T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

石井輝男監督「網走番外地」

モノクロで映える雪の大地とクレイジーな悪役が印象的

 
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【映画についての備忘録その6】

石井輝男監督×高倉健主演「網走番外地 」(1965年)

 

橘真一(高倉健)は敵対するやくざの親分を斬り、網走刑務所へ護送される。網走刑務所の同じ房には殺人鬼“鬼寅”の義兄弟と称して幅を利かせていた牢名主の依田、一緒に護送されてきた権田(南原宏治)、大槻(田中邦衛)、夏目(待田京介)といった面々が収監されていた。

厳しい監獄生活の中でも、保護司の妻木(丹波哲郎)は親身になって相談に乗ってくれる。そんな中、故郷に残した妹からの手紙で、母が死の床にあり1日も早く戻ってほしいという。同情した妻木は仮釈放の手続きを約束してくれた。

一方、依田、権田たちは同じ房の者たちを巻き込んで脱走計画を練っていた。仮釈放を約束してくれた妻木の言葉を信じて、刑を勤めあげたい橘。しかし、密告すれば渡世の仁義を踏みにじるイヌとされる。密告せず巻き込まれたら仮釈放はない。苦悩する橘をみて、この脱走を直前になって失敗させたのは同じ雑居房にいた阿久田老人(嵐寛寿郎)であり、彼の正体こそが“鬼寅”だった。

翌日、森林伐採の労役でトラックに乗せられた依田らは無蓋の荷台から飛び降りる。権田と手錠でつながれた橘も彼と一緒に飛び出すことになり、結局、脱獄囚とされてしまう。怒った妻木は、橘に出された仮釈放の書面を破り捨て、二人を追うが・・・

  

U-nextの配信で観ました。網走番外地シリーズ1作目。ついにタグに吉田輝雄が入ってないエントリーです😏しかし、T’s LineのTに高倉健は入ってないんですがw

シリーズを見た順番は 6→8→7→3→4→5→そして!1という順番です。吉田輝雄編、杉浦直樹編を見終わったので、それじゃあ1から観ようかな、っていう。

 

いや~、面白かったです、1作目。

橘の暗い過去(母親は自分と妹を食べさせるために望まない再婚をして嫁ぎ先で虐げられ、これに耐えきれず橘は都会へでてやくざになります)、網走監獄で抑圧された中での囚人たちの駆け引き、牽制、深い雪のなかでの労役、道連れにされた脱獄のシーンまで、テンポよく色んなエピソードが展開します。

ヤクザ映画なんでしょうけど、それよりもアクション映画の名作を見た、という印象。

 

網走番外地シリーズ、健さんの相手役でくくると杉浦直樹編と吉田輝雄編と(あとは相手役としては連続して出てくる人がいない)その他、ってくくりかな。で、杉浦さんと輝雄さんの場合は、相手も男気のある好敵手、という描かれ方で二人ともキザなかっこよさがあるんだけど、一作目は橘の男気(侠気?)を際立たせるためか、橘を脱獄の道連れにする権田(南原宏治さん。1作目における橘の相手役)は、もう、とことん悪です。笑い方とか凄くクレイジーな感じで、監獄のなかも脱獄した後も、橘を踏みつけにして自分が優位にたつ、ということを常に考えてるようなイヤな奴です。

見終わった後に、クライマックスのトロッコのシーンと一緒に南原さんの笑い顔がとても印象に残りましたね。シリーズ屈指の悪役かと思います。南原さん、昔はイケメンさんだったのではないかなぁ、という整った顔立ちなので、その分、権田の狂気みたいなものが凄みをましているんですね。

 

んで、クライマックス。手錠に繋がれたまま雪の中をトロッコで猛スピードですすみ、二人を後ろから銃をもってトロッコで追いかける妻木。そして飛び降りて逃げおおせ、手錠を断ち切るために線路に横になって汽車を待つまで、怒涛の展開。雪原の中で繰り広げられるアクションはハラハラドキドキです。

 

モテ男らしい待田京介、このシリーズによく出てくるのにあんまり重要な役じゃなかった田中邦衛、神出鬼没じゃない凄みのきいたアラカンさん、と後のシリーズとの違いも面白かったです。(丹波哲郎は出番は多くないけどいい役なんですが、別にこの人じゃなくてもいいんじゃね?みたいな感じ。決闘零下30度編もかっこいい役なんだけど、出番と役割の重要さのわりにはなんかあんまり印象的じゃなくて。なんでだろ。)

 

石井監督の網走番外地シリーズ、杉浦直樹編と吉田輝雄編はどれもよくできた娯楽映画という仕上がりで、それ以外は出来がマチマチなのですが^^; シリーズ1作目は全作を通して上位3つに入るなー、という仕上がりでした。そりゃ、シリーズ化されますわ。