。いつか観られる機会がくるのが楽しみ(*'▽')‐を残すのみとなってしまったよぉ!)

 

 

そう思えたのは、まず何よりミュージカル映画としてきちんと楽しめたから!歌とダンスが華やかで、楽しくて、そしてそれが自然と挿入され(私、ウエストサイドストーリーでミュージカル映画アレルギーになっていた時期があり、ここが非常に大事なのですw)、感情を音楽に一緒にのせて観ることができたから。

 

井上監督は映画の始まりからワクワクするような楽しい気持ちにさせてくれます。オープニングがすでにショーの舞台。ここで歌い、踊る曲は劇中でも何度か登場する映画の象徴的な曲なのですが、これが明るく、力強く、歌やダンスへの愛とそれらがもつ力、さらに言えば日本の人たちの明るい未来への自信、みたいなものが伝わってきます。

海を渡ってショーが来たのは昔のこと

今はこの島からショーがうまれる

ショー!ショー!ショー!ショーは楽しい

涙かくして歌えるから

苦しみこらえて踊れるから

 

跳んではねてもメシが食えないのは昔のこと

今じゃ立派な稼業 ショーで金になる

ショー!ショー!ショー!ショーは楽しい

昨日を忘れて歌えるから

明日を夢見て踊れるから

 

そして、この歌の後に東京のネオンの風景にかぶせた「東京の夜は化粧する―」から始まるナレーション。

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ペコちゃんかわいい

 

東京―世界の東京となったこの街ではメロディもステップも外国の借り物ではなくなった

 

昔は色眼鏡をかけて観られたこの稼業も、今では立派にメシがくえるようになった。日本のショービジネスの中にも生活の川が流れはじめたのである。

これは、夜の花園に咲いた、あるショー一家の物語

 

この映画そのものが“ショー”だ、と感じられる演出。そして、この歌とイントロで、この”ショー”を観ているあなたの人生もまた、今が辛くても明日があるのだよ、自信をもって!と言われているように思えます。リアルタイムを知らない人間の憶測でしかないけど、オリンピックを前にした日本で、まだまだ豊かではない生活をしてる人もたくさんいて、それでも明るい未来が待っているよ、自信をもとう!自分たちは何でもできるようになるさ!と言うような前向きな力強さを感じます。

 

 

 

そして、もう一つは三姉妹が魅力的で、それぞれのストーリーがきちんと用意されていたこと。

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個性のある3人の、それぞれにぴったりな配役でした。3人が踊るナイトクラブの支配人(諸角啓二郎)の「マリちゃんはお色気たっぷりだし、ユリちゃんはなんとなく親しみが持てるし、ミッチーは可愛さでいっぱいだ」の評が言い得ている感じ

 

夢見る未来、生き方、そして好きになる男性。それぞれが全く違っていて、姉妹の個性にあわせた歌とダンスにあわせて応援したくなったり、切なくなったり、思い切った生き方に圧倒されたり。

 

ミッチーは自分に素直。自分の夢、憧れ、どうしたいのかそれらを素直に言葉にし、行動にうつします。バレリーナになりたいという夢に、全力でぶつかり、そしてまたそこで気づいたものを得て、次のステップへと踏み出します。

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母と同じくバレリーナになりたいという夢を抱き続けるミッチー。強い意志をもった女の子

 

 

長女のマリは自分をしっかり主張して、華やかで艶やか。”女らしさ”を武器にして自分の手に入れたいものは手に入れよう、という感じ。それゆえ、父と喧嘩して、東北周りに反対して男のもとへ走ります。

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♪”恋するなら女”と歌いきる、自我の強さ。

 


ユリは優しくて、自分のためより誰かのためを思って行動する、という女性。牧が姉のことを好きだと知っていて、自分の思いを伝えることもできず、彼がマリのために書いた曲を渡す役を引き受けてしまったり。

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姉のことが好きだという沖に、自分の思いを伝えられず。。。

 

 

そして、三人が愛する男性もまたそれぞれの個性にあった素敵な男性たちで、三者三様の恋の描き方と結末を迎えます。演じる男優陣もみんなはまっています(・∀・)

 

 

ミッチーはバレー団の主宰者、団に恋をします。年齢もずっと上(映画の中でユリに「あの先生、随分お年でしょ?」と言われて「38よ」とミッチーが答えたときの驚きたるやwあんなに渋い38歳は今お目に書かれないし、それで“随分お年”と言われるという!)。期待をかけるミッチーに余計に厳しくあたって指導するというツンデレ(つうかほぼツンなんだけど)ぶり。ミッチーにとっては尊敬する先生でもあり、その厳しい指導の中に愛情を感じ、師弟愛から恋へ。

