T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

またもや松竹大谷図書館で50年前の吉田輝雄を追っかける

久しぶりに行ってきました!松竹大谷図書館。 

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もう、これはミーハーというかオタクというか、にふりきった、まさに自分のための備忘録(∀)吉田輝雄さんについての「かっこいい!」って感想とあれこれの想像で埋め尽くされていますので。+゚(*ノ∀`)図書館の感想を期待して開かれた方はスルーしてください。

 

去年の7月以来かな。今回も近くで10時から朝ごはんを食べ、図書館に向かい、文字通り、飲まず食わずでw保育園のお迎えに間に合う夕方近くまで引きこもっておりました。ここにいるとあっという間に時間がすぎちゃうのです!楽しい♪

 

 

今回の一番の目的は小津監督が書かれた「大根と人参」のプロット(なのか?とにかく資料)を読みたい、というもの。ところが、これは残念ながらなくて(あとで「小津安二郎全集」という本に収録されていて、地元の図書館で借りられることに気づいたんですけどσ(^_^;)、ということで、あっさり次の目的に。「吉田輝雄三昧するぞヾ(o´∀`o)ノ」ということでwいつも通りに!?輝雄さんのご出演作の資料(公開時の新聞記事などを切り抜いたスクラップブックやプレスシート)でまだ見れていなかった「続・愛染かつら」と「女弥次喜多 タッチ旅行」、それから去年見たけどもう1回見直したい!と思った「愛染かつら」と「日本ゼロ地帯 夜を狙え」の資料を見てきました。

 

 

「女弥次喜多 タッチ旅行」のほうは輝雄さんのことはほとんど載ってなくて(ってか、62年、64年と体調を崩して入院しておられるようなので、こんな役で酷使しないで休ませてあげて!って思ったんですけど)、色々読み飛ばしてw記憶に残ったことは、最初は鰐淵晴子さんが主演の予定だったけど体調崩して牧紀子さんに変わったこと(弘田三枝子さんとの並びも鰐淵さんのほうがまとまってただろうな、と思って納得でした)、岩本多代さんを松竹が「第2の岩下志麻」的に売りだそうとしていたこと(驚き)、あと、上村力監督の第1作「愛する」が面白そうで見てみたくなったこと、でした。読み飛ばしすぎw

 

はい、で、さてさて本題の備忘録。

 

「続・愛染かつら」(1962年公開)

まずはスチル写真。輝雄さんも茉莉子さんもキレイで、二人が向き合って抱き合う写真とか、もう、ほわ~っ(っ´ω`c)となってしまいます。ほんとにキレイ、このお二人。目の保養。

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自分の持っている「続・愛染かつら」のスチル写真。他にもきれいなお二人の写真がいっぱいでした♪

スクラップブックの記事は、戦前の物語を1962年に置き換えるにあたっての苦労とか、輝雄さん×茉莉子さんの組み合わせについて(これで3作目)、そしてロケ地について、といった内容。

「愛染かつら」の続編は元々考えてはいなかったようで、前作のヒットをうけて作成した様子(ヒットしたら作ろう、とかはあったでしょうけど)。前作は東京と京都でしたが、今回は北海道。北海道は同じくメロドラマのヒット作「君の名は」でも舞台になっていたようで、これにあやかって、ということのようです。

前作の「愛染かつら」が、これはこれできちんと完結しているので、現代版の続編を作るにあたって、中村監督は2人のすれ違いや離れ離れになるハードルをどう作るか(戦前のものは従軍医師として大陸に渡る浩三と歌手として慰問するかつ枝のすれ違い、という感じだったようです)、かなり苦心された様子。このすれ違いを描く難しさに中村監督も「次回作はもう考えられないよ」と撮影時からコメントされておりました(笑)

すれ違いだらけの「愛染かつら」、続のほうも同じくで、二人一緒のシーンはやはりあまりない様子。でも、予告編のために二人一緒のシーンを北海道で撮影されたりしていたようで、そして、スチル写真にもツーショットがいっぱい(そりゃ、本編で会わなくても二人の一緒のシーンが見たいですもんね)!というわけで、本編だけじゃなくて予告編も入れて、ぜひソフト化を!松竹さん人´ω`)オ

 

そして、この映画のスクラップの記事で一番印象に残ったのが、宣伝用の浩三様とかつ枝さんのツーショット撮影のお話。輝雄さんは自前の背広に銀座で作らせたというハイ・カラーのYシャツ&濃紺のネクタイというスタイルでこの撮影に現れたそう。で、中村監督と茉莉子さんに「よろしく」と挨拶をしたとたんに、二人から「いかしすぎてるよ」「浩三さん、もっと野暮ったくしてくれないかな」と注文をうけてあわててネクタイを取り替えた、と(笑)

