T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

大島渚監督「青春残酷物語」

救いゼロ共感ゼロの青春映画 

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 【映画についての備忘録その20】

大島渚監督×桑野みゆき主演「青春残酷物語」(1960年)

 

いつものように夜の街で遊んだあと、気まぐれに男の車の窓をたたき、家まで送らせる真琴(桑野みゆき)と陽子の二人。そうしたある日、そのまま中年男にホテルに連れこまれかけたところを大学生の清(川津祐介)に救われる。翌朝、その男から奪った金でボートに乗り、材木置き場で清は真琴を抱いた。

その後2人はお互いをいたぶるかのように遊び、身体を重ねていく。清は人妻と不倫をしていたが、真琴のことが忘れられず同棲を始めた。やがて真琴が妊娠していることが発覚するが、清は当たり前のように真琴に子供を堕ろせというのだった・・・。

 

U-nextの配信で観ました。旧作邦画初心者、大島監督作品は初です。というか「松竹ヌーヴェルバーグ」自体が初です。でありますからして、これをチョイスして鑑賞した理由は、怒ってるおじいちゃん=大島渚監督とガメラ2のほんわかした札幌の科学館の所長・川津祐介さんと「求人旅行」のキュートな桑野みゆきさん(ググるとちょっと動画が観られるのですよね)と、はてさてこの組み合わせでこのタイトルでどんな映画なんだろう、という、知識ないがゆえのw興味からでした。

 

いやー、そしたら、救いもないし共感もないし、とりあえず私の好みとしては観てはいけないジャンルの映画で、見終わったあとの観なきゃ良かったの後悔がすごかった(^◇^;)たぶん、この手のジャンルが好きな方には共感できる点とかたくさんある、傑作なのだと思うのですが、自分的にはひたすら平行線をたどる登場人物たちでした。。。

 

清はただただ嫌な奴にしか見えず(最後は命がけで真琴を守りますが)、世の中に対する怒りを女を傷付けたり、あるいは誰かを殴ったり(真琴と同棲を始めてからは二人で美人局を仕掛けて中年男を脅し、殴って金を手にします)することで発散しているという人物。真琴もそんな清と離れることができず、二人は「こんな世の中のせいで俺たちはこんな目にあっている、こんな鬱憤を内に抱えている」というような生き方です。若いうちはそういうもんだ、みたいな見方もあるのかもしれないですが、少なくとも自分はそんな風には過ごしてないし、そんな友人もいなかったし・・・。安保闘争学生運動まっさかりの時代の映画。当時の大学生やインテリ層というのはこういう感じだったのでしょうか。当時の風俗の中の映画ではあるのだと思いますが、最初からずっと何か違う異世界(住む世界が違うとかそういう事ではなく、地に足がついてない、フワフワした現実というか)を見させられているような気がして仕方なかったです・・・。多分、私はこの手の映画が苦手なのですw若者の鬱憤が自分を破滅させてかつ世の中にあたるとかいう方向性が理解できないσ(^_^ いや、もう、ほんと、なんでこれ観ちゃったかなっていうwこういうタイプの映画も好きな方には傑作なんだと思います。相性の問題、ほんと。

 

作品全体に流れる雰囲気は最後まで苦手なままではありましたが、材木置き場での清と真琴のやりとりや、自由に生きようとしている真琴とそうしたかったけれどできなかった姉(久我美子)との確執など、印象的な演出や人物もたくさんありました。映像としては最後のあまりに残酷な終焉もふくめて印象的で、そういう意味では大島渚監督が映画史に名を残す監督であることはとても納得の作品でありました。

 

次に観ることになる大島監督作品はもう少し慎重に選んでみたいと思いますσ(^_^