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師弟愛から、恋が芽生える、と。

バレー団の新人公演も才能を認めるミッチーを端役に。その悔しさと反骨心で、倒れてしまうほどの猛練習をし、どんどんと上手くなっていきます。

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鰐淵さんほんとかわいい。お人形みたいです(*^_^*)

 

やがてミッチーは、定期公演の「白鳥の湖」で主役にキャスティングされることに。しかし、その発表をうけ、ミッチーは自分が客と離れた舞台で踊るのではなく、お客の中で踊るショーダンサーでありたいのだということに気づき、バレー団を去ることを決意します。

 

団はミッチーのその思いの強さに、バレー団をやめることを承知します。厳しさの中に相手を思う愛情を見せる団。

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「私はいつもこの人と見込んだ人には殊更厳しくあたる。そして嫌われる。そんな男だ」って、こんなセリフが似合ってしまう人はそういないぞ。

 


マリは山田と結婚するために、山田のホテルへ。金持ちと結婚すれば幸せになれるはず、と思っていたのにショービジネスから離れたことで、どこか虚しさを感じます。その上、山田の妻が現れて実は婿養子で甘い言葉もウソだとわかり、自分の求めていたものの虚しさに気付きます。東京へ戻り自分を好きだと言った沖の元へ…と思うのですが先に訪ねたミッチーから、沖とユリが一緒に暮らしていることを聞かされます。恋を歌いあげた女が恋に破れて行き着いた先で、かつて東京でも活躍していたサックス奏者・津村に出会います。

女優と結婚していたことのある津村は、ショービジネスの世界での成功と結婚生活とで悩み、苦しんだ過去があります。結局、両立はうまくいかず離婚。福岡でその傷をいやすようにくすぶりながら、演奏をしています。

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佐田さん、サックスを演奏するお姿も似合ってます(*'▽')

 

福岡に流れつくまですさんだ生活をしていたらしいマリに歌とダンスの情熱を呼び覚ましてくれた津村。ショービジネスの世界で希有な才能をもつ二人は心通わせていきます。(この時、元の芸人に戻って地方をドサ回りしている亀三が二人のいるナイトクラブにやってきます。これをきっかけに父娘は仲直り。)

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自身が一流のミュージシャンであり、マリの才能も認めています。彼女はショービジネスの世界にいることで輝く女性。それが分かっているから、二人の恋よりもショーの世界での成功を願い、愛していても一緒にいてはダメだ、と相手を思って身を引く、大人の恋。

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「君のような素敵な人に今まであったことがない」とか言いながら別れる切なさよ。

 


ユリは、ずっと好きでいながら気持ちを伝えられずにいた沖と結ばれます。

マリの派手さにあこがれていたけれど、愛とはもっと静かで、地味で、落ち着いたものだと分かった、という沖。その言葉が現すとおり、誠実で穏やかな沖は、そんな愛を交わし合うことのできるユリを愛するようになっていました。

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二人一緒に愛を歌い上げるシーンがかわいい。まさにミュージカル♪

 

沖は貿易会社を経営する父をもち、長男であることから両親からは会社を継ぐことを期待されています。だから、ショーダンサーだったユリとの結婚はなかなか認めてもらえません。ユリは沖の両親から、「音楽をやめて会社を継ぐように説得してくれたら結婚を認めてもいい」と言われますが、彼から音楽を取り上げることはできないから、と突っぱねます。沖は親に反対されながらも、ユリを幸せにしたいと結婚式をあげることに。

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ダンサー時代から仲間たちが集っていたお店で二人だけの結婚式。…と思ったら!

 

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一緒にショーをやってきた仲間からサプライズで祝福。ここは歌とダンスでとても楽しいシーン。藤木さん、島津役がぴったりで歌とダンスを堪能しました。

 

ユリはダンサーとして自分が舞台に立ってライトを浴びることよりも、沖の才能を信じ、彼が作曲家として存分に活躍できるように支えることに幸せを見出し、この幸せを大事にしたい、と願います。 

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テレビでダンサーとして復帰しないか、とユリに話すも、ユリはダンサーに戻ることよりも沖との静かな生活のほうが大事―「大事なのは私よりあなた。あなたの仕事よ」

 

そして、沖は島津たちとミュージカルのグループを作り、グループでテレビのショーを手がけるなど、どんどんと頭角を現していきます。

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♪”恋の盗人”と歌う、ショーが楽しい。

こんなプロのお仕事をテレビで観られるとかうらやましいなw

 

そっと静かに、しかししっかりと結びついている二人の愛。ところが、順風満帆にみえたユリと沖の間にも、マリやミッチーと同じように別れがやってきます。突然の、思いもかけない別離。

 

 

沖との別れに打ちひしがれながら、彼との思い出を胸に生き抜こうとユリは決意します。

そして、再び”ピンクタイツ”としてショーの舞台に立つことになったマリ、ユリ、ミッチー。心にはそれぞれの愛する男性への思いを秘め。。。

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 ♪

ショー!ショー!ショー!ショーは楽しい

昨日を忘れて歌えるから

明日を夢見て踊れるから

 

それは前を向き、新しい一歩を強く踏み出すためのショー!

