T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

小林恒夫監督「怪談片目の男」

ホラーっていうよりサスペンス。

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【映画についての備忘録その63】

小林恒夫監督×西村晃主演「怪談片目の男」(1965年)

 

恩田産業社長恩田晃一郎(西村晃)が、片目がつぶれた無惨な水死体となってあがった。原因は夜釣の舟が転覆したための事故死だという。葬儀の後、宇野と呼ぶ見ず知らずの弁護士からの呼び出し状を持って別荘に関係者が集められる。晃一郎の妻・美千子(中原早苗)、晃一郎の支援をうけてプロのカメラマンとなるが、美千子と関係をもっている下田宏(川津祐介)、恩田産業の専務で会社乗っとりを企んでいる大西重雄は秘書を伴って。さらには恩田の義弟で、晃一郎を検死した主治医の深沢哲夫。かつて、晃一郎の車にはねられ、半身不随となり、晃一郎が面倒を見ていたという園雪子。それに「パパに会いにきた」という幼ない女の子・陽子。

だがその夜から恩田邸では怪事件が勃発し始める。晃一郎のコレクションのバイオリンの音色が邸内に聞えたり、雪子はバスルームで晃一郎を見たといい、葬儀の参列者を撮った下田の写真には晃一郎の姿が写っている。不思議な事件は続き、晃一郎の亡霊につりつかれたように、関係者が次々と命を落としていくのだが…。

 

 

夏も終わるけど、感想は怪談続きw東映チャンネルで鑑賞しました。「怪談せむし男」を録画するのに番組表観てたら「怪談片目の男」というのがあって、これも西村晃さんだし面白そう!と思って録画。「怪談せむし男」と「怪談片目の男」は当時一ヶ月違いの上映だったよう。今回も、ホラー映画ですので、ネタバレは極力さけた備忘録とします。

 

 

今回はこの流れで佐藤肇監督かと思いきや!小林恒夫監督(音楽は菊池俊輔さんじゃなくて木下忠司さん)。今のところ、小林監督の映画はまだ拝見したことがないのですが(輝雄さんご出演の「陸軍諜報33」の監督をされているのでこれもいつか観れますように!)、テレビドラマ「ゴールドアイ」の第10話の監督をされていて、このお話は出入りする登場人物も整理されていて、タイムリミットのある中で「ゴールドアイ」のメンバーがトリックを仕掛けていく、というスリルのある展開を楽しめる作品になっています(あと、白バイ警官に扮装しているめちゃめちゃかっこいい吉岡さんが拝めます(っ´ω`c))。で、この「怪談片目の男」もそんな感じ。沢山の登場人物をさばき、それぞれの関係性に重点があり、ホラー映画というよりは、スリラーとかサスペンス映画といった感じで、怪談らしい怖さはあまりありません^^; Wikipedia見ると、小林恒夫監督はそういうジャンルを得意とする監督さんだったようですし、なるほどね、なのです。

 

 

登場人物の大半は後ろ暗いところがあって、晃一郎の死に思い当たる節がある。美千子と宏、大西専務と秘書。それぞれに財産を手にしようと晃一郎を裏切っていて、特に若さと男前っぷりで金持ちの年上の女性を落としたっぽい宏と、美貌を利用して晃一郎の金が目当てで結婚したような美千子の二人が中心に物語が展開するので、二時間サスペンスのような趣。晃一郎の、周囲の恵まれなさに同情したい気分になります。そんな中で心が洗われるのが足の不自由な雪子の存在なのですが。。。と、ネタばれになりそうなので、お話についてはここまでw 終盤に明かされる意外な設定と怒涛の展開は楽しんだのですが、そこもやはりホラー映画的な要素とは関係なくて、サスペンス映画って感じ(2回目)。あらすじ部分で書いたようにホラー映画の仕掛けがところどころ入ってきますが、映画の結末までみると(「吸血鬼ゴケミドロ」的にスルーするにはひっかかりすぎなw)「何でそうなったの?」みたいな場面も結構あってσ(^_^;「ま、その場面単品では楽しめたから、いっかw」っていうタイプの(どんなタイプよ!?)ホラー映画でした。

 

 

というわけで、表題。今回は主演の西村晃さんが最初に死体で登場して以降、なかなか出番がなくて、出てきても、亡霊のような登場の仕方がほとんどで(笑)、西村晃さんの怪優的な魅力を堪能できたのは映画の後半。中盤まではほとんどはその周囲の人間たちの群像劇、といった感じで、怨霊じゃなくて人間の欲が怖いよねぇっていう映画で、やっぱりホラー映画じゃなくて、サスペンス映画(しつこい)。

 

しかし、出番は少なくてもやっぱり存在感は抜群だった西村晃さん。最初と最後のモノローグもとても印象的で、色々つっこみたい部分も、西村晃さんの締めのモノローグでなんだか丸め込まれてw収められてしまったような、そんな鑑賞後なのでした。