さすが元モデル!というよりも(笑)、デビューしてからまだ2年そこそこで、飛び抜けたハンサムさん故(この理由は私の勝手な思い込みですが(∀)多分、間違いないでしょう)、松竹でも主演俳優になり、大物監督の作品で大女優さんの相手・・・も、まだなんだか役者慣れしてなくて、役より前に地がでちゃったのね(っ´ω`c)という感じ。

他にも、このときもまだメロドラマを演じるにあたって照れくささがぬけていなかったようで、「役者なんだから照れてちゃダメだよね」みたいなコメントがあって、俳優としてまだまだ手探りな若き吉田輝雄のエピソード連発で、「なんという、かわいらしさ(´▽`)」と男子を子育て中の兼業主婦は、息子の成長を見守る母親のような気分で、資料を眺めていたのでした(´▽`)

 

そして、ポジフィルムもスクラップブックに貼り付けてあったのですが、この中に詰め襟の学ラン姿を発見!「男の世界だ」でも学ラン姿を拝見していますが、このときはめちゃめちゃ自然で、役柄どおりいかにも大学生って感じでしたが、あれから2年経って、漂う違和感(笑)でもカッコいいヾ(o´∀`o)ノ

 

茉莉子さんは、インタビューでは「松竹のヒットは私と吉田さんを組ませたことね」みたいな余裕のコメントで、さすがスター女優!って感じ。前作は看護師の庶民的な服装が多かったかつ枝さんですが、“続”のほうは売れっ子歌手として、服装も華やかに。茉莉子さんはこういったドラマのヒロインの型を現代的にしていくのに苦心されていた様です。

 

そして、「続・愛染かつら」の撮影のときに同じくこの時期に人気のあった映画「あの橋の畔で」の撮影とかぶっていて、メロドラマをひっぱるコンビ2組、といった感じでこちらの主演の桑野みゆきさんと園井啓介さんと、輝雄さん、茉莉子さんで撮影会みたいな記事もありました。お互い、相手を変えての映画も撮影していて(輝雄さん×桑野さんは「求人旅行」があったり)、仲良そうな感じ。園井さんは「ゴールドアイ」(悪役)と「夜の片鱗」しか見てないからかもですが、やはりこの4人の並びではどうにも地味な感じがして。。。ちょっとかわいそうでした(^-^;)どう考えてもこの2人では格好良さのレベルが違う。+゚(*ノ∀`)

 

 

こっからは見返した資料の備忘録。

「愛染かつら」(1962年公開)

こちらは、すっかり忘れていたけど、戦前の映画のスチル写真などもしっかりスクラップブックのなかに。中村監督は戦後にこの作品を編集して上映したときに編集を担当されていたそうで(読んだはずなのに忘れてた)、その縁もあっての監督起用かな、なんてお話が。

 

輝雄さんについては、人間性をベタ褒めの記事がたくさん。うむ、演技は硬いからね、ほめにくいね。+゚(*ノ∀`) 当時の若者向けの雑誌には見開きで輝雄さんの記事。新東宝時代の宣伝課長だった方のコメントなんかも出ていて、”顔も中身もいいヤツ”って感じ(だから、“全女性あこがれのハンサム”とか“吉田輝雄の魅力をこの一作に集中”とかいう惹句ができあがるのね!とw)。その記事にあったスーツを着て爽やかに微笑む立ち姿とか、ほんとに1962年の男子なの!?って感じで、なんというか、とても今っぽい格好良さなのです(・∀・)

 

松竹に入ってから、「今年の恋」(ラブコメ)→「男の歌」(アクション)ときてメロドラマの「愛染かつら」と、全くカラーの違う作品に出ていた輝雄さん、「何が向いているのか分からない」と考えておられたよう。それに対して佐田啓二さんからは「今はとにかく色んな役をやって役者としての魅力をつけろ」的なアドバイスをもらい、茉莉子さんは「会社もちゃんと考えてくれてるから大丈夫」みたいなアドバイスをしていて、そして、中村監督には「アクションやってたから目つきがキツイけどセンスはいいぞ」とか言われ(これは褒めているのか??)、松竹の新人となった輝雄さんをみんなで盛り上げてる感じが伝わります。

 