 

 

というわけで、冒頭で抱いた印象は最後までぶれることがなくて、見出し通りの楽しくて、切なくて、前向きになれる、ミュージカル映画井上梅次監督がのちに香港でこの作品を自身でリメイクしたそうですが、それも納得の素敵な作品でした。

 

 

他にも、有島一郎さんのお父さんぶりがおもしろかったり、輝雄さんの歌唱シーン(松竹大谷図書館でこの映画の公開時の資料を読んだ時にここに触れた記事がなかったので吹き替えなんだろうと思うのですが、輝雄さんの声に似ているので、ミュージカルらしい動きと一緒に、本人が歌っているように思って観られるのもこの映画のいいところですw)が観られたり、本文中でも書いていますが藤木孝さんの歌声とダンスを存分に楽しめたりと、沢山の見所があった本作。

映画全盛期の、スターがスターらしく憧れの存在だった時代の香りってこういうのかな?みたいな雰囲気も感じて(実際の時間を経験してない人間が言うのもなんですがw)なんだか贅沢な1時間38分。

 

 

 

と、本編についてはまとめておきつつ…どうしても書きたい!輝雄さん@沖について。すっごいはまり役でした!!

 

沖は新進の作曲家だけど、大きな会社を経営する父を持つ長男で育ちが良いからか、ギラギラした野心とか、目立ちたいというようなガツガツしたものはありません。音楽を愛し、優しい恋の歌を作り、バンドマンやダンサーたち、多くの仲間から慕われています。誠実で、穏やか。実家が裕福なのに、ユリと二人で二間の小さなアパートに暮らしていることが本当に幸せそう。でも、両親が訪ねてくると、その振る舞いに育ちの良さが自然と出てくる。そんな沖の役が、とっても似合っています٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

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このありふれた風景のステキなこと(*'▽')

 

沖さんは「愛染かつら」の浩三様や「古都」の竜介さんや、石井作品で見せるようなキッときまった表情はみせません。旦那さんがお仕事して、奥さんが家庭を守ってっていう普通の夫婦の形の、奥さん思いの優しい旦那様の表情。

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石井作品や、他のこれまで見た松竹作品の、エリートでスマートな役でみる輝雄さんとは違うタイプ。穏やかで優しい表情が素敵な沖さんがぴったりで、こういう役こそが真骨頂だったのかな、なんて思ったり(「秋刀魚の味」の駅のホームのシーンとか、小津監督が引き出してみせてくれた部分ですよね)。沖さん、大好きな役の1つになりました٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

 

小野田嘉幹監督「俺は都会の山男」

息つく暇のないハイテンション・ムービー!

 

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【映画についての備忘録その92】

小野田嘉幹監督×吉田輝雄主演「俺は都会の山男」(1961年)

 

朝日奈七郎(吉田輝雄)はコネや賄賂といったものを嫌い、どんな事でも正面から事に当る正義漢。それが禍してか、なかなか就職も決まらない。五井産業に勤める恋人の美弥子(三条魔子)は見るに見かねて、五井産業の就職試験を世話する。それは、美弥子が五井産業の会長の孫で親友のルリ子(万里昌代)に頼んだもの。ところが、七郎は面接会場の前で昼寝をし、面接官の人事部長とも喧嘩をする。心配した美弥子がとめようとするが、腹を立てて自分から会場を出ていってしまう。

五井産業のビルの前である男とぶつかった七郎。男はスリで刑事に追われていた。刑事(国方伝)にスリの仲間と間違えられ逮捕されそうになった七郎は通りがかりのタクシーに乗り込む。途中、タクシーの運転手・ミキ(星輝美)と運転を代わった七郎はスピード違反で結局逮捕されてしまい、裁判所で罰金として、スリが自分のポケットに押し込んでいた5万円を徴収されてしまった。

裁判所から出てくると、例のスリ、南一平(浅見比呂志)が財布を取り返そうと待っていたが、七郎は財布の中の名刺を見て、元の持ち主に返すという。一平を連れてユニオン興業へ。そこはヤクザの組で東京オリンピックに乗じたホテル建設のため、五井産業の亀谷社長から地上げの依頼を受けていた。中身の5万円はアルバイトをしてでも返す、という七郎は一平の世話で銀座のバーでバーテンのアルバイトをすることに。しかし、そこは地上げのためにユニオン組の嫌がらせを連日うけていた。七郎は持前の正義心を発揮して彼らを撃退するが、騒ぎがきっかけでまたもや警察に逮捕されてしまう。

