T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

番匠義彰監督「抱かれた花嫁」

花嫁シリーズ第1弾は大人の恋が印象的。

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【映画についての備忘録その64】

 番匠義彰監督×有馬稲子高橋貞二主演「抱かれた花嫁」(1957年)

 

 

浅草の老舗寿司屋の娘・和子(有馬稲子)。兄(大木実)と弟(田浦正巳)がいるのだが、二人は寿司屋を継ぐのを嫌い、兄は劇場の座付作家、弟は外交官を目指すという。母のふさ(望月優子)は男勝りで、戦後一人で店を大きくし、その店を看板娘でもある和子に継がせるため、浅草の老舗袋物屋の三男坊、秀人(永井達郎)を養子に迎えようとする。

和子には店の客で動物園の獣医師の福田(高橋貞二)という恋人がいる。ところが、福田は、ふさの気性に自分が気に入られるはずがない、寿司屋もできない、となかなかプロポーズの踏ん切りがつかない。さらには友人の大村(片山明彦)と一緒に暮らす下宿先のアパートの隣家に住むニュー・フェイスの富岡千賀子(高千穂ひづる)も福田のことが好きだという。

いつまでたってもはっきりしない福田。そうこうしているうちに秀人が店の手伝いにやってくるという。和子は、彼をふさに認めさせるため、福田を店の手伝いに入らせることにするのだが。。。

 

 

9月は映画を観ていなくて(輝雄さんゲスト回の「ターゲットメン」11話の放送に向けて予習で「ターゲットメン」の各話を観ていたためw)、久々の映画鑑賞はラピュタ阿佐ヶ谷。「今年の恋」を去年の1月に観に行って以来のラピュタ阿佐ヶ谷は、今回もラブコメ。特集名もずばり、「ラブコメ大好き!」。

4月に輝雄さん主演の「泣いて笑った花嫁」を大いに楽しんだ身としては気になる、“花嫁シリーズ”の第一作というわけです。この日は「危険旅行」と“旅行シリーズ”の第一作の上映もあって(こちらも輝雄さん主演作「求人旅行」―こっちはまだ観れてないけど―があとに連なるし)、このラブコメ特集、私もラブコメ大好きなので(まんま)、三回券買って参戦(あと、「泣いて笑った花嫁」と「今年の恋」を観に行くんだ!)してきました٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

 

「泣いて笑った花嫁」についてはこちら

kinakossu.hateblo.jp

 

 

私、有馬稲子さんも高橋貞二さんもこの日が初鑑賞(有馬稲子さんは「やすらぎの郷」で初めてお名前と顔が一致したような次第)。同じ日の2つ前の上映で同じコンビの「危険旅行」も観て、二人の魅力が詰まっているのはこっちかな、という印象。有馬さんの勝ち気な下町娘はかわいく、高橋貞二さんのちと頼りない獣医も大事なところはキチッと決める(でも、ちょっと抜けてるw)、いい男。恋のライバルの高千穂ひづるさんも綺麗だったけど、有馬さんのオーラと存在感がスゴすぎて、ライバルというには物足りないくらい^^;

 

と、書いておりますが、映画そのものの印象は、この二人の恋の話よりもふさのほうに持って行かれた感じ(笑)私が「稲妻」鑑賞以来、望月優子さん気になりすぎなせいか!?

 

ふさは和子には家業を継ぐよう、昔ながらの結婚をすすめるのですが、自分も若い頃は浅草の劇場でオペラ歌手として活躍していた古島(日守新一)と情熱的な恋をした身。でも、家業のために恋をあきらめ、三人の子供を生み、育てます。そしていよいよ和子の縁談を、というおり、ストリップ劇場のポスターに古島の名前をみつけます。

一人劇場に足を運び、そこで、昔と変わらぬ古島の歌声を聞き、再会を果たすふたり。互いの決して思い通りにはいかなかった人生の重みと、過去の思い出として割り切れないような切ない思いが交わります。そして、昔なじみの店でのデート。古島の歌うレコードをかける、二人の過去を知るマスター。それにあわせて踊るふさと古島の姿は、心の奥底にしまってある思いをにじませ、とてもステキでした。

 

なんかコメディらしからぬ感想ですがw それもそのはずで、桂小金治さんは今作もしっかり笑いを提供してくれるし、永井達郎さんのちょっとなよっとした坊ちゃんも面白かったけど、全体的には先に観ていた「泣いて笑った花嫁」より、笑いは控えめ(「泣いて笑った花嫁」は桂小金治さん以外にも藤山寛美さんとか、コメディアンの方盛りだくさんでしたし)。ラブコメの「花嫁シリーズ」第一弾はコミカルなシーンよりもしっとりした大人の恋が切なく、印象的。「泣いて笑った花嫁」しかりだけど、番匠監督、ほんとはサブストーリーであるはずの大人の恋を描きたいのかな!?と思ったり。

 

 終盤、店が火事にあったり、三人の子供達それぞれとケンカしたり、和子と千賀子の福田を巡るあれやこれやと色んなこと起こるんですが、望月優子さんが全部もってっちゃうんだ!たかだか二作しか観てないけど、ステキな女優さんだなぁ、とやっぱり思った次第。

 

弟の恋人が朝丘雪路さんで松竹歌劇団のダンサーでキャピキャピだったり、松竹の大木実さんを初めて観たけど、10年後(「決着」)も姿は変わってないなぁ、とか思ったり(笑)と、主演の二人を差し置いて他のキャストが気になって仕方なかった本作。最後に福田が家出した和子を迎えに行くシーンはとってもかわいくて良かったけど、先に観た「危険旅行」とあわせて、このコンビの良さが分かるには、もっとお二人の作品を観てみないとかな、と思った鑑賞後なのでした。