T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

土居通芳監督「男の世界だ」

ハンサムタワーズそろい踏み!吉田輝雄は飛び抜けてハンサムなのでした♪

 

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【映画についての備忘録その32】

土居通芳監督×ハンサムタワーズ主演「男の世界だ」(1960年)

 

 大学のボクシング部に所属している吉田猛(吉田輝雄)には、柳瀬港湾会社の社長令嬢で幼馴染みの恋人、玲子(大空真弓)がいる。新人王となり、玲子や友人たちに祝福されているその夜、新聞記者をしている先輩の菅原(菅原文太)から、猛の兄が柳瀬港湾の労働争議暴力団に射殺されたことを知らされる。菅原に労働争議で兄が射殺された時の写真を見せられた猛。そこには港湾を荒らすヤクザ、北島組の男達3人が写っていた。菅原曰く、兄の死は港湾会社には関係なく、チンピラやくざの仕業ということで解決したという。それに憤然とした猛は兄の死の真相を知るため、故郷へ戻ることにする。

玲子も猛を追いかけて同じ列車で故郷へと向かうが、兄の死に玲子の父親が関わっているかもしれないと思うと、猛は玲子を避け、顔をあわせても言葉を交わすことをしない。

故郷に戻ると兄と同じ会社で働いていた友人の寺島(寺島達夫)が迎えてくれた。菅原の新聞社の支社で寝泊まりし、柳瀬港湾で働きながら真相を探る猛。写真に写っていた北島組の男達3人を探してあるバーを訪れた猛は、そこで3人を見つける。彼らに喧嘩を売られた猛。そこに突如現れた殺し屋・高宮(高宮敬二)は猛に加勢するのだが。。。

 

シネマヴェーラ渋谷の「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のまだまだディープな世界」特集で鑑賞。今回の特集で1番観たかったのはもちろんこちらヾ(o´∀`o)ノ輝雄さん観たさで上映期間の一週間で、有休使ったりしながら三回行きました(∀)(ホントはもっと行きたかったw)ハンサムタワーズそれぞれのファンの方がみんな楽しめるように(当時どのくらいの需要だったのか分かりませんがw )できている映画でありました。

 

4人それぞれの個性をいかすような役柄と見せ場が用意されています。苗字は芸名がそのままだし、何より映画の最初に【ハンサムタワーズ4人が横向きに並ぶ→一人一人笑顔を見せる(もう、これがヽ(≧▽≦)/ってなります)→あわせて各個人のクレジット→最後にハンサム・タワーズってクレジット】という、ハンサム・タワーズのPVか!?みたいなオープニングで、この4人を売り出すぞー!という力の入り方が見て取れます(゜∀゜)実はこのオープニング、YouTubeにアップされていて、何度も観ているのですがwずっと予告編の動画だと思っていたのですwまさか映画のオープニングだったとは!

 

映画のストーリーはラブロマンスあり(清純派吉田輝雄×大空真弓とセクシーな高宮敬二×万里昌代というバリエーション)、アクションシーンも盛り沢山、謎の殺し屋、港湾の労働争議、社長をだましてヤクザと手を組み悪事を働く専務(黒幕。細川俊夫さん)、ヤクザと専務の腹の探り合い、と以前観た土居監督の「爆弾を抱く女怪盗」と同じく、エピソードてんこ盛り!勢いで最後まで話を運ぶ展開。ただ、ハンサムタワーズのプロモーションも兼ねたような映画でそれぞれの見せ場を入れるのにストーリーを作っている感もありwよく練られた作品だったなぁ、というよりは、「ハンサムタワーズそろい踏みってことが1番の価値だったなぁ」という映画でありましたw(私的にはそれはすごい価値があるわけですが(゜∀゜))

 

ハンサム・タワーズ、誰が1番ハンサム…いや、美味しいかというと、そこはやはり!?実質主役の輝雄さん。大学生でボクシングの新人王、恋人は社長令嬢の大空真弓さん。タイトルバックのボクシングシーンもかっこよく!正義漢で腕っぷし強くて男気があってハンサムで、と文句なし!学ラン着て微笑む姿は言うまでもなく、(港湾で仕事をしているときに被っている)作業用のヘルメット姿すらキラキラのお目々がまぶしくてハンサムですヾ(o´∀`o)ノ「大学の竜」の頃よりキレ味も増したアクションシーンや彼女への優しい笑顔とか、もう、映画のストーリーとかそんなことは横に置いておいてwこのハンサムさんを堪能するのには文句なしの場面の連続ヾ(o´∀`o)ノ力強い目線と、「黄線地帯」や「女王蜂と大学の竜」でみられる純粋で真っ直ぐな雰囲気がさらに輪をかけて伝わってきて(土居監督の作品が石井監督よりストレートな作品だからでしょうかw)、若き吉田輝雄の魅力がめっちゃ溢れています(∀)ありがとう!土居監督!