身元を引き受けてくれた美弥子とも喧嘩になり、行く当てのない七郎。一平は彼の喧嘩の腕前で一儲けしようと、七郎を自分の下宿に住まわせて、正義の味方をかねてカップルを脅すタカリ、商人を脅す地廻り整理などなど、弱い人を助けるために喧嘩を買って出る”喧嘩商会”を始めることにする。

 

 

 

今回の備忘録、見出しはきちんと(!?)つけておりますが、見終わって最初に思ったことは「なんやこれ~ヾ(≧∇≦)(=かっこよくて、かわいくて美しい吉田輝雄を愛でるための映画やないかい!!)」でしたw

七郎は行く先々でイケメンすぎて女性に惚れられwマスコミに取り上げられると10代のアイドルと騒がれ、惚れた女性達はみんなで七郎をとりあい、後援会まで作ろうか、という状態。喧嘩商会ってくらいですから、もちろんあちこちで喧嘩しまくって、長い手足で存分にアクションを繰り広げます(・∀・)吉田輝雄の顔とスタイルが説得力を生み出すwこの設定(*^O^*)

 だって、初登場シーンでは面接前に寝てたと思ったら、次の登場シーンではこの表情ですよ。うーん、ハンサムタワーヾ(≧∇≦)

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さて、映画のほうは、このハイテンションの書き出しに負けないwハイテンションな映画。なぜかというと、

 

 ①事件は次々と起こり、しょっちゅう七郎は誰かと言い合いや殴り合いになる

 ②七郎は次々と女性に惚れられ、女性陣はみんな全力で彼をとりあい。

 ③たくさんのコメディアンが次々と登場。その都度、コント(?)を挟む

 ④七郎と敵対する側(ユニオン興業と大日本殉国党)もみんなコメディ

 プラス、一平が関西弁で調子よくまくし立て続ける

 

84分の映画でこれが延々と続くから!

次々押し寄せるアクションとコメディで、おなかいっぱいにしてくれます。

 

最初の15分ほどで➡面接会場を怒って飛び出し警官と一悶着(①)、逃げるために乗ったタクシーの運転手ミキは七郎の運転ぶり(めっちゃスピード出します)とハンサムぶりにほれ(②)、

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②まずはタクシー運転手のミキ。星さんかわいい(*^O^*)

七郎を車で追いかけてきたルリ子も惚れてしまう(②)

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② 会長の孫娘にも惚れられ。万里さんもキュート。

 

交通違反で逮捕されたかと思うと、判決を言い渡す判事と事務官は由利徹さんと南利明さんで(③)。

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③ ここでコントに巻き込まれる吉田輝雄

 

罰金にとられたお金は一平がスリでとった財布を七郎に押しつけたものだったので、財布をユニオン興業に返しに行くも、組長(沢井三郎さん。「暴力五人娘」でもコミカルな演技にめっちゃ笑いました)は、5万円の利子に指をつめてもらおうか、とか言う割に全然迫力がなくて愛人・春千代(橘恵子)に甘く、七郎のハンサムぶりを見た彼女に「たかが5万円くらい許してあげて」と言われてあっさり七郎を許し(④)ちゃうし。

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④沢井三郎親分と子分(・・・俳優さんのお名前が分からない(^_^;))が終始面白い。


 

んでもって、春千代は、案の定、このハンサムぶりで七郎に惚れてしまう(②)、という次第。⬅と、こんな感じ。

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② これでまたヤクザの組長の愛人に惚れられてしまうというw

 

ここですでに恋人の美弥子を含め4人の女性に惚れられたというのに、5万円を返そうと思って一平の世話でバーテンのバイトを始めちゃったもんで今度はバーのママと一平の住む下宿(質屋)の女主人が七郎のハンサムぶりに惚れてしまって、七郎の取り合い(②)。

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このお姿はやばいです(語彙力)

 

と、思ったら今度はユニオン興業がやってきて暴れるので、見かねて七郎は彼らをたたきのめし(①)

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結果的に逮捕されてしまう、と。

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国方伝さんの刑事に逮捕され、すでにこれで2回も警察に捕まる

 

 

警察で説明して、美弥子が身元引受人として七郎を迎えに来るも二人は喧嘩となり・・・(①)(一平、関西弁で二人に絡む)

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怒って家を出てくると(七郎は美也子の実家に下宿していたらしい)一平の下宿に強引に連れて行かれ、その道中で洋食屋でヤクザがいちゃもんつけて主人(三遊亭小金馬)を困らせていたので(さらにクリーニング屋の江戸屋猫八さんと保険外交員の一竜斎貞鳳さんも絡んでコント状態。お笑い三人組、ってなんか懐かしの番組紹介する系で見たことあるぞ)間に割って入って喧嘩になる、という一悶着(①、③)。

