T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

福田純監督「電送人間」

主役はいったい誰なのか!?特撮作品の歴史を楽しむ一作

 

電送人間  [東宝DVD名作セレクション]

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  • 発売日: 2015/07/15
  • メディア: DVD
 

 
【映画についての備忘録その87

 

福田純監督×鶴田浩二主演「電送人間」(1960年)

 

多摩川園のお化け屋敷。沢山の客でにぎわうなか、突如現れた人影に、男が銃剣で刺殺されるという事件が発生する。その男はブローカーの塚本。現場からは軍隊自体の識別表が発見された。

新聞記者・桐岡(鶴田浩二)は現場に残されたクライオトロンを発見し、学生時代の同窓生である小林警部(平田昭彦)から塚本が密輸に関わっていた事を知らされ、二人は塚本と繋がりのあるキャバレー経営者・隆昌元を張り込む。

しかし、その時、隆は発光する不気味な男によって刺殺され、警官隊の追跡も虚しく怪人が逃げ込んだ倉庫は火災で焼失する。倉庫の中に男の死体は無く、冷却装置と放電装置を組み合わせたような謎の残骸だけが残されていた。

クライオトロンについて調べる桐岡は大学時代の恩師・三浦を訪ね、戦時中、仁木博士がこのクライオトロンを利用して、物体そのものを電送する技術を完成させていたことを知る。ただし、物体の電送をするには4.2度を常に保つ必要があり、巨大な冷却装置が必要である。桐岡は日邦精機からこの冷却装置を購入したという、軽井沢にある小西牧場の中本(中丸忠雄)という男を日邦精機の社員、中条明子(白川由美)とともに訪ねることにする。

一方、隆殺害の現場に居合わせた小林は、塚本・隆と同様に従軍時代の認識票を郵送された滝(堺左千夫)と大西(河津清三郎)を追求。大西の元部下である須藤兵長の存在が浮かび上がる。14年前、大西、隆、塚本、滝の四人は敗戦のどさくさにまぎれて軍の金塊を横領しようと目論み、それを阻止しようとした須藤兵長中丸忠雄)と陸軍技術研究所の仁木博士を金塊もろとも洞窟へ生き埋めにした。しかし、洞窟からは金塊も二人の死体も見つからなかったというのだ…。

 

 

 「吸血鬼ゴケミドロ」以来の、和製SF映画の備忘録(ゴジラは怪獣映画ってことで省く)。何か月か前にTwitterでこの「電送人間」の予告編を見て(鶴田浩二さんが和製SFに出てたのか、とかいうのも含めw)、なんだかずっと気になっていたんですがwAmzonPrimeビデオで観られることに気づき!鑑賞してみました。

 

ちなみに気になる予告編はこちら(うん、気になるよね、これ観たら!)。


電送人間 予告篇

 

 

で、作品の面白さは、この予告編に全部つまってたかな、という映画。予告編のおわりに「超科学 怪奇スリラー巨編」と惹句がでますが、まさにその通り。

 

物体そのものが電気を通じて送られる、という、”超科学”をどんな特撮として見せてくれるのか、という面白さ。1960年という時の、兵士、将校として戦争にかかわってきた人たちが社会の現役世代であるが故の”日本軍”を絡めたスリラーとしての面白さと。

(軍国キャバレーとかいうのも出てきます。当時、なんとなくそれらがノスタルジーでもって受け入れられていたのかな?と思うと、戦後生まれは不思議な感じがします)。

 

で、この”超科学”の部分、特技監督円谷英二となっているだけあって、気合入って、しっかりたっぷり見せてくれます。予告編ももったいぶらずに存分に見れるので、もう、ほぼ、これこのままなんですがw特撮映画に特に詳しくない私ですが、CGなんてない時代にこれはすごいな、と純粋に思える電送っぷり(?)。1960年でこれ観たらめっちゃワクワクするだろうなぁ、と思い、特撮技術、特撮作品の発展していく歴史の一部を見れたような気分でした。

 

 

さて、スリラーのほうはというと。ストーリーの肝であると思われる、電送される人間は誰なんだ?何者なんだ?とかいうのは、見るからに怪しげな中丸忠雄さんが開始10分くらいで登場して、一発回答(^-^;中丸さんのインパクトがすごくて、裏の主人公ですw

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怪しいハンサムなので、出てくるたびにすごい引力です!

 

さらには大西、隆、滝の三人がこちらも開始15分くらいで集まって(↑で書いた軍国キャバレーのマスターが隆で社長が大西)軍隊時代の話をしちゃうので、どうやらもうこの辺が何か軍隊時代に罪を犯しているらしいぞ、というのも鑑賞している側に知らされます。

 

だもんで、主人公であり、この超科学とミステリーの謎解き担当(のためにいるのだと思う)の新聞記者・桐岡、あまり活躍の印象が残らない(^-^; ↓こんな感じのシーンもあるんですけどね。

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ヒロイン・白川由美さんを守るシーンを見て、津村浩三様だったんだわ、と思いだす。



小林警部も同じ大学の同窓生という設定なので、科学に詳しい新聞記者、という特性があまり生かされない上に…というか、警部なので平田昭彦さんのほうがアクションもあり、確実に目立っている!!

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刑事なので追いかけるシーンとか、ひょいっとトラックに乗ったりとか、アクション担当。


・・・あと、あと、二枚目さも勝ってるよねw

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というわけで、表題。

だれが主人公なんだ!?ってストーリーは、最後も思いもかけない終り方で、そうくるか!?って感じの展開。物語に特に特別な何かを見いだすというよりも特撮技術を楽しむ映画で、これもまた、映画の楽しさであります。

(「吸血鬼ゴケミドロ」が特撮はさておきwストーリーが今でも見ごたえがある、という映画だったので、「ゴケミドロ」すごい映画だな、と思ったり)。

 

なお、主人公についての自分的結論としては、作品の登場人物の印象度は中丸忠雄平田昭彦>>>鶴田浩二。ストーリー的に正義側が主人公だと考えると。。。主人公は平田昭彦さん!ということに(笑)

 

しかし、いくつも鶴田浩二さんの映画をみているのに、未だに吉岡司令補を上回る作品に出会えず、どのあたりで大物スターになったんだろうか、という印象。任侠映画の鶴田さんを見ないことには始まらないのかな、これ(^◇^;)