T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

木下恵介監督「今年の恋」

 

今年の恋 [DVD]

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素敵なストーリーとハンサムさんを堪能。映画の余韻で電車を乗り違えました。

【映画についての備忘録その1】

木下恵介監督 岡田茉莉子×吉田輝雄主演「今年の恋」(1962年)

銀座の小料理屋「愛川」の息子・一郎(石川竜二)と横浜の会社役員の息子・光(田村正和)は高校の親友で、二人とも遊んでばかりで勉強はいまいち。一郎の姉で小料理屋を手伝う美加子(岡田茉莉子)と光の兄で大学院生の正(吉田輝雄)はお互い、弟の成績が悪いのは相手のせいだといがみあいつつも、やがて惹かれていき。。。という、お話。

 

ラピュタ阿佐ヶ谷のスクリーンで初鑑賞。新東宝が倒産して松竹に入社した吉田輝雄さんの松竹入社第1回主演作品。ケンカしながら惹かれ合う、というラブコメの鉄板の展開を、輝雄さんと茉莉子さんの美男美女の掛け合いで堪能しつつ、たくさん笑って、見終わったあとにとっても幸せな気分になる映画です。木下恵介監督作品は初鑑賞なのですが、巨匠と言われる意味がこれ一本で分かる映画でした。

主演の二人をとりまく脇の役者さんも個性たっぷりで、美加子と一郎の両親役の三遊亭円遊さんと浪花千栄子さん、正と光の父親役・野々村潔さんとばあや役の東山千栄子さん、一郎と光の高校の担任・三木のり平さんと、軽妙なやりとりで次から次へと訪れる笑いどころ。 Youtubeで公開されている予告編でも「大船調喜劇」とうたわれていますが、なるほど、そういうことか!の一本です。

 

そうそう、古い映画を観たときの楽しみって、当時の風俗なんかが分かるところもあると思うのですが、劇中で正や光がお腹が空いたから何か作って!とばあやに頼むと、ばあやはいつも簡単なモノ、として「松阪牛ビフテキ」を作ります。もうね、当時から松阪牛ブランドがあるってことや、簡単なモノでこれを出すって当時のお坊っちゃんってどんだけお坊っちゃんやねん!という感じも楽しいです。

 

この映画、白黒で撮られているのですが、それがまた、輝雄さんと茉莉子さんの「気丈で若々しき美」(DVDジャケットより引用)をスクリーンに映えさせます。上に書いたように第1回主演作品ということもあってか、輝雄さんのハンサムぶり(ハンサムタワーズなので、イケメンとはあえて書きませんw)をこれでもか!ってくらい木下監督は写します(๑'ᴗ'๑)  弟の親友の家を偵察、とばかりに「愛川」に、正に気のある女友達と出かけるのですが、美加子を見るとその女友達を前に平然と「綺麗な人がいるもんだなー」と言ってみたり(こんな台詞がてんで嫌みに聞こえないのがこの人の魅力)、家に帰ったあと、美加子を思い出して「きれいだ」と言いながら舌を出してみたり、背の高さを強調するように小料理屋の鴨居に頭をぶつけてしまったり。ま~、吉田輝雄のプロモーションムービーといった感じです。もちろん、岡田茉莉子さんも、随所にかわいい仕草(ケンカしてるはずなのに、正に会う前に化粧を直してみたり(๑'ᴗ'๑))を見せて、こちらもある意味プロモーション(といっても、すでに松竹の大スターですが)といった感じですw

 

正と美加子がケンカしながらお互いの本心に気づいていく、横浜から熱海へ(と、それを引き返す道中)のドライブシーンもとてもステキです。最初は後部座席に座っていた美加子が、最後は助手席に座り、正も車から下りてカーラジオのアンテナを伸ばします。打ち解けた二人の会話は映画を見ている観客には分かりませんが、とても楽しそう。

交通量も少なく、まだ舗装されていない道を走る車たちの風景も、1962年当時を想像させてワクワクします。(あれは今なら東名高速とかなのかしら)

 

で、最初の1行。初めて見たラピュタ阿佐ヶ谷での鑑賞後、「は~ステキだったな」と余韻をひきずったまま電車に乗ったら、行きたい方向と反対の電車で、2駅くらい通過してからやっと逆方向にのっていたことに気づきましたwそのくらい、ステキな映画w(なんじゃそりゃ)

 

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