T’s Line blog~映画についての備忘録~

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

石井輝男監督「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」

ノローグと奇形人間に苦笑しつつ、ちゃんと「映画」として楽しめた。

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 [DVD]

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【映画についての備忘録その28】

石井輝男監督×吉田輝雄主演「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」(1969年)

 

 

精神病院に監禁された医大生・人見広介(吉田輝雄)。彼にはなぜ自分が監禁されているのかが分からない。そして、幻聴のように聞こえてくる子守唄と荒波に立つ断崖絶壁、子守唄を歌う女性の声が聞こえる土蔵の風景が脳裏にやきついていていたが、それがどこなのかも分からなかった。精神病院を脱走した広介は町でその子守唄を歌う曲馬団の美少女・初代(由美てる子)と出会う。しかし、初代は広介の目の前で何者かに殺され、犯人にされた広介は初代の話をヒントに子守唄の謎を解くべく北陸へと向かうことにする。

その列車の中、逃亡者となった彼は新聞で自身と瓜二つの菰田源三郎(吉田輝雄)の死亡記事を目にし、広介は埋葬された源三郎が生き返ったように見せかけて源三郎に成りすまして菰田家へ入り、そこで源三郎の父・丈五郎(土方巽)が無人島に自分の理想郷を作るべく、莫大な金を投じていることを知る。

その島に自分を取り巻くこれら全ての謎を解く鍵があると感じた広介は、執事の蛭川(小池朝雄)、遠縁にあたる静子(賀川雪絵)、菰田家の下男(大木実)を連れ、丈五郎がいる島に渡るが…。

 

まず最初に。この映画をアトラクション的に楽しんで観る方にはあわない感想かと思いますのでもしそれを期待してこのページを開かれた方はスルーしてください(^◇^;)

 

何で小津安二郎のあとにこれやねん!という感じですが、7月に東映チャンネルでの放送があってついに観ることができ(TSUTAYAディスカスに無料登録してた間に借りれなかったんだ!)、こんだけ輝雄さんのカテゴリに感想入れてるのにこれ書かないわけにはいかないんじゃないかと思いσ(^_^;感想をつけておこうかな、と。

この作品、「ゴールドアイ」を観て初めて“吉田輝雄”という俳優さんを知ってからあれこれ検索したときに一番情報が溢れている作品でした。おかげで、カルト作品として有名であること、その象徴としてラストシーンがとんでもなくて拍手と爆笑が起きるらしいってこと、土方巽という人がこれまた稀有な舞踏家であること、売れる前の近藤正臣が出てること、あとおっぱいがいっぱいとかw観る前から色々なシーンがあるらしい、という事を頭に入れての鑑賞となりました。

 

私にとってカルト映画というのは「フラッシュゴードン」が代表で(当ブログ名のTには「フラッシュゴードン」のバリン皇子:Timothy Daltonも含まれています(๑'ᴗ'๑)こちらも輝雄さん同様、アクション、文芸作品、カルト映画と何でもござれですw)、「ゆるい展開のつまらない出来を面白がる映画」というジャンル?なのですが、で、そういう意識でこの映画を見始めたら「ちゃんと面白いじゃん」という作品でした。

 

まず、なぜ広介が精神病院に閉じ込められてるのか?彼を悩ませる子守歌と断崖絶壁の風景は何なのか?自分とそっくりな源三郎の存在、と、それらを冒頭で一気に散りばめて、これを最後まで引っ張っていくので、そもそもミステリーとして観ていて楽しめます(これは私が原作を読んでないからかもですね)。そして、精神病院の建物や大正時代か昭和初期かを想像させるようなテント小屋が連なる曲馬団の会場、菰田家の旧家らしい日本家屋の佇まいや広い庭、見るからになんか知ってそうなw小池朝雄さんの蛭川とか、乱歩らしい(ってもテレビドラマでしかしらないんですが(^-^;))妖しくて美しい世界が広がり、それもまた楽しく。

 

