T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

小野田嘉幹監督「女巌窟王」

ザッツ 大蔵新東宝 エンターテイメント! 

 

 

 

【映画についての備忘録その35】

小野田幹嘉監督× 三原葉子・万里昌代主演「女巌窟王」(1960年)

 

 九州の南にある港町のキャバレーで麻薬組織・岩原組の根城ー“ブルー・ムーン”。ここで踊るルミ(三原葉子)とエミ(万里昌代)は姉妹だった。ボスの岩原(江見俊太郎)はエミを、支配人の矢島はルミを、それぞれ力尽くで手込めにし、情婦にしていた。姉妹の兄である慎一は船員だったが、麻薬とは知らず岩原の仕事を手伝った。船は他の麻薬組織に襲われて麻薬を奪われ、激怒した岩原は慎一を地下牢に閉じこめる。ルミに好意を抱く組員・武志(高宮敬二)により慎一は地下牢を脱したが殺し屋の健(沖竜次)に見つかり殺害される。岩原はすべてを知って逃げ出そうとしたルミとエミも消そうと決める。

麻薬を奪った金竜組と孤島で対決し、金竜組を壊滅させる岩原。そしてその場に連れてきていたルミとエミにも銃口を向ける。二人をかばう武志とともに洞窟に逃げ込むが、岩が崩れ、武志は下敷きとなり、二人は閉じ込められてしまう。

幾日か洞窟の中をさまよい歩き、奥深く逃げこんだ二人は、数百年前の宝石箱を発見する。そして岩で岩を砕き、脱出に成功した二人は、偶然ヨットで沖を通りかかった青年・英次(吉田輝雄)に助けられる。二人は財宝と英次の助けを得て二階堂と改名し、岩原組への復讐を開始する。。。

 

 

小野田監督、新東宝という映画会社の存在を知る前から「鬼平犯科帳」とか小林桂樹版「仕掛人・藤枝梅安」でお名前を拝見していたのを覚えていて(小杉役の柴さんが観たくてDVDを買ったり)、その小野田監督の映画、まさか全然違う方向で面白い映画だったとは!という作品w

 

予約してたけどなかなか来なくてあきらめて忘れてたらDMM.comからやってきましたDVD。「大デュマの傑作に比肩する」(予告編でそう出てるのよ!YouTubeでも観られます)と謳われる本作。

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モンテ・クリスト伯」に比肩するかどうかについて論争が起こる余地もありませんでしたが。+゚(*ノ∀`)理想的な?大蔵貢時代の新東宝の1作に出会えたことに感動した(!?)映画でありました(゜∀゜)

 

出だしからセクシーな衣装で踊る三原葉子&万里昌代。キャバレーのダンサーだからね!いやー、でも妖しい音楽と、そして、下手ではないにしても上手いとも言いがたいダンス。+゚(*ノ∀`)ユルい!とってもユルい!二人はセクシーなんだけど洗練されたセクシーって感じでもなくてそこも良いw

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もう、映画全体としてはストーリーは適当感満載であってないようなものというか。+゚(*ノ∀`)アクションとエロをどう入れ込むか、みたいな映画でwそうだよね!こういうのだよね!大蔵新東宝

 

逃げ込んだ洞窟が崩れて閉じ込められる二人。

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何日も歩き、やっとの思いで洞窟の外に出る(この時、すんごい偶然に!!海賊が残したらしい宝箱を発見!も、どんな財宝が入ってるかは明かされぬまま。+゚(*ノ∀`))。が、そこは殆ど船も通らない孤島。なかなか助けがこない。。。そして、ノースリーブで膝丈のかわいいワンピースだったのに、洞窟の中を彷徨ううちにどんどん破け、最後は水着のようになり、結果、ややバカンス風味に。セクシーな二人。

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そして、やっと通った青年に助けられます。予告編の「名も知れぬ美青年」は正しい。82分の映画で70分がすぎようかというところでようやく彼の名が「英次」であることを我々(だれ?)は知らされます。

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「美青年」。ほんとハンサムヾ(o´∀`o)ノ

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九州の南から話が始まって、そこにいたはずの岩原組。ところが、復讐の舞台は横浜で、岩原もなぜか横浜に。健も一緒。支配人・矢島も一緒。もう、わけが分かりません。+゚(*ノ∀`)たぶん、そんなことはどうでもいいのだ、この映画は!セクシーに踊る三原葉子と万里昌代がすべてなのだ。

 

とはいえ、一応ね、こんな大きなスクリーンで見たら迫力ありそうなアクションシーンもあるよ!あと江見さんと沖さんの悪役も良かったよ!沖さんは「消されたライセンス」のデル・トロのようだったよ!