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で、結局、一平にのせられて喧嘩商会を始めます。

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こんなシーンでもスタイルの良さが分かるハンサムタワー(*´▽`*)

 

 

絡まれてるカップルを助けてあげたり(①)、喧嘩商会は順調な(!?)滑り出し。

そんなとき、ユニオン興業が地上げのために雑誌社「週刊天国」の編集部内で暴れ回っているのを助けに喧嘩商会が入ってくると(①)、ここでまた七郎は右の記者(!?)さんに惚れられてしまい(②)雑誌の記事にとりあげられます。

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これがきっかけで「10代のアイドル」として人気になり、

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テレビにも出て、社会評論家(コロムビア・トップ)から批評をうけ(③)。

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コロンビア・トップ・ライトのコントに巻き込まれる浅見比呂志

 

と、まぁ、喧嘩して、惚れられて、コント見て、惚れられて、喧嘩して、コント見て、みたいな繰り返しw休むタイミングなし。んでもって、七郎は笑顔と怒り顔とアクションを繰り返すのでハンサムさのほうも息つく暇なし(*^O^*)

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七郎に惚れちゃった皆さん一挙集合。このメンバー勢揃いシーンはまだまだあって、七郎をめぐって喧嘩しまくりでこれも忙しい。

 

喧嘩商会に地上げを邪魔されて先に進まないユニオン興業。業を煮やした亀谷社長は右翼団体の日本殉国党に依頼することにします。日本殉国党とユニオン興業は結託し(ユニオン興業は殉国党に入党w)て、七郎と一平は逮捕。これで邪魔がいなくなったので地上げがすすむ、と目論むユニオン興業と日本殉国党(④)。

しかし、七郎に惚れた女性陣が我先にと保釈金をかき集めに走り(②)、最初にお金を用意した質屋の女主人が身元引受人に。七郎がいない間に殉国党が暴れ回って被害を受けたことを聞き、そのまま質屋へ様子を見に行くことに。

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ハンサムタワー(*^O^*)

女主人は七郎を自分のものにしようと蔵の中に閉じ込めてしまいます(^_^;)(②)

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七郎が中にいることを知って駆けつけた女性陣。蔵の外で七郎を出すのにいくらお金を出すか、と言われて、セリのような状態にw「マグロやイカじゃないんだぜ」とすねる七郎。かわいい(*^O^*)

 

で、結局、七郎の保釈金がういてしまった美弥子が七郎に会わせることを条件にその金で一平を保釈し、一平は七郎を蔵からこっそり連れ出し、その条件に美也子に会うように、と言います。

美也子に会いに行く途中でまたもや殉国党に襲われて、1対大勢で殴り合いになります(何回目だ!)(①)

七郎は、地上げを辞めさせるために殉国党と最後の喧嘩をすることに。一平の作戦の機転もあって、安保のデモ隊VS殉国党で大騒ぎ。(①、④)

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殉国党、党首がヒトラーみたいw両端のお二人がずっと面白いのよw

 

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先頭にいる一平のプラカードが「何でも反対」でwおまわりさんによりデモ隊と殉国党、交通整理されてしまいますwこの方のこの前の場面でも交通整理してて持ちネタなのかな。

 

この騒動の中で七郎が殉国党の幹部たちを倒し、五井会長に会って地上げをやめる約束を取り付けて、こちらの問題は解決!七郎の人物を見て、五井産業へ入社しないかと会長に言われますが、そんなのはまっぴらごめん、と会長室を飛び出します(①)。

 

映画の最後は、相変わらず七郎を取り合う女性陣(②)と、喧嘩商会を続けたい一平と、ついでに七郎を呼び戻したい人事部長に追いかけられながら、

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美弥子と二人で銀座のビルの中を逃げて、おしまい。

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二人の身長差がかわいくていいんですよね(このキャプチャだとわかりにくいw)

三条魔子さんとの組み合わせも似合っていて好きです。

 

 

というわけで最初から最後まで①~④がこれでもかと繰り出されw見出しの通りの息つく暇のないハイテンション・ムービー(コメディなの?アクションなの?)。映画の音楽がこのタイトルから想像してなかったアップテンポなジャズのメロディでこれもまた映画のこの雰囲気に拍車をかけていたようなw

おまけに初主演前の「爆弾を抱く女怪盗」(1960.2.7公開)からたった1年ほどで(本作は1961.2.22公開)吉田輝雄がめっちゃ洗練されたハンムに変貌をとげているので、ストーリーと関係なく、画だけで(≧∇≦)ってなるシーンも多くて、そういう意味でも息つく暇のない、映画なのでありましたw

