T’s Line blog~映画についての備忘録~

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

鈴木清順監督「肉体の門」

鮮やかな色使いと力強い女性たちが強烈。

肉体の門 [DVD]

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【映画についての備忘録その23】

鈴木清順監督×野川由美子宍戸錠主演「肉体の門」(1964年)

 

敗戦間もない日本。皆が生きるのに必死だ。

17歳のマヤ(野川由美子)はたった一人の兄をボルネオで亡くす。必死に食べ物にありつこうとする日々の中、アメリカ兵に犯され、それを境に関東小政のおせん(河西都子)の”パン助”のグループに入り生きていくことを決意する。
焼ビルの地下には、ジープのお美乃(松尾嘉代)、ふうてんお六(石井富子)、町子(富永美沙子)と、皆暗い過去を背負った女たちがたむろしていた。仲間の掟を破った女が激しいリンチをうけていた。彼女らの中には、「よその女に縄張りを荒させない」「ただで男と寝ない」という掟があった。
一方、おせんは、進駐軍の兵隊を半殺しにした復員姿の新太郎(宍戸錠)を助けた。傷が癒えるまで焼きビルの中でともに生活を始める新太郎と女達。新太郎を巡り彼女らの中に愛に、似た感情が湧いて来た。そんな時、町子が小笠原(江角英明)というなじみの客と、結婚を約束して代償なしに身体を与えていることがバレてしまった。怒り狂った小政、マヤらは、地下室に町子を宙吊りにすると、リンチを加えた。途中、新太郎に止められたものの、すさまじいリンチは、マヤの身体に忘れていた女の生理をよみがえらせた。そして新太郎に強烈にひきつけられていった。

 

U-nextの配信で観ました。

小説のほうは1947年発刊。この映画自体は1964年の作品ということ、また清順監督の映画の視覚的な面白さ(4人の女性にそれぞれ割り当てられている印象的な色の使い方や違う場所にいる人物を同じ画面に入れ込んでみたり)故、「風の中の牝鶏」を観たときのような同時代的なリアル感や生存することへの切羽詰まった感じまでは正直感じられなかったのですが、それでも食べることに精一杯だけどそれ故に本能的に生きてる人達がイキイキと描かれていて、純粋に「生きる」ことへの執着や活力みたいなものがが画面を通して伝わってきました。

 

印象的な色の使い方をするというのは清順監督の特徴なのですかね。この作品の前に観た清順監督の映画は「東京流れ者」。で、こちらは主演の渡哲也の鮮やかな水色のジャケットや、キャバレーの真っ白な内装とかが印象的でしたが、今作ではグループの4人それぞれに緑(マヤ)、紫(お美乃)、黄色(お六)、赤(おせん)とももクロか?って感じで色が割り当てられていて、それぞれがその色の服を着て街に立ち、客の男を捕まえます。新太郎について4人それぞれが一人語りするシーンでもこの各人のイメージカラーが背景やスクリーン全体に割り当てられていて視覚的に楽しかったです。(色はなんでそれなのかなぁ、、、キャラクターにあわせているのかしら。おせんはすごく直情的なキャラクターなので赤、とかそういうことか?)

 

で、それぞれのカラーを割り当てられた女優陣4人、全員すごくパワフルな演技だったのですが、中でも緑のマヤ役の野川由美子さんの演技とかわいらしさが印象的でした(私の記憶では「アリエスの乙女たち」の南野陽子のママ役σ(^_^;あれもキレイでしたけどね!)。映画の公開時期からすると撮影当時19歳とかでしょうか。この年齢ならでは、という感じで、大人ぶってちょっととんがったとこを見せつつも、新太郎に見せる表情はなんだかとってもあどけなく。生きていくために現実を見つめて必死に生きている部分と、少女時代の夢見る様な雰囲気のその両方を魅力的に見せてくれていました。映画のビリングでは宍戸錠さんが一番最初ですし、ググって見つかる当時のポスターの画像も宍戸錠さんが一番目立ちますが、完全に主役は野川さんでしたw

(宍戸さん演じる新太郎は復員兵でアメリカ兵を刺して4人のところに転がり込んで仲をかき乱していくわけなのですが、あのぷっくりほっぺと(悪役のためにほっぺの手術したそうですけど)どことなく感じられる育ちの良さみたいなもののせいで私にはワルに見えなくて、なんか違和感がついてまわってしまいましたσ(^_^; 他の日活の出演作とか観てみるとまた違ってくるかなぁ)

 

清順監督はこれが2作目。なんだか色々調べているとあんまりに理解不能な映画を作るので日活をクビになった、という話が出てきますがwさて、そのあたりの作品にたどりつくのはいつになるか。今のところは、また何か機会があったら観てみたいなぁ、と思う監督さんでありました。