小野田嘉幹監督「俺は都会の山男」
息つく暇のないハイテンション・ムービー!
【映画についての備忘録その92】
小野田嘉幹監督×吉田輝雄主演「俺は都会の山男」(1961年)
朝日奈七郎(吉田輝雄)はコネや賄賂といったものを嫌い、どんな事でも正面から事に当る正義漢。それが禍してか、なかなか就職も決まらない。五井産業に勤める恋人の美弥子(三条魔子)は見るに見かねて、五井産業の就職試験を世話する。それは、美弥子が五井産業の会長の孫で親友のルリ子(万里昌代)に頼んだもの。ところが、七郎は面接会場の前で昼寝をし、面接官の人事部長とも喧嘩をする。心配した美弥子がとめようとするが、腹を立てて自分から会場を出ていってしまう。
五井産業のビルの前である男とぶつかった七郎。男はスリで刑事に追われていた。刑事(国方伝)にスリの仲間と間違えられ逮捕されそうになった七郎は通りがかりのタクシーに乗り込む。途中、タクシーの運転手・ミキ(星輝美)と運転を代わった七郎はスピード違反で結局逮捕されてしまい、裁判所で罰金として、スリが自分のポケットに押し込んでいた5万円を徴収されてしまった。
裁判所から出てくると、例のスリ、南一平(浅見比呂志)が財布を取り返そうと待っていたが、七郎は財布の中の名刺を見て、元の持ち主に返すという。一平を連れてユニオン興業へ。そこはヤクザの組で東京オリンピックに乗じたホテル建設のため、五井産業の亀谷社長から地上げの依頼を受けていた。中身の5万円はアルバイトをしてでも返す、という七郎は一平の世話で銀座のバーでバーテンのアルバイトをすることに。しかし、そこは地上げのためにユニオン組の嫌がらせを連日うけていた。七郎は持前の正義心を発揮して彼らを撃退するが、騒ぎがきっかけでまたもや警察に逮捕されてしまう。
身元を引き受けてくれた美弥子とも喧嘩になり、行く当てのない七郎。一平は彼の喧嘩の腕前で一儲けしようと、七郎を自分の下宿に住まわせて、正義の味方をかねてカップルを脅すタカリ、商人を脅す地廻り整理などなど、弱い人を助けるために喧嘩を買って出る”喧嘩商会”を始めることにする。
今回の備忘録、見出しはきちんと(!?)つけておりますが、見終わって最初に思ったことは「なんやこれ~ヾ(≧∇≦)(=かっこよくて、かわいくて美しい吉田輝雄を愛でるための映画やないかい!!)」でしたw
七郎は行く先々でイケメンすぎて女性に惚れられwマスコミに取り上げられると10代のアイドルと騒がれ、惚れた女性達はみんなで七郎をとりあい、後援会まで作ろうか、という状態。喧嘩商会ってくらいですから、もちろんあちこちで喧嘩しまくって、長い手足で存分にアクションを繰り広げます(・∀・)吉田輝雄の顔とスタイルが説得力を生み出すwこの設定(*^O^*)
だって、初登場シーンでは面接前に寝てたと思ったら、次の登場シーンではこの表情ですよ。うーん、ハンサムタワーヾ(≧∇≦)
さて、映画のほうは、このハイテンションの書き出しに負けないwハイテンションな映画。なぜかというと、
①事件は次々と起こり、しょっちゅう七郎は誰かと言い合いや殴り合いになる
②七郎は次々と女性に惚れられ、女性陣はみんな全力で彼をとりあい。
③たくさんのコメディアンが次々と登場。その都度、コント(?)を挟む
④七郎と敵対する側(ユニオン興業と大日本殉国党)もみんなコメディ
プラス、一平が関西弁で調子よくまくし立て続ける
84分の映画でこれが延々と続くから!