 

 

梅津明治郎監督「純情二重奏」

メロドラマの要素が詰め込まれたリメイク作品…も、詰め込みすぎてしまったようで。

 

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【映画についての備忘録その91】

梅津明治郎監督×倍賞千恵子主演「純情二重奏」(1967年)

 

信州の美しい湖畔ー孤児養護施設の保母・栄子(倍賞千恵子)は、母のきくが死ぬ時に残した日記帳を見て、自分の父が、作曲界の重鎮河田武彦(北竜二)であることを知る。河田に会うことをためらった栄子だったが、日記を栄子に残した母の思いを感じ取り上京して河田の元を訪ね、きくの死を告げた。河田は栄子を自分の娘であると思いながらも、今の家族ー作曲家としての恩師田島(早川雪洲)の娘である妻・恒子と、もうすぐ二十歳になる娘・八千代(倍賞美津子)ーのことを思い、娘と認めることができなかった。

きくの思いを無碍にされたような思いで怒りを抱えながら街を歩く栄子は、関(吉田輝雄)という男と知り合う。彼は河田の弟子で新進作曲家としてレモンレコードに所属している。栄子は父への反抗心もあり、関を通じてレモンレコードでテストを受けることにする。歌の才能を認められ、レモンレコードでデビューし、新人賞の候補と目される栄子。しかし、八千代もまたレコードデビューをしたばかりで、同じく新人賞候補であった。

新人賞の候補を決める会議―審査員の意見が分れ、河田の意見で決定するというとき、河田は八千代で行くことを決めた。それを私情だと怒る関に、河田は栄子が実の娘であり、八千代が実の子ではないことを打ち明ける。八千代は恒子が戦時中に身ごもった子供で、その相手は学徒出陣し、戦死した。恩師の苦しみを見た河田は恒子と結婚することを決めたのだ。それ以上何も言えなかった関は、新人賞候補に落選してしまった栄子に八千代の出生の秘密を打ち明けながら、励ますのであった。

しかし、複雑な思いを抱え、栄子は故郷へ帰っていく。関はその後を追い…。

 

*いったん公開してたのですが、ラストの曲名が純情二重奏かと思い込んでたら「たそがれの母情」で、全然違う曲だったので(^_^;)修正して再度アップしました。いやー、なんで信州で二人で話した後の流れで「純情二重奏」じゃなくて「たそがれの母情」になるのかw

 

こちらも輝雄さんから送っていただいた!!作品ですヾ(≧∇≦)輝雄さんのフィルモグラフィーを観ると、これがメロドラマ映画としては最後の作品になるのかな、と思います。正統派のメロドラマでの正統派の二枚目を堪能しましたヾ(≧∇≦)

 

 

戦前に高峰三枝子さんと木暮実千代さんで制作された松竹のヒット作をリメイクした作品で、倍賞姉妹の初共演作だそうです(映画の中では高峰さんがベテラン歌手としてレコーディングしているシーンもあります)。劇中で映画のタイトルと同じ「純情二重奏」が歌われて、これも戦前のヒット曲のようです。

オリジナル版を観ていないのでどのくらい元の作品を意識して制作されたのかは分かりませんが、どうしても古さを感じてしまうところはありました。リメイク版の劇中で栄子が口ずさむ「純情二重奏」はオリジナル曲をそのまま使っているんだろうな、という時代を感じてしまうメロディ。クライマックスで歌う「たそがれの母情」もそんな感じです。台詞も、1967年とはいえこれは流石に…と思うような、オリジナル版そのままのような“くさい”台詞もあり。その台詞は主に輝雄さんに割り当てられているのですがwそこは吉田輝雄。違和感なく見せてしまうという、王子様ぶり٩(๑❛ᴗ❛๑)۶というわけで、輝雄さん@関の王子様ぶり&眼福なシーンをはさみながら(っていうか、こっちがメインのような気もw)、備忘録をつけたいと思います。

 

 

オリジナル版は前後篇と分かれていたようで、それを89分に仕上げているのでこの映画は長いストーリーをかなり短くまとめているのではないかと思います。

で、見出し。血のつながりがない複雑な関係の姉妹。姉は母子家庭で育ち、方や、妹は有名作曲家の娘として不自由なく育つ。妹は姉を姉とは知らず、その二人がライバルとして歌手を目指し、一人の男性に互いにひかれる。妹は姉に辛く当たり、姉は妹を思い身を引くが、男は姉を追い…と、もう、端折って書いただけでも昼ドラにもなりそうな、メロドラマの要素がふんだんにもりこまれています。これをギューッとまとめた結果、テンポ良く話がすすんでいいな、と感じられる部分と、それ故に心の揺れみたいなところを踏み込んで描けてなくて、姉妹の葛藤も、そのどちらにもいまいち感情移入できない残念な部分があって、なんだか勿体ない…。倍賞姉妹に輝雄さんとかいう素敵な組みあわせなのに。

