赤坂長義監督「スター毒殺事件」
見所:天知茂。以上!
【映画についての備忘録その22】
赤坂長義監督×天知茂主演「スター毒殺事件」(1958年)
東洋映画のスター上原城二(天知茂)。彼は大学の恩師の娘で互いに好意を寄せる真理(万里昌代)の魅力と美しさに、「このような人と一緒に働けたら」と映画界へと誘い、女優デビューをさせる。
真理は城二の口ききと、天性の資質によって一気に人気女優に。そんな彼女を城二のライバルで、同じく東洋映画の二枚目スター須賀(江見渉)が目をつけ、共演を持ちかける。女たらしの須賀のアプローチに最初は戸惑っていた真理も次第に須賀にひかれていき、城二を疎ましく思うようになった。
真理の誕生日というその日。彼女を祝おうと真理の家へ城二をはじめ、知人・友人が集まって帰宅を待っていた。しかし、仕事が終わったはずなのに帰ってこない真理は須賀と共にいた。二人が抱き合う姿をみた城二は、二人への復讐を心にきめる・・・。
「女王蜂と大学の竜」と一緒にDMM.comでレンタル。石井輝男も吉田輝雄もクレジットされていない新東宝作品はこれが初鑑賞であります。んで、何でこれを選択したかといえば、天知さん、三原さん、万理さん、とこれまでみた作品でなじみの!?俳優さんたちが出演されていたから。
「毒殺事件」とかいうくらいなんでなんかサスペンスチックな要素などがあるのかな、と思って観始めたのですが、わりとタイトル詐欺な感じで(もちろん毒殺しちゃうんですけど)、 事件の描き方はとってもわかりやすく(犯人は最初からバレバレ)、城二が嫉妬にもがいてストーカーみたいにグダグダになっていく様を観る、天知さんを楽しむための作品でしたw
登場したての天知さん=城二は爽やかキャラなんですが、もうなんとも言えない違和感でした(^-^;)ここまで石井輝男作品でしか観てないせいではないよねぇ、という、似合ってなさw女たらしの二枚目スター・須賀役の江見渉さんも、まぁ、確かに二枚目っちゃあ二枚目なんだけど、着物が似合いそうな和風の顔立ちなので現代劇で天知さんと並ぶ二枚目スターという設定がなんだかちょっと…(ハンサムタワーズの面々が現代劇向けの二枚目さん達だったのがよく分かりました(^-^;))。主要男性キャラの違和感が半端ない(城二にすがりつく三原さんとか、清楚な万里さんとかもなんかイメージ違ってたたなぁ…。でも、三原さんはイメージとは違ってても印象的でした)。
天知さんの本領発揮だなー!と思ったのは城二が嫉妬を心に抱きだしたあたりから。嫉妬心と、しかしそれを真理の前では隠そうとする振る舞いと、当てつけのように昔の恋人だった女優あけみ(三原葉子)と雲隠れして騒動を起こしたりとか、まぁ爽やかさと離れて妖しさが出てくるほど、私の中でピッタリくる天知さんらしさが発揮されておりました。
ストーリーや演出的にはとくに目を見張るなにかがあったわけではありませんでしたが、天知さんが主役で引っ張る安定の2時間ドラマ(2時間もないけど)を観たような、そんな映画でありました(でも、拳銃持ってるとこ真理に見られて「友達が置いていったんだ」という言い訳はひどすぎw)。