T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

小田基義監督「ゴジラの逆襲」

これは怪獣映画だ。 

 

 

 

 

【映画についての備忘録その67】小田基義監督×小泉博主演「ゴジラの逆襲」(1955年)

 

大阪に本社を構える株式会社海洋漁業の魚群探査機パイロットの月岡(小泉博)は、岩戸島に不時着した同僚の小林(千秋実)の救助に向かい、島へ着陸する。そこで二人は断崖の向こうにゴジラの姿を見る。ゴジラに襲われるかと思われたとき、さらに巨大な怪獣が現われ、両者は格闘しながら海中に沈んでいった。

報告を受けた大阪警視総監は緊急会議を開く。そこにはゴジラを目撃した月岡と小林、さらには東京でゴジラ対策にあたった動物学者山根(志村喬)もいた。二人の目撃情報から、ゴジラとともに目撃された怪獣はアンギラス、学名アンキロサウルスと推定された。アンギラスもまた、水爆実験で眼覚めたのである。

緊急会議でゴジラ対策を、と助言を求められた山根は、防ぐ方法はなく、ゴジラを大阪へ上陸させないようにすること、と答える。その方法とは、水爆実験の記憶から光を憎悪し向かって行くゴジラの性質を利用し、徹底した灯火管制を敷いて市街地から遠ざけるというものであったが―

 

 

ゴジラ」シリーズ第2作目。「これは怪獣映画だ!」って当たり前だろ!と言われそうですがwなんでこんな見出しにしているかというと1作目の印象がこんな感じだったから。 

kinakossu.hateblo.jp

 

 1作目はドラマ部分で交わされる会話の切迫感、なかなか全貌を現わさないゴジラの形として見えない恐怖、そしてズシリズシリと動く姿の脅威、観終わったあとに戦争映画のような印象を与える作品でした。

 

で、その「ゴジラ」の大ヒットを受けて作られた第2作は、まったく雰囲気の違う作品でした!重たい戦争映画からみんなが楽しめる娯楽映画にシフトした印象。

 

ゴジラは序盤から惜しげもなくw姿を見せ、アンギラスとかなり俊敏に戦います(早送りでスピード感を出している様子)。

大阪に上陸しないように灯火管制を敷いていたのですが、石油工場が大爆発してその明かりに吸い寄せられるように大阪に上陸すると(途中、四国方面に向かったって喜ぶシーンがあって、四国に上陸したらどうすんだよ、と思いましたがw)、大阪の街を破壊しまくり。大阪城淀屋橋もなんかきれいな建物(中之島公会堂っぽいけど違うみたい)も、ガンガン壊され、鉄道も橋もボロボロ。ひゃっほ~い!って感じでゴジラの大サービス。敵怪獣と戦い、街を壊しと、私が抱く“THE 怪獣映画”のイメージを裏切らない仕上がり。

 

人間のほうも、主人公の月岡は戦時中は飛行機乗りで、戦争を想起させる部分―当時の仲間たちと生きて再会して喜びあうシーンやあるいは灯火管制を行ったり―はありますが、基本的にみんな前を向いて明るく描かれています。「ゴジラ」では戦争を引きずっていた感があり、登場人物がみんな重く、悲壮感や絶望感を抱えているような作品でしたが、「ゴジラの逆襲」ではそこから決別して次へ行こう、という空気を強く感じます。月岡や小林は、大阪の本社のスタッフ(社長令嬢の彼女も)と飛行機の無線で冗談を言い合います。ゴジラが上陸して会社や工場を壊されても、海洋漁業の社長や社員も、ただ悲嘆にくれるのではなく、立て直すことを力強く決意し、進んでいきます。そして、ゴジラの犠牲になった同僚の死を無駄にしないために、主人公・月岡は果敢にゴジラに挑みます(「ゴジラ」では芹沢博士の死を賭した戦いを見守っただけになった主人公・尾形との対比として、この映画の娯楽映画としての後味の良さも生んでいます)。

 

どちらがいいのか、というのは世代、時代、そして、私のような怪獣映画にさほど縁のない子供だったかどうか、とか観る人の背景によって感じ方は色々かと思います。大人向けかときかれれば、私は「ノー」と答えるかな、という作品ですが、これがテンプレになって、子供に受け入れられやすくなり、結果的にシリーズが続いていくことになったのだろうと想像しています。時代が変わっていくなかで、いつまでも重い戦争映画の趣であったなら、きっとあっという間に観客と乖離してしまって、こんな息の長いシリーズとして、そして世界中で受け入れられる作品として、今も愛される“ゴジラ”は残っていなかったのではないかな、と思ったり(007シリーズだって変化しながら続いてますからね)。

 

そのほかにも、今作は音楽が伊福部昭さんのアレじゃなくて、「あの曲ってやっぱり偉大だなぁ」と思ったり、「小泉博さん、ちゃんとヒーローらしくてかっこよかったな」と思ったり、前作からかなり舵を切った感のある「ゴジラ」シリーズ第2作でした。

 

あ、そうそう、今回最大の謎が解けました!ゴジラって一匹で何度も生き返ってきてる設定なのかなぁ、って思っていたんですが、そうじゃなくて“ゴジラ”って種類の怪獣ってことなのね、ってσ(^_^;いやー、無知過ぎてすみません。