 

 

ただし、詰め込んだ分、逆に映画の前半の栄子が歌手デビューを果たすまでのところは、まとまっていてテンポよくすすみます。

母が亡くなり、河田の元を訪れるも、娘と認められず失意のまま街を歩き。。。偶然に寄ったレストラン。関がジュークボックスで自分の曲をかけて聴いていると、曲が終わってまた栄子が同じ曲をかけます。でも、曲の途中で出て行ってしまい、それを見た関が気になって栄子の後をおって声をかける。。。なんという偶然!しかも関は河田の弟子(映画だからいいのだ)!住むところがないというので、関は自分が住むマンション(山手芸術村、という芸能関係の仕事を目指している人たちの住むマンション、っていう設定で面白いです)を紹介して・・・翌朝、オーディションを受けに行くことに。

その前に関の部屋に八千代が訪ねにきて最初の姉妹の遭遇、二人で関を取り合うことになるのね、と無駄なく進んで物語の本題に入り、だるい展開にならずいい感じ(このマンションには本作のコメディ担当?漫才師の晴乃チック・タックさん‐当時人気の漫才師さんだったようで‐が住んでいて、個性の強い大家さんと一緒に笑いを誘ったり、何というか「泣いて笑った花嫁」などを観たときに感じた安心して観られる雰囲気を感じてそれも良かったり)。

 

 

はい、でここで最初の輝雄さんの眼福シーンが登場ヾ(^▽^)ノ関は作曲家なので、自分の部屋にピアノがあるのですが、このピアノの前に座る姿がめちゃ素敵なのです♪「たそがれの母情」のメロディの曲を作曲する人には見えないっていう大問題はあるのですがw浅黒くて、煙草を浅くくわえてる姿(→このブログでたびたび書いてますが、この姿がほんとかっこいいんですよねぇ(〃▽〃))が渋くてつやっぽくて良いのだ!これでこの時31歳ってどういうことヾ(≧∇≦) 

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作曲家というよりジャズピアストやっててほしい感じ(*'▽')

 

栄子はオーディションに合格して、レッスンを受けながらレコードデビューを果たします。

 

と、ここまでは良かったのですが、本題に入ってからもこのテンポでエピソードを積み重ねていくので、姉妹の歌手としてのライバル関係、親子の絆、関との恋愛、あと、河田と栄子の母親の思い出も、どれもが足早に描かれていきます。それぞれ内容濃いので、このうちのどれかに焦点をあてて描いていたら、何かが残ったんじゃないかなぁ、と思うのですが、全てが足早であっさりで、とくに印象に残るエピソードがなくて、結局どこが主題なのだ?と言う感じ(「愛染かつら」もきっと同じように長いお話だったのだと思いますが、うまくエピソードをまとめているんだろうなぁ、と思います)。

 

 

…そんな駆け足で流れていく展開ですが、東京を離れた栄子と、彼女を追いかけてきた関が二人で歩くシーンは印象的です。新人賞の候補が八千代となり、そのお祝いの席上で関との婚約までほのめかされた栄子はショックをうけてしまい、信州へ帰ります。川辺(千曲川?)を歩く栄子の前に現れる関。このときの信州の自然と、その中を歩く栄子と関の美しさよ。スタッフの方のお名前を見ると撮影が小津作品の撮影をされていた厚田雄春さんで、だからあんなに美しく映し出されているのかしら、と思ったり。このシーンが綺麗なので、この中を二人で歩きながら、栄子が前に進むことを決意し、新たに曲が生まれて行く(というここもなかなかの急展開だけどw)、というのもなんだか説得力が出てきます。

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そして、ここのシークエンスは私的に眼福なシーンの連続(゜∀゜)輝雄さんの王子様ぶり全開のセリフと表情が盛りだくさんです(゜∀゜)東京から栄子を追いかけてきた関は…

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「栄子さん。…僕はとうとうあなたを呼び止めてしまった。呼び止めた気持ちを分かってくれますね。僕は、あなたを選んだのです。はじめて会ったときから君を愛し、君を理解することができていた。ほんとだよ」

 

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「逃げるだけなら誰でもする。逃げてはいけない。この体を突き抜けていくような悲しみ、喜びもそれを歌や芸術に昇華することによって僕たちの値打ちが生まれてくる。涙の替わりにピアノで泣こう。喜びを歌で歌おう。僕たちはそうしなきゃいけないんだ。いつまでも後ろに気をとられちゃいけない。こうして二人が歩いて行くように前に向かってどんどん進むんだ。前に。」

 

ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ

 

見返して冷静に聴いたら“くさい”台詞なんだって気付くんですがw関さんがハンサムすぎるので、ただひたすらかっこいい台詞にしか聞こえないヽ(≧▽≦)/要するに、少し古い香りのするガチガチのメロドラマを真面目に成立させてしまう、飛び抜けたハンサムさなわけです!