とはいえ、島に渡ってからの奇形人間達の描写は正直困惑しまくりましたσ(^_^;見ていて気分のいいものではなくて(この映画のカルト映画としての人気はこういうところにあるのでしょうが)、個人的にはやや目を背けたくなるシーンの連続(^-^;)でも、そのシーンを除いては(ってこれが長いんだけど)、やっぱりストーリーとしては面白くできていて、なぜ丈五郎がこの島を作ったのかという背景、そして広介を悩ましていた土蔵から聞こえる子守唄の謎などが明かされていきます。

 

広介は島を探してあの子守歌の聞こえる土蔵にたどり着き、そこでシャム双生児を見つけます。同性でしかありえないはずなのに男女のシャム双生児(この男側が近藤正臣らしい)で、広介はこれで父親がこの島で何をしているのか(=奇形人間を外科手術で作り出している)を知ります。そして、彼はこのかわいそうなシャム双子を分離する手術をします。

 

で、こっから話の筋は面白いのに手段としては強引に結末に向かいますw 

手術が終わったと思ったら次の場面では広介とシャム双子の女性・秀子(由美てる子)は結ばれています(奇形人間を長々と写す時間があるなら、そこもうちょっときちんと描いてよっていうはしょりっぷりで苦笑)。で、結ばれたことを知った丈五郎は二人が異父兄妹であることを告げ母親を閉じ込めている洞窟へ連れて行きます。んで、ここで秀子の出生の謎と丈五郎がなぜこんな島をつくり、二人の母を監禁し、娘の秀子を奇形人間にしたのかを二人に語ります。

これが結構重くて、石井監督の作る絵と土方巽さんのあの異様な佇まいとで、この奇行に対して嫌悪感と同時に憐れみを感じさせます。丈五郎は手に水かきがある片輪者(映画で使われている言葉を引用します)で、美しい女性と結婚しますが、妻への愛は伝わらず、妻も夫を疎み、他の男性と通じます。そしてその復讐として健常者が異常で片輪者が正常な島を作ろうと考えて奇形人間を集め、作り、妻を監禁します。

・・・と、ここの重苦しい展開にどんよりした気分になっていたら、下男がやってきて、実は明智小五郎ですー!謎解きするよー!となる怒濤の展開に突入σ(^_^;この突然の明智小五郎の登場はもう、映画を結末に導くための強引な登場という感じは否めないし、尺が足りないの?って感じの大木実さん@明智小五郎の台詞の早口なことw(絶対奇形人間写すのに尺取り過ぎなんだってば)でも、やっぱりお話の筋は面白いので、心の中でこの急展開にツッコミつつも映画として楽しむことができました。 

 

というわけで観終わってみて、「どうしよう」を連発する広介のモノローグとか(なんで“どうしよう”をチョイスしたんだか。もっと他の言葉はなかったのかw)、奇形人間の色塗っただけ?みたいなチープな造形とかつっこみどころはありましたが、私的にはカルト映画として斜に構えて楽しむという映画とはちょっと違うなぁ、と感じました。ラストの花火のシーンは、事前に情報に触れていたことで「あ~、これか~」みたいな感じで苦笑しながら観てしまいましたが、事前にそういう情報に触れていなかったら、もっと素直な気持ちで(とはいえ、なんであの表現にしたのかっていうツッコミはしてたと思いますがw)このシーンを観れたんじゃないかなぁ、と感じました。

 

映画館だと拍手&爆笑で終わったなんてレポート(感想)がたくさん出てきて、そういう楽しみ方ができなかった私としては家で一人で鑑賞できて東映チャンネルさんに感謝でしたw

 

あと、最後にいつも書いてることを今回も(∀)こんな変わった映画なのに吉田輝雄はやっぱりめちゃめちゃカッコ良かったですヾ(o´∀`o)ノ 石井監督はどんな映画撮ってる時でも輝雄さんはいつもカッコよく撮られていて、ハンサムな輝雄さんを一番ハンサムに撮っているのが石井監督なのだよなぁ、と思うのでありました。