1970年の渋くてかっこいい吉岡さん(「ゴールドアイ」)が最初に吉田輝雄さんを観た作品だったので、大人の格好良さ全開の人が子供扱いされているよ!って感じでかわいくて(なお、プレスシートなどには1962年のホープと書かれておりました。「黄線地帯」の予告編は1960年のホープ、ってなってたな、とかw)、去年の1月に見て以来の再見は、前回と違う視点で(´∀`*)となる時間でありました。

 

 

「日本ゼロ地帯 夜を狙え」(1966年公開)

今回ついに、映画そのものを観ていないというのに、我慢できずにw完成台本を読んでしまい(笑)そして、当時のスクラップブックを再見。スクラップブック、前回はたしか7月に来たときに見ていて、それ以来。

 

輝雄さんのフィルモグラフィを見ると、「夜を狙え」の前年が、テレビドラマ版「愛染かつら」など殆どテレビしか出演されていません(それでも視聴率40%越えで人気だったようです。そして、映画は2作だけ。しかもそのうちの1作は友情出演みたいな感じのようで)。

これについて、”吉田輝雄は干されている”とマスコミでささやかれ、松竹でも噂されているけど、どうなの?って感じの、ご本人のインタビューを含む解説記事があり。65年の映画の少なさは私もフィルモグラフィ眺めながら「なぜなんだろう?」と気になっていたことだったので、これをあらためて読んで勝手に想像して色々感慨深くなったりw

記事に書かれていた要因は・前年にご結婚されたことをマスコミに報告してなかったことで週刊誌にゴシップネタにされる・体調をくずしていた(何度か入院されています)・そういう状況で30歳になって若手から中堅への切り替え時期であり、下の世代が出てきたこと・メロドラマのイメージが付きすぎて、その状態で映画界の流れがメロドラマと異なる方に流れていったことで松竹も使いにくくなった。。。とか。で「愛染かつら」の頃からみて、時流に外れてしまったという感じをご自身が抱えていたところで、石井監督が松竹で映画を撮ることになり、直接声をかけてもらったのが「日本ゼロ地帯 夜を狙え」。

石井監督に声かけられて嬉しかったというのと、「ここからまたやってやる!」って気持ちがめちゃめちゃ感じられる記事で。個人的に「網走番外地」とかこの作品のスチル写真なんかで見る1966年の作品の吉田輝雄は、渋さと色気が加わってめちゃかっこいい!と思ってるんですが(どの年もかっこいいって言ってるとかいうツッコミはなしでw)、それもこういう経緯があって出てきたものなのかな、なんて想像したり(妄想爆発(゜∀゜))

 

この作品、主演は竹脇無我さんで、二人そろってのインタビューの記事などもありました。竹脇さんもこの時期、恋愛モノをやったり色々だったようで、「吉田さんはアクションもメロドラマもどっちもできるけれど、僕は女の子と抱き合っていても次に何をしたらいいのか、と思ってしまう」なんて話していて、それに対して輝雄さんは「照れてやってちゃダメだよ」とか、色々とアドバイスされていて、「あんな照れくさがってた青年が( ´艸`)」と、その俳優らしいコメントに、やはり息子の成長をみる母親のような気分になるのでした(´▽`)(そして、亡くなるまで仲が良かったとお話しされていた竹脇無我さんとは、ほんとに兄弟のような仲よさそうな雰囲気の伝わるインタビュー記事でした)。

 

で、読んでしまった台本のほうは、やっぱり、「主演じゃないのに美味しいところは吉田輝雄が持って行きます!」でした。「女体渦巻島」の信彦のように、愛する女性のために生き、ただ、その女性には裏切られ。。。という切ない展開。戦時中~戦後、そして現代(1966年)と続く話で、輝雄さん演じる橘は学徒出陣して復員兵として戻ってきて―。で、この復員兵姿、スクラップブックの白黒写真しかないんですけど、すんごいかっこよくて(あとでSNSを通じて映画のキャプチャ画像をいただき、まさに、息が止まるかと思った!って感じのかっこよさでした(≧∀≦))、台本みてますます見たくなってしまったのでした。これもなぁ、「大悪党作戦」「神火101 殺しの用心棒」と石井監督の他の松竹作品と一緒にソフト化しておくれよ!松竹さん人´ω`)オ

 

 

というわけで、想像と妄想を働かせながら読んでいたらあっという間に時間になってしまったのでした。1度見た資料も、「愛染かつら」は映画を見る前と見た後では気になることが異なっていたりして面白くて。また、懲りずに松竹大谷図書館に行くことになりそうですw