T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

曲谷守平監督「暴力五人娘」

いつもの(!?)大蔵新東宝流。名は体を表さない“ゆるかわ映画”

 

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【映画についての備忘録その66

曲谷守平監督×大空真弓主演「暴力五人娘」(1960年)

 

白百合服飾大学の教頭中園(沢井三郎)は、無類の善人でそして少し頭の弱い理事長・権藤伝右衛門(国方伝)を更送し、自分が理事長のを画策して、中園のバックには、大学を乗っ取らせたあとに観光ホテルを建てようと企んでいる河田組がついていて、河田(並木一路)の手下を利用して理事長排斥運動を学内で叫んでいたりと、あの手この手をしかけてくる。さらにそのバックには中国人の黒幕(大友純)がついている。

智代(大空真弓)、信子(万里昌代)、直子(三条魔子)、礼子(扇町京子)、義江(橘恵子)ら五人の学生はその悪事に気づいてあれやこれやと伝右衛門の世話を焼き、自分たちに下心で自分たちに近づいてくる中園や河田をやりこめる。

そんなわけで一向に進展しない理事長更迭に業を煮やした河田は、殺し屋の和彦(菅原文太)を送り込んでくる。家の前で車が動かず困っていた伝衛門を助けるふりをして近づいた和彦。伝衛門を河原に誘い出して車の事故に見せかけて殺そうとするが、かえって自分がケガをしてしまう。そんなこととはつゆ知らず、和彦の看病をしてやる伝右衛門。その人の好さにすっかりほだされ、和彦は智代らとともに理事長を助け、学園の乗っ取り阻止に手を貸すことにするのだが。。。

 

 

シネマヴェーラ渋谷の新東宝特集―玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のとことんディープな世界Ⅳ―、『ママの新婚旅行』で「いい映画観たなぁ」とホッコリしたあとに続けて観たのがこちら!もう、見出し通りで(笑)いいです!こう言う振り幅が昨年、今年とこの特集上映に来てみて楽しいところ!

 

まずもって、素晴らしいタイトル!タイトルとメインビジュアルの一致していない感、すごいですよね。これだけですでに気になる!”暴力”なんていかついタイトルですが、映画そのものはそれに該当(!?)するシーンもゆるくてコミカルでクスクスしながら見ていた次第。

 

五人娘はみんなそれぞれビジュアルに個性があってかわいく、この5人がかわるがわる活躍するので目にも楽しい♪

なかでもメインは大空真弓さんで、智代はかわいらしい外見なので、中園や河田が下心で寄ってきますが、それをうまく利用しちゃう勝気さと賢さの持ち主。ネグリジェショーを開きたいというのがかねてからの夢(服飾大学だからファッションショーやりたいのは分かるけど、なぜネグリジェ⁉大蔵新東宝的なサービスと思われて楽しいw)。そのためのパトロンを紹介してあげるからと中園に食事に誘われると、高級レストランへ案内させ、いつの間にやら一緒についてきていた信子たちの分も一緒に注文wパトロンとして河田を料亭で紹介されるも、うまいこと逃げて(おちょうしを並べてその上にたたせて”調子に乗ってる”とかいうダジャレをはいて逃げるというゆるさw)、でも、ちゃっかりネグリジェショーは開催して代金は河田へ請求、とかw

 

信子は新聞社でバイトをしていて、特ダネを追いかけてバイクにまたがる男勝りの女の子。万里さんのきりっとした眉や目が信子にぴったり。三条さんの大阪弁のかわいらしさ(東京のご出身のようですが)とかセクシーな扇町京子さんとか、頭が良くて真面目そうな橘恵子さんとか、他の作品で見てきた女優さんたちのそれぞれの持つ個性がスクリーンのなかでイキイキとかわいらしく写し出されます。

 

んで、かわいらしいのは女の子だけじゃなくてw国方伝さんの無邪気な子供みたいな伝右衛門さん(家の中はおもちゃ箱のような発明ラボになっていますw)や、殺し屋なのにちょっと抜けてて、女の子たちの言われるままに女装までしちゃう菅原文太さんの和彦とか、男性陣もやたらとかわいい(^^)

 

私は東映のヤクザ映画の菅原文太をまだ観たことがありません。「夜の片鱗」で脇でガチガチのヤクザを演じているのを観ただけで、多分、これが後の東映作品の役の系譜に連なると想像しています。一方、新東宝の役はここまで観た作品はそれとは違って、いずれも都会的でソフトな雰囲気の役。今回の和彦は登場だけは凄腕の暗殺者のクールな雰囲気でしたが、ベルトが切れてパンツ丸見えになったりw、伝右衛門の純粋さにほだされてあっという間に寝返ったりwと、二枚目なのに抜けているコミカルな役がはまっていて好印象。ヤクザ役がはまっていたからこそ、スターになっていったのだとは思いますが、個人的にはソフトで都会的な菅原文太、いいなぁ、と思いました!

 

 

ゆるくてかわいいシーンが多くてあれこれ書きたいので、ちょっと箇条書きにしちゃいます。

 

・河田の後ろにはさらにバックに中国人実業家(マフィア?)がついていて、もちろん演じるは大友純さん

・唐突に始まるネグリジェショー。

・河田、ついに理事長を捕まえようと家へ乗り込むが、忠臣蔵の討ち入り状態

・討ち入られるも伝右衛門が作ったロボットが動き出しで大活躍(笑)

・河田のアジトはなぜか仕掛けがいっぱいのお化け屋敷のよう

 

とかとか!

 

曲谷監督の作品は今回初めて観たので、沢井三郎さんと並木一路さんとかこれまで馴染みのなかった(沢井さんはフィルモグラフィに「女巌窟王」が入ってたので観たことはあるらしい)俳優さん達の存在感もたっぷり楽しめました。沢井さんの理事長役には特に何度も笑わせていただき、次に新東宝作品を観るときは沢井三郎さん、要チェックです!

 

(ハンサム・タワーズのそれぞれに若手監督をつけて組ませた、というの、文太さんの場合は曲谷監督なのかな。何本か一緒の作品があるみたいだし)

 

 

 

きちんと筋道たった映画でないと認めない、というタイプの方にはおすすめできないのは大蔵新東宝のいつものこと(だよね?)でwそういうのも良いよね!という方にはぜひ一度観てみることをおすすめします(・∀・)