 

そして、東京に戻り前に進もうと決めた栄子に見せるこの笑顔(*´▽`*)

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もうこれ王子様ですやん(*´▽`*)

東京帰っちゃいますよね(*´▽`*)

 

と、もりあがってこれでハッピーエンドを迎えて終わりじゃなくてもう一波乱二波乱ありまして。この辺がなんか盛り込みすぎてかえって浅くなっているというもったいない感じなのです…。

 

栄子の母が河田のことを思って書いた詩をもとに、栄子を追って信州を訪れた関がその空気を感じて曲を書き、河田がアレンジして完成した作品「たそがれの母情」。それは栄子が歌うのが相応しい曲。が、この曲を聴いた八千代が自分が歌いたい!と河田に言い出します。

 

八千代の我がままと河田の心境を察して、関は八千代に、この歌を歌うべきは栄子であり栄子が八千代の姉であると伝えます。しかし、八千代と河田に血の繋がりがないことまでは話せず。

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この厳しい表情がまたいいんですよねぇ(*‘∀‘)

 

栄子は八千代のことを思い、そして河田が栄子の母を思いこの曲を作ってくれたと感じ、それで満足だと身を引く決意をします。関は「自分が幸せになることを考えろ」と言うのですが…

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お母さんと同じ生き方になってしまうじゃないか、と栄子を諭すのですが…。

八千代の時とはまた違った厳しい表情でこれもまたカッコいい(←結局これw)。

 

結局、栄子は歌手をやめて信州に戻ります。

 

…が!しかし!「たそがれの母情」が芸術祭の大賞をもらうことになり、その発表が近づく中、八千代は河田と関が話しているのを聞いて、自分が河田の娘でないこと、栄子が実の娘でありながら、河田と八千代のために身を引いた事、すべてを知ることに。

そして、関の名前で電報をうち、芸術祭に栄子を招待します。「たそがれの母情」を舞台上で歌う八千代は、知らずに芸術祭の会場へ訪れた栄子を見つけ

 

「私にはこの歌を歌う資格はない」

 

と、歌うことをやめ、栄子を舞台によびます。

そして、曲の最後は河田の指揮するバンドの演奏で二人で歌い

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改めて姉妹として再出発して大団円。

 

 

ということで90分弱の映画の後半で、2回も故郷に帰ってしまう(^-^;)エピソードの詰め込みようで、”出来事”を追いかけるので精いっぱい…。2回目に故郷に帰る前とか栄子と関の別れのシーンみたいなのもなくて、気が付いたら関は栄子のことをなんとか吹っ切っていたりして(^_^;)どこかの要素をそぎ落として、その分、栄子と八千代の葛藤にもっと踏み込んだ描写があったり、関と栄子のシーンがしっかり描かれていたりしたら、最後ももっと幸せ感あふれる結末になったと思うのですが、そこらへんが薄いので感情が追い付かないまま「良かったね」っていう感じで終わり。せめて2部作にするくらいで作ってあったらな、と思ったり。せっかくの題材とキャストなのに…もったいない。

でも、輝雄さんがめっちゃかっこよかったのと、倍賞姉妹の共演が観られたという点は言うことなし♪

 

そうそう、輝雄さんはこの時期すでに石井作品、東映作品への出演が増え始めていたからか、浅黒いハンサムさんで男性向けの映画に似合う雰囲気(*‘∀‘)で、松竹大谷図書館で見たこの映画の公開時の資料では、”久しぶりにホーム(=メロドラマ)に戻ってきた”みたいな記事が( *´艸`)そんなわけで、「愛染かつら」の浩三様のようなメロドラマにぴったりの白面の貴公子、ではなかったのですが、このビジュアルでメロドラマの相手役という、ちょっとほかでは観られそうにない王子様ぶりで、これもいいわ!と思ったり(*'▽')新東宝⇒松竹⇒東映で男性向けも女性向けもこなしていた輝雄さん、いったいどちらがご本人的にはホームだったのでしょうか( *´艸`)

 

 

 【本編と関係ないところの感想】

ちなみに、最後はこんなシーンでおわり。松竹歌劇団出身ということでこの展開なんだと思うんですが…突然これw

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なぜ最後、色違いのおそろのワンピで踊るというシーンで終わるのか、ここだけおかしいw

 あと、終始、栄子の服装が参観日のお母さんみたいだったのが気になってしょうがなかったなぁ(^-^;八千代はオシャレで可愛かったのにw