あまりにカッコよくて、(見渡す範囲では年配の男性だらけだったシネマヴェーラの館内で)アイドルに黄色い声援を送るような気分で観ていました(゜∀゜)

 

で、次に美味しかったのが高宮さん。これはハンサム・タワーズの期待値順だったのか!?吉田が北島組とバーで喧嘩になりそうなところをなぜかギターを持って助けに入り、殴り合いを始める前に歌い出しますwそして、それをちゃんと聴く北島組の面々。歌声に気付いて出てきたバーのマダム・万里さんは今は北島組の組長の情婦でかつての恋人。万里さんめっちゃセクシー!今まで観た作品の中で1番の美しさでございました(〃'▽'〃)

高宮(役名です)は野崎専務の依頼をうけて労働争議に関わった北島組の面々を消していきます。事実を解明しようとする吉田(役名です)も邪魔なので消すように依頼されますが、バーで一緒に暴れ回ったり、窮地を救われたりしたことから、吉田を消すのは後回しにする、と言って身を隠します。で、吉田、寺島、菅原と一緒に野崎専務と北島組を倒す側へ回ります。万里さんとのアツいキスシーンなんかもあって、高宮さんのちょっとダークで退廃的な雰囲気をいかした設定だなー、と感じました。

 

寺島さんは実直な港湾の現場のリーダー。つなぎの作業服にヘルメットが実にしっくりきますw(ポスターの服は現場の作業服でキメてるんですね、あれ。西部警察の大将みたいな感じかと思ってたけど、じゃなくて、仕事着でしたw)年上の作業員にも慕われ、皆を代表して専務に直訴しに行ったりします。結婚を考えてお付き合いしている彼女もいるのですが、労働争議でゴタついている中で「自分たちの幸せだけを考えるわけにはいかないよ」という、誠実さの塊みたいな役。寺島さんの雰囲気にぴったりの役でした。

 

文太さんは熱血新聞記者。同じ土居監督の「爆弾を抱く女怪盗」の時と同じように都会的な雰囲気。吉田(役名です)と寺島(役名です)の兄貴分という感じで血気にはやる二人に冷静に意見したり、指示を出したり、頭が良さそうな感じ。東映ヤクザ路線の菅原文太を観たことがない私にはこの役柄も違和感なくて、はまっているように見えます。新聞記者として資本家を糾弾するような演説をぶつシーンもあり、晩年には社会活動もされていた(新東宝時代に天知さんと組合活動していた、なんて記事をどこかで見た記憶もあり)ことなんかも考えると、そういう部分も似合っているように思えたり。

ただ、立場的には一歩ひいた役で、4人の中ではわりと個性の薄い二枚目という感じなため印象度が薄くてちょっと割り食っちゃってる感じも(^_^;似合ってはいるけど文太さんの個性がいきる役ではなかった、ということなのでしょうかね。

 

ヤクザをバッタバッタと倒すくらい強い吉田に殴り合いで負けてない専務、密輸を追うとか言ってたのにそっちのストーリーはほったらかし、新聞記者なのにヤクザの組長を殴り倒す菅原、最後は4人で専務と北島組を倒しに島に渡るのですが、なぜか現場のヘルメットを被っている寺島とか(島に乗り込んだ時に4人でかっこよく歩いているのに笑えます。まー、そもそも新人レベルの4人なので、ただ歩いてるだけ感があり、ビジュアルのレベルとシーンとしてのかっこよさが比例してないのですが(^_^;)、新東宝らしい!?ツッコミどころも楽しみつつ。ハンサム・タワーズの魅力溢れる!?「男の世界だ」でありました。

 

最後にもう一回。学ラン姿の輝雄さんカッコよすぎだってばーヾ(o´∀`o)ノ

 

 

シネマヴェーラ渋谷の館内に展示されていたハンサムタワーズのあれやこれや】

今回の特集の監修をされている下村健さんの所蔵されている資料かと思うのですが、上映された映画のたくさんの資料が展示されていました。その中にあったハンサム・タワーズのあれこれ。

 

ハンサム・タワーズ結成のプレスシート!経歴が細かく書かれています。輝雄さんは新聞広告で応募ってなっていて、今知られている経歴とは異なる内容なのはなぜ?社長夫人にスカウトされたっていう実話のほうが面白いw

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命名の由来となっている東京タワーの前での一枚。新人さんなので1番笑顔がかたい気がする吉田輝雄

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