土居通芳監督「爆弾を抱く女怪盗」
短い時間に色々つめこんで、勢いで観れちゃう一本
【映画についての備忘録その26】
土居通芳監督×高倉みゆき主演「爆弾を抱く女怪盗」(1960年)
急行に乗った鉄道公安官・朝倉伸男(菅原文太)は網棚からボストンバッグを抜き取ろうとしている二人連れの置き引きを取り押えようとしたが、美貌の女・三ノ宮雅子(高倉みゆき)にさえぎられた。不思議なことにこの女の手にボストンバッグが握られていた。それを被害者の東洋貿易専務・吉沢文雄にかえした朝倉は女を取り調べるため乗務車掌室に入ったが、麻薬をかがされ逃げられてしまい、朝倉は責任をとって辞表を出した。
その夜、東洋貿易が襲われた。その一団を指揮していたのは雅子だった。かねてから東洋貿易を密輸のうたがいで張り込んでいた朝倉は雅子に不二ホテルへつれ込まれる。そこで雅子を首領にしたこの一団が東洋貿易社長・立花(沼田曜一)の仕事を妨げるため暗躍していることを知った。急行列車の中で奪ったバッグには5000万近いダイヤが入れられていたのだ。これに興味を持った朝倉はすすめられるまま協力することにする・・・。
吉田輝雄、「女体渦巻島」で初主演を飾る前の貴重な一本(〃'▽'〃)拝見させていただきました。三原葉子さんもタグに入れてますけど三原さんとのコンビではなくて(三原さんは沼田さんの彼女?奥さん?でセクシーボディーを披露しておられます😆)、三条魔子さんとのコンビ。(高倉みゆきさんと菅原文太さんメインなのにそこは置いとく人)
三条さん演じる久美は東洋貿易の専務の秘書なのですが、じつは高倉みゆきさんがボスの一団に父親がいて、高倉さんたちに協力して、ダイヤの輸送の情報を流したりします。そして輝雄さん演じる千葉は東洋貿易の社員なのですが、会社の悪事のために働くことに嫌気がさしていて、久美との将来のためにも辞めようとしています。
三条さんとも「セクシー地帯」などで恋人同士を演じていらっしゃいますが、この組み合わせもなかなか似合っています(〃'▽'〃)三条さんのほうが輝雄さんより7つ年下なんですが(公開当時、輝雄さん23歳、三条さん16歳!)、三条さんは16歳とは思えない感じで!キュートだけれどオジサン(専務)も誘惑しちゃう、という役も堂々と演じておられます(๑'ᴗ'๑)
輝雄さん演じる千葉は久美のことが大好きなようで、専務からネックレスを贈られてイチャついてる(雅子に情報を提供するために専務に気のあるそぶりをしているんだけど)ところを見て、専務が去ったあとにネックレスを引きちぎって「二度とこんな真似しやがったら殺してやるぞ!」とか言っちゃう∑(OωO; )かなり乱暴でヤキモチ焼きな男であります。この後「女体渦巻島」で信彦を演じてその後はヒーロー(!?)側の人間と相成りますので、こんな役が観られるのも、主演デビュー前ならでは、と言いましょうか(๑'ᴗ'๑) プリップリに若くて細くて眼光鋭い輝雄さんなので、こんなちょっと危なっかしいキャラクターも意外とはまっていたり。
本作の輝雄さんはアクションシーンの見せ場は2つくらいでそのシーンも短く、登場シーンの半分は久美とキスしてたり(スチル写真参照。これがまたキレイなのであります(〃'▽'〃))、社長から命令されるシーンでできていますwで、本作のアクションシーンのほとんどは、もちろん!高倉さんの相手となる文太さんのほうが担っております。「仁義なき戦い」もろくに見たことない人間なんですが、テレビなんかでチラッと見たりした印象ではかなり“濃い”演技のような気がするんですけど(違ってたらすみませんσ(^_^;)、こちらはナチュラルな演技。アクションシーンの殴り合いもスピーディーでセンスよく、トレンチコートも似合って都会的な雰囲気です。元モデルさんだったというのもなるほど、という感じ。
映画のほうはというと…
鉄道公安官を辞職したはずの朝倉が、雅子と美紀の危機に海上保安庁(多分)を引き連れて出てきたり、ついさっきまで腕を包帯で吊していたはずの千葉が次の登場シーンでは(時間的にはさほど経っていないはずなんだけどw)包帯もなく、美紀を東洋貿易の悪人達から守るために殴り合いをしたり、などなど、突っ込みたくなるシーンもありつつ(^-^;)
でも、そんなことは気にするなって感じでwカーチェイス風のオープニングから、冒頭の鞄を巡る急行列車のシーン、朝倉の辞職、東洋貿易社内での悪事の企て、久美が雅子のために東洋貿易に潜入していること、朝倉が雅子の一団に協力しての活躍、雅子側にいた人間の裏切り、雅子と立花の因縁など、まぁ、これでもかってくらいエピソードを詰めこんであって(あと三原さんのセクシーシーンも(゜∀゜))、それが次々と場面が変わって繋がれるので、その勢いに任せてみることができました(゜∀゜)
と言うわけで、細かいところは置いといてwとりあえず飽きずに観られた本作。9月のシネマヴェーラ渋谷で土居監督がハンサムタワーズ主演で撮った「男の世界だ」の上映がありますが、ハンサムタワーズ(というか吉田輝雄)を観られる楽しみに加え、映画のほうも楽しめそうだなー、と期待の膨らんだ1作でありました。
【備考】
映画のなかで奪う対象となる宝石が“政府割り当てのそこうダイヤ”と呼ばれているんですけど、これがいったいどんなものなのか、調べてもサッパリ分かりませんσ(^_^;土居監督の造語なのか、この時代にそういうものがあったのか。そこうダイヤってどんなダイヤなんだよー!