次々押し寄せるアクションとコメディで、おなかいっぱいにしてくれます。
最初の15分ほどで➡面接会場を怒って飛び出し警官と一悶着(①)、逃げるために乗ったタクシーの運転手ミキは七郎の運転ぶり(めっちゃスピード出します)とハンサムぶりにほれ(②)、
七郎を車で追いかけてきたルリ子も惚れてしまう(②)
交通違反で逮捕されたかと思うと、判決を言い渡す判事と事務官は由利徹さんと南利明さんで(③)。
罰金にとられたお金は一平がスリでとった財布を七郎に押しつけたものだったので、財布をユニオン興業に返しに行くも、組長(沢井三郎さん。「暴力五人娘」でもコミカルな演技にめっちゃ笑いました)は、5万円の利子に指をつめてもらおうか、とか言う割に全然迫力がなくて愛人・春千代(橘恵子)に甘く、七郎のハンサムぶりを見た彼女に「たかが5万円くらい許してあげて」と言われてあっさり七郎を許し(④)ちゃうし。
んでもって、春千代は、案の定、このハンサムぶりで七郎に惚れてしまう(②)、という次第。⬅と、こんな感じ。
ここですでに恋人の美弥子を含め4人の女性に惚れられたというのに、5万円を返そうと思って一平の世話でバーテンのバイトを始めちゃったもんで今度はバーのママと一平の住む下宿(質屋)の女主人が七郎のハンサムぶりに惚れてしまって、七郎の取り合い(②)。
と、思ったら今度はユニオン興業がやってきて暴れるので、見かねて七郎は彼らをたたきのめし(①)
結果的に逮捕されてしまう、と。
警察で説明して、美弥子が身元引受人として七郎を迎えに来るも二人は喧嘩となり・・・(①)(一平、関西弁で二人に絡む)
怒って家を出てくると(七郎は美也子の実家に下宿していたらしい)一平の下宿に強引に連れて行かれ、その道中で洋食屋でヤクザがいちゃもんつけて主人(三遊亭小金馬)を困らせていたので(さらにクリーニング屋の江戸屋猫八さんと保険外交員の一竜斎貞鳳さんも絡んでコント状態。お笑い三人組、ってなんか懐かしの番組紹介する系で見たことあるぞ)間に割って入って喧嘩になる、という一悶着(①、③)。
で、結局、一平にのせられて喧嘩商会を始めます。
絡まれてるカップルを助けてあげたり(①)、喧嘩商会は順調な(!?)滑り出し。
そんなとき、ユニオン興業が地上げのために雑誌社「週刊天国」の編集部内で暴れ回っているのを助けに喧嘩商会が入ってくると(①)、ここでまた七郎は右の記者(!?)さんに惚れられてしまい(②)雑誌の記事にとりあげられます。
これがきっかけで「10代のアイドル」として人気になり、
テレビにも出て、社会評論家(コロムビア・トップ)から批評をうけ(③)。
と、まぁ、喧嘩して、惚れられて、コント見て、惚れられて、喧嘩して、コント見て、みたいな繰り返しw休むタイミングなし。んでもって、七郎は笑顔と怒り顔とアクションを繰り返すのでハンサムさのほうも息つく暇なし(*^O^*)
喧嘩商会に地上げを邪魔されて先に進まないユニオン興業。業を煮やした亀谷社長は右翼団体の日本殉国党に依頼することにします。日本殉国党とユニオン興業は結託し(ユニオン興業は殉国党に入党w)て、七郎と一平は逮捕。これで邪魔がいなくなったので地上げがすすむ、と目論むユニオン興業と日本殉国党(④)。
しかし、七郎に惚れた女性陣が我先にと保釈金をかき集めに走り(②)、最初にお金を用意した質屋の女主人が身元引受人に。七郎がいない間に殉国党が暴れ回って被害を受けたことを聞き、そのまま質屋へ様子を見に行くことに。
女主人は七郎を自分のものにしようと蔵の中に閉じ込めてしまいます(^_^;)(②)
で、結局、七郎の保釈金がういてしまった美弥子が七郎に会わせることを条件にその金で一平を保釈し、一平は七郎を蔵からこっそり連れ出し、その条件に美也子に会うように、と言います。
美也子に会いに行く途中でまたもや殉国党に襲われて、1対大勢で殴り合いになります(何回目だ!)(①)
七郎は、地上げを辞めさせるために殉国党と最後の喧嘩をすることに。一平の作戦の機転もあって、安保のデモ隊VS殉国党で大騒ぎ。(①、④)
この騒動の中で七郎が殉国党の幹部たちを倒し、五井会長に会って地上げをやめる約束を取り付けて、こちらの問題は解決!七郎の人物を見て、五井産業へ入社しないかと会長に言われますが、そんなのはまっぴらごめん、と会長室を飛び出します(①)。
映画の最後は、相変わらず七郎を取り合う女性陣(②)と、喧嘩商会を続けたい一平と、ついでに七郎を呼び戻したい人事部長に追いかけられながら、
美弥子と二人で銀座のビルの中を逃げて、おしまい。
というわけで最初から最後まで①~④がこれでもかと繰り出されw見出しの通りの息つく暇のないハイテンション・ムービー(コメディなの?アクションなの?)。映画の音楽がこのタイトルから想像してなかったアップテンポなジャズのメロディでこれもまた映画のこの雰囲気に拍車をかけていたようなw
おまけに初主演前の「爆弾を抱く女怪盗」(1960.2.7公開)からたった1年ほどで(本作は1961.2.22公開)吉田輝雄がめっちゃ洗練されたハンムに変貌をとげているので、ストーリーと関係なく、画だけで(≧∇≦)ってなるシーンも多くて、そういう意味でも息つく暇のない、映画なのでありましたw