T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

テレビドラマ「ゴールドアイ」(1970年)

クールなプロフェッショナル。世界の平和を守るのもビジネスです。

 

ゴールドアイ DVD-BOX デジタルリマスター版

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鉄は熱いうちに打て・・・ではないのですが、いずれ書きます、と最初の投稿で書いていたテレビドラマ「ゴールドアイ」について、東映チャンネルでの全話放送が終わったばかりのタイミングで、書き残しておきたいな~、と思い、書くことにします。

早々と映画じゃないエントリー^^;

 

「ゴールドアイ」は1970年2月から半年間、トヨタの提供で放送されたアクションドラマ。「ゴールドアイ」はこのドラマの主人公達の組織の名称。Wikiによると世界刑事警察機構の下部組織ってことらしいですが(でも、勝手に自分たちの意思で首つっこんでる案件もあって、ドラマでは組織も正体も不明、という設定です)日本や世界の秩序を乱そうとする者達に立ち向かう組織です。

ゴールドアイの主なメンバーは

香月(ボス):芥川比呂志
高井:高松英郎
吉岡:吉田輝雄
豪:若林豪
柴田:柴本俊夫(柴俊夫)
宮内:宮園純子

渡瀬(まんまやん!):渡瀬恒彦⇒5話から

藤:藤岡弘⇒12話から

(柴田君は10話あたりでいつのまにやらいなくなりますorz)。

当時すでに名の通った方々と、これから売れていくメンバーが混在していて、今見ると豪華なキャストです。

 

「ゴールドアイ」、色々と書きたいことが多くて何から書くべきか・・・。ということで、「ここが素敵なのよ!ゴールドアイ」を箇条書きスタイルで連ねてみたいと思います(個別に好きな話はまたあらためてピックアップしたい・・・)。

 

このドラマは視聴率の問題なのか、途中で構成やドラマのカラーが少し変わってしまいます。

8話まではボスがメンバーを集めて直接指令を出します(これがまた、大型のボートの船室に集まってたりしてめちゃカッコイイ)。が、9話からは、ボスは冒頭にナレーションで指令を下すだけ、という構成。また、それにあわせて、ドラマ部分に重きがあった展開が、アクションやギミックが目立つように。どちらのパターンも楽しめますが、個人的には「ゴールドアイ」のかっこよさはボスのいる8話までが特に抜きん出ているように思えて好きです。

 

アクションが売りのドラマなんて西部警察(第3シリーズ)以外見たことがない人間なので(特捜最前線もはまってましたが、あれはアクションは売りではないし。。。)「そんなのほかのドラマでもあるよ!」みたいなつっこみがあるかもしれませんが、あくまで「ゴールドアイ」の感想として。

 

 【その1】ボスがクール

ボス役は芥川比呂志さん。あの芥川龍之介の息子だそうです。「ゴールドアイ」の放送を見て初めて知ったのですが、この方、エリート銀行員みたいなスマートな容貌です。刑事ドラマとかこういうタイプの作品のボスのイメージは「情に厚くてみんなから慕われ、いざとなったら腕っ節も強い」ですが、そういう固定したイメージを覆します。クールでドライな頭脳派。「ゴールドアイ」は世界や日本の秩序を守るために活動しますが、それを「我々のビジネス」と語ります。熱い使命感とか、そういう感じがありません。

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【その2】年長さんグループにプロフェッショナルとしての矜持がある

 年長さんグループの3人(高井さん、吉岡さん、豪さん)はボスからの命令に反論したり、ボスに内緒で勝手に仕事したり、ボスに従順、とは言えません。高井さんはボスの推理を否定するし、豪さんは高井さんが持ちかけた、ボスに内緒の仕事にノリノリです。吉岡さんも、ドル紙幣偽造事件を追えというボスの指令に、日本でつかまるのなんて末端の人間なんだから意味がない、とか、みんなしょっちゅう、ボスに意見します。号令で前ならえじゃなくて、それぞれが自分の能力に自信があって事にあたります。 その姿がかっこいい。

