T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

石井輝男監督「神火101 殺しの用心棒」

 ジェームズ・ボンドが主役・・・じゃない!! 

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【映画についての備忘録その74】

石井輝男監督×竹脇無我主演「神火101 殺しの用心棒」(1966年)

 

香港ー偽札偽造組織がアジトにしているホテルの一室。組織の首領格の一人が電話を受け、秘密警察・神火が新たなエージェント・101(吉田輝雄)を香港に送り込んできたとの連絡を受ける。その電話の途中、部屋に盗聴器が仕掛けられたのに気づく偽造組織。神火はそれを察してアジトに乗り込み逮捕を試みるが、互いに大きな犠牲を払う。しかし、肝心の盗聴の記録となったテープは行方不明。そのテープは神火に追われた組織の一人が息絶えたナイトクラブの前の鉢植えの中に隠されていたのだった。

神火の手にも組織の手にもわたらないテープ。それを見つけたのはクラブで働く阿蘭(吉村実子)だった。阿蘭は自分の働くクラブの前で起きた殺人事件とそのテープに関連があるのではないかと考え、恋人のタンレイ(竹脇無我)にそのテープの存在を伝える。テープを聞き、偽造組織の存在と神火101の存在を知ったタンレイ。水上生活者・蛋民のボス(嵐寛寿郎)の手を借りながら、暗躍する悪の存在を追求することにする―。

 

 

 

石井輝男 キング・オブ・カルトの猛襲/ラピュタ阿佐ケ谷 の鑑賞記録、まだまだ続きます。通いすぎw3回券何回買うねん。

 

石井監督が松竹で撮った3本の、3本目。1本目と同じく竹脇無我さんの主演。ポスター画像でもわかりますが香港とマカオでロケをした作品。「日本映画の輸出に貢献する」とかいう趣旨の今まで見たことない決意表明のテロップから映画が始まります。

 

さて、このタイトル「007は殺しの番号」(「007 ドクター・ノオ」の公開時のタイトル)とか「007 危機一発」(「007 ロシアより愛を込めて」の公開時のタイトル)とかみたいですよね。ね!ね!・・・ね!なんなら007シリーズの各タイトル、このルールですし。こりゃ、敏腕エージェント・神火101の大活躍だね!って思うじゃないですか!んで、竹脇無我主演ですから、竹脇無我さんが101だと思うじゃないですか!!…じゃなかったんだよぉ!101は吉田輝雄で、101は主役じゃないんだよぉ。+゚(*ノ∀`)輝雄さんはまさに、ジェームズ・ボンドのごとし、だったのですが(≧∇≦*)

 

 

タイトルと構成の不一致をはじめ、いろいろとあって、モヤモヤがつきまとうこの映画(笑)

無我さん(どうしてもファーストネームで書きたくなるお名前)は101じゃないんだったら何なのか?というと、よく分からない。国の諜報員というわけではない。警察官でもない。正義を貫くジャーナリストとかいうわけでもない。何のために我が身を危険にさらして秘密を探っているのか分からない。そして、後半になって明かされる、「国際冒険家」とかいうよく分からない分類。ん??何それ??とりあえず、悪には与しない、正義の人なのは分かったけど、我が身を危険にさらす趣味のある人?

タンレイは女性にモテて、切れ者で、偽造組織の手先(菅原文太さん)にも対等に渡り合う腕力もある(何なら途中、101と殴り合いになったりしますが、負けません)。黒いスーツでナイトクラブにあらわれ、ルーレットに勝ち、香港の夜の街をオープンカーで走ったり、彼女との甘いシーンもあるしで、裏も表も知った大人の男。この人物像は完全にジェームズ・ボンド意識してますやん。でも、演じている無我さんはそういう振る舞いをするにはどうにもまだ若くて大人の色っぽさが足りないし、榊原伊織のごとき生真面目さと表の世界でまっとうに生きてる人感が醸し出されていて、残念ながら、しっくりこない。「チャオ!」とか言っちゃうけど、全然似合ってないし(^◇^;)「日本ゼロ地帯 夜を狙え」の時もそうでしたが、演じている役に求められるもの(というか石井作品?)と個性が違いすぎない?しかも不運なことに(!?)神火101が輝雄さんなので、竹脇無我さんの役のあってない具合が目立つ。

タイトルロールが主役じゃない、国際冒険家というよく分からないお仕事、そして、この主演俳優と役との不一致。モヤモヤするぅ^_^;

 