ボスに内緒で仕事しようとするお三方

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【その3】熱い色男とクールな色男が並び立つストーリー

柴さん、渡瀬さん、藤岡さん、と若き(当時)イケメン俳優さん達がメンバーに加入しますが、恋のお話は若林豪さんと吉田輝雄さんのお兄さんコンビが担当します。

豪さんは熱血漢。粗野な脱獄犯と逃亡する羽目になったときも、脱獄犯の生い立ちに感情移入してしまって、事件を解決するよりも脱獄犯を助けることを優先するような人(第2話)。女性との恋の話も誠実です。12話では昔の恋人のことを今でも忘れられず、恋人の友人だった女性に惚れられても、昔の恋人に思いを残していて決してなびきません。

一方、吉岡さんは自ら認めるプレイボーイで、女性には優しいですが、ドライです。4話で母親に捨てられた、という過去を話しますが、そう言ったところが影響してる様子。女好きなせいでちょくちょく痛い目(慣用句的ではなくて実際にw)に会ったりしますが、一方でそのハンサムぶりを利用して敵方の女性に近づく、なんて振る舞いも当然のようにこなします。ビジネスです。

この2人、別々のお話でメインをはることもありますし、一緒にコンビのように動いたりすることも。この2人の色男の存在が異なるカラーのストーリーをみせてくれます。

 

【その4】イチイチかっこいい台詞たち

第1話の脚本が中島貞夫さん。だからなのか、とにかく、男っぽいかっこいい台詞が随所にでてきて、「ゴールドアイ」という組織の非日常感を醸成しつつ、現実的な世界(日本とアメリカ以外の登場する国は仮想の国だけど)とを結びつけます。そして、このムードを8話まで引き継いでいきます。

第1話ではボスの過去とドル紙幣偽造組織の謎が交錯する話。戦時中に諜報員として活動していたボス。ボスは偽造組織のことを聞き出そうと、その秘密を知っているらしい当時の同僚・中原と誰もいない国立競技場で顔を合わせます。そのシーンでは、東京オリンピックの映像や学徒出陣の映像がはさまれ、光り輝く未来へと進もうとする日本と軍の諜報員だった時代の影を引きずって生きる自分を比較し、「もう俺の住める日本ではない」と中原は語ります。つか、もう、書き出したらほんと止まらないくらいここ、ずーっとかっこいい台詞の応酬。

1話の最後には、中原(=日本陸軍)によって日本側のスパイをさせられていた中国人女性(吉行和子)を助けようとする高井さんに、豪さんは「戦中派のセンチメンタリズムですか」なんて言ったり。

4話では上記の通り、吉岡さんが母親に捨てられた過去を独白します。きっかけは同じように自分をおいて出ていった母親を探すポール(宮内洋)という日米ハーフの米軍兵士を基地近くで車に乗せたこと。この時、車で寝てしまったポールを見ながら「この坊や、どっか俺に似ている。おふくろが行っちまってたったひとり、誰も頼るものもなく打ちのめされていたガキの頃の俺に」と過去の自分を重ね合わせます。

第1話と同様、第4話もキザな台詞の連発で、テレビドラマっつうより映画のような、日常とは離れた空気。これが、警察でも検察でもない組織、ゴールドアイの特別感を醸し出します。

 

【その5】1970年の「時代感」

ゴールドアイのメンバーは

戦争を兵士として体験した世代:ボスと高井さん

子供だった世代:吉岡さんと豪さん

と分けることができます。

この当時、ひょっとしたら当たり前に交わされていた会話なのかもしれませんが、よくこの世代差を表す会話がかわされます。

先に書いた第1話の中国人女性を助けようとする下りでは、高井さんは「その人の運命は俺達日本人が作ってしまったんだ。スパイとしてしか生きられないんだ」といい、これに対する豪さんの返事が先の「戦中派のセンチメンタリズムですか」となります。

4話では、ボスから拳銃を渡された吉岡さんは楽しそうに指でクルクルっ!カチャッ!とやります。ボスに「手慣れたもんだね、最新型の分解を知ってるなんて」(カチャッの部分が分解なのか?)と言われ、「戦後の暗黒街に育ったんで、つまらないことばかり覚えちまってね」と悲壮感もなく(これは輝雄さんだから可能なのかもしれませんが)、当たり前のようにさらりと返します。

この時代だからこその会話のように思われ、それぞれの世代で戦争を体験した故に人生で背負ってきた重みのようなものが感じられて、キャラクターに渋みを加えます。

 

【その6】服とクルマ

トヨタの提供だったので、当時のトヨタのクーペが次々と出てきて、そしてよく走ります。さすがに「007は2度死ぬ」の2000GTみたいなスペシャルなスポーツカーは出てきませんが、この時代の車のデザインは見ていて楽しく、どれもカッコいいです。あと、敵方はほぼ間違いなく左ハンドルの外国車に乗っていて、それもスポンサーを意識してのことかと思うと笑えたり。

大活躍のトヨタ

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このすごい顔の車は何でしょうかf^-^;敵のみなさんの御用達。

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そして、着てる服は今見てもかわいい。4話メインゲスト宮内洋さんと児島美ゆきさん

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13話の2人のスーツとワンピースもステキ。

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スーツは基本的に今でも違和感ない細身なスタイルでステキ。さらには吉岡さんも豪さんも、柴田くんも渡瀬くんも、もれなくポケットチーフを忘れずにさしています。仕事中なのに、みんなオシャレさん。

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吉岡さんと渡瀬くんはサマーランドにこの服装でやってきますw

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チンピラ役ででてくる小林稔侍すら、着ているスーツはビシッと決まっています。吉岡さんの胸にはもちろん白いチーフが。

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【その7 かっこいい吉岡さん】

そして、これを書かないわけにはいかない、カッコイイ吉岡さん(๑'ᴗ'๑)

長身のハンサムで、本場(イギリス?)仕立てのスーツもさらりと着こなすオシャレさん、英語も使えて腕っぷしも強い、そして女性には優しい。もう、こんなの007やんか!です。

6話の冒頭で休暇中の吉岡さんが、砂浜に車を止めてキレイなお姉さんとキスしてると、ボスから電話がかかってきます。すぐには受話器をとりません。女性に「なに?」と聞かれると「無粋な目覚まし時計さ」と答えて放置。もうね、こういうこと、ジェームズ・ボンドが言いそうでしょ!!(「リビングデイライツ」の冒頭で「やっぱり二時間後だ」と言ったボンドさんを思い出しました)しかも、「もう休暇は終わった」、というボスに「まだ今日という日は7時間もありますよ。僕一人が働きバチになる必要はないと思いますがね」と答えるあたりもカッコイイ!これ、もうボンドさんです😆

んでまた、吉田輝雄さん、石井監督のもとでハンサムさんな役を沢山演じてこられた故か、こういう設定にすんなりとはまっていて、キザな台詞やプレイボーイっぷりも、ナルシスト的な嫌味がなくてスーっとはまっているのです。ナチュラルなキザ(意味分からない感じの言葉になってますが)で女性に優しいプレイボーイ。このボンドさんのような非日常的な男前っぷりが「ゴールドアイ」の世界観にピッタリなのです😆

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と、何だかんだで7つになった「ゴールドアイ」の素敵ポイント。たった半年で終わってしまったドラマですが、もっと続いててほしかったなぁ、と思うドラマでした。

 

【2019/7/13追記】

「ゴールドアイ」がきっかけでおきた特別な出来事について。吉岡さんはやっぱりかっこいいのであった!というお話

 

kinakossu.hateblo.jp