加えて、ボンドガール的な立ち位置の阿蘭。キャラクター的にはかなりかわいいのですが(お別れのキスをせがむような女の子ですし)、吉村実子さんが、すみません、あんまり似合ってない、というか美人とは言い難いのもモヤモヤ(^◇^;)ボンドガールなのにこれはダメでしょ、っていうσ(^_^;バニーガール姿は可愛かったけどね。

 

 

さて、そんななか?神火101=吉田輝雄。はまりすぎ。似合いすぎ。ド派手なアクションと女の子とのイチャイチャは国際冒険家に譲りますが(というか、石井監督は輝雄さんに女の子とのそういうシーンは演じさせないですよね。異常性愛路線はあれだけど、それでもだいぶ抑えめにしている気がする。いつも硬派ないい男なんですよね)、まさに007、敏腕エージェントといった佇まい(〃ω〃)出番は多くはないけど、この年の輝雄さんのかっこよさを思う存分愛でることができます(〃ω〃) タキシード着てナイトクラブに現れるシーンとか、完全にジェームズ・ボンド。惚れ惚れします(いつもしてるとかいうツッコミはなしで)。単独行動のスパイなので、全然喋りませんが(台詞あるシーン、すごい後半なの!めっちゃ待たされるの!)同じ場所にいる黒いスーツ姿の無我さん、主役なのに完全に割り食ってます。神火101、デキる男感、いい男感、醸しだしすぎ(≧∇≦*)国際冒険家と二人で偽造組織を追いつめたときの銃撃戦も、スラリとした長身と長い手足で華麗にこなし、白い砂浜で銃を撃つシーンとかめちゃめちゃ絵になる(≧∇≦*)黒幕の乗ったセスナを銃で撃って、何やら目的を達成したようなニヤリ、も様になる。

ジェームズ・ボンドのようなハンサムがそこにいて、しかもタイトルロール。なのに主役じゃないwおかしいってばw石井監督もほんとは神火101を主役にしたかったんじゃないかなぁ。だって明らかに神火101のほうがかっこいいんだもん!!

 

今回の備忘録、どんな映画なのか全く伝わらないw後で自分で見返したときにストーリーを思い出す助けになるんだろうか、これw内容を知りたくて読んだ方も、こんなんですみません(;^_^A

 

香港の街を駆け回るアクションやオープンカーで疾走するシーン、たくさんの船が係留された場所で暮らしている水上生活の人達、レパルス・ベイ(「女体渦巻島」で死ぬ間際に百合が信彦に話してた思い出の場所はここなのか!と思いましたw)やマカオの様子、まさかの黒幕と面白い要素もあったのですが、映画そのものについてはモヤモヤがつきまとって消化不良な感じだった、石井輝男監督の松竹3本目。アラカンさんとか大木実さんとか、いつもの俳優さんも出てくるし、一つ一つのアクションの面白さといった部分はありましたが、石井監督らしいテンポのよさや切れ味はあまり感じられませんでした。香港の漫画が原作、香港のキャスト・スタッフ大勢、といった環境では、石井監督も思うようにできなかったのかな?とか思ったり。。。

 

 

今回のラピュタ阿佐ヶ谷の特集で、1966年の石井監督が松竹で撮った3本の輝雄×輝男作品をすべて観ることができました(ラピュタ阿佐ヶ谷さん、ありがとうございますー)!主演に竹脇無我さん、宍戸錠さんと普段起用しない俳優さんが使われたことで、かえって、石井作品における輝雄さんの存在感とその世界観の体現ぶり、また、石井監督作品だからこそ引き出される輝雄さんの魅力をあらためて感じたり。輝雄を1番かっこよく撮るのは輝男なのであります('◇')ゞ(持論)。松竹3作…輝雄さんの役はどれもテイストが異なっていて、そしてどれもかっこよかったなぁ(//∇//)やっぱり1966年の吉田輝雄は最高だヾ(≧∇≦)

これで、あと観られていない輝雄×輝男の映画は「恋愛ズバリ講座」のみ(あと、テレビで火サスで石井監督が撮ったものに輝雄さんが出演されているものがあるようですが。「おんな怨霊船」は鑑賞済み)。一気に観られて嬉しい反面、「見たことがない作品が観られる」楽しみがなくなってちょっとさみしい気分だったりσ(^_^;(わかっていただけますかね、この感じw)

 

そして、ほんとにこの3作、ソフト化してください!!お願い、松竹さん!!