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吉田輝雄さんファンになってから、色々見たり調べたりしていて、新東宝末期のエログロ路線の大蔵時代、というのは知識としてはあった訳です。が、自分が観ていた作品は「セクシー地帯」とか「黄線地帯」「女王蜂と大学の竜」とか石井作品が殆ど。それらはどれもクオリティーが高くて普通に面白いし、他に観た「スター毒殺事件」とか「契約結婚」、「爆弾を抱く女怪盗」「男の世界だ」なんかもエロは控えめで、ちゃんと(!?)ストーリーで見せる映画になっていました。なので、「女巌窟王」を観て、ついにその意味を理解!それが分かって、輝雄さんが観れて、まぁ、いっかwという映画でありました。

 

 

鈴木則文監督「任侠 魚河岸の石松」

抑えた声からにじむ感情。吉田輝雄任侠映画もっと観てみたかった。

 

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【映画についての備忘録その34】

鈴木則文監督× 北島三郎主演「任侠 魚河岸の石松」(1967年)

 

築地の魚河岸の仲卸業者・遠海漁業に勤める運搬人“魚河岸の石松”こと木村松吉(北島三郎)。暴れ者だが義理人情に厚く、大東水産で働くキノキン(山城新伍)ら同じ運搬人の仲間達にも慕われ、「いわしの会」という組合を作って勉強会をしたり慰安旅行に出かけたり。

石松ら運搬人達に混じって汗を流す遠海漁業社長国枝(内田朝雄)の娘・美智子(長内美那子)とは、今は服役中の植村直樹(吉田輝雄)と3人幼馴染みである。直樹は先の親分の代に、魚河岸を我が物にしようとした代行の貸元を切って服役中だ。その直樹が服役している間に代貸だった砂川は二代目におさまり、金竜会は金竜興行と名を変える。先代の家の半分をキャバレーにし、魚河岸に乗り出そうとする砂川は、独航船の漁撈長花輪(村田英雄)に、自分が作る新会社に漁獲を廻して手を組まないかと脅すが、国枝に恩義を感じる花輪はその話を突っぱねる。何としても魚河岸へ手を出そうとする砂川は弟・英人と美智子を結婚させて遠海漁業を乗っ取ろうと考え、遠海漁業が大東水産から借りた6000万の返済と引き替えに二人の結婚をすすめようとするのだった…。

 

 

輝雄さんにとってはある意味分岐点となってしまった作品、俊藤浩滋さんがプロデューサーを務めた「任侠 魚河岸の石松」。東映チャンネルの放送で観ました。

この作品で俊藤さんに評価された輝雄さんは、俊藤さん直々に「人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊」へ出演のオファーをされたそう。当時のご自宅へ俊藤さんご自身が何度も通われて出演を依頼されたそうですが、恩師である石井監督の作品へ出演されることを決めます。そのことで俊藤さんの不興を買ってしまい、また、石井監督が異常性愛路線の作品を撮っていくことになり、以降の出演作を観ると、東映のメインストリームから外れ(怒った俊藤さんは輝雄さんの代わりに文太さんの売出しに力を入れるようになったとか)、異常性愛路線後の「殺し屋人別帳」(1970年)での石井監督との決別(という言い方はあってないかもですが)もあり、1970年をもって、デビューから多くの映画で主演、助演をつとめてきた輝雄さんのフィルモグラフィから映画がパタッと途絶えてしまいます。・・・その結果、「ゴールドアイ」の吉岡さんに出会えたのかもしれませんが。

そんなわけで、もし、これをきっかけに俊藤さんのほうへついて行っていれば、その後もたくさんの映画で吉田輝雄を観られていたのではないかな?とどうしても考えてしまうのですが、そんなことを思いながら見始めた本作。輝雄さんが演じた直さんは、俊藤さんが惚れ込んでしまうのも納得の、静けさの中に強さと熱い心をにじませる硬派ないい男なのでした。

 

輝雄さんの登場は90分の映画の後半もいいところ(^_^;42分くらいに写真だけ登場し、50分過ぎてやっと姿を現します。めっちゃ待たされた!

 

輝雄さんが登場するまでの前半はまさに魚河岸のサブちゃんの映画(そりゃ、サブちゃん主演だしな)。仲間思いで運搬人達のリーダー。世話になっている社長や幼なじみの美智子、その妹の陽子など、皆から慕われています。血気盛んでそのせいで問題を起こしたりしますが、運搬人の仕事に誇りをもって懸命に生きる、気の良い兄ちゃん。江戸っ子らしい感じ。

映画の初っ端からハチャメチャでwキノキンには金竜興行の経営するキャバレーにお気に入りのホステス・由美(って、これが石井富子さんなのがまたおかしいw)がいて、キノキンのためにキャバレーの飲み代にマグロ🐟一本背負って電車で移動して飲みに行くとか、もう騒々しいw

 【見て、この誇らしげな表情w】

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慰安旅行の先で女剣劇に混じって森の石松をやろうとしてみたり、由美に惚れられて逃げ回ったり、「任侠魚河岸の石松」の任侠ってどのあたりなんだよwってな人情喜劇風な展開w

 

で、そんな「魚河岸の石松」に「任侠」を連れてくるのが輝雄さん。登場してからは映画をさらっていきます。先代は「魚河岸の守り神」と慕われた人物で、ヤクザが魚河岸に手出しをすることを許さなかった人。直樹はその先代の命を受けて、魚河岸を荒らそうとした代行の貸元のところへ1人乗り込んで斬り、服役します。そして出所してくると砂川が二代目となり、先代が守ってきた魚河岸に手を出そうとしています。

 

直樹は服役前、代行を斬りに行く前夜、自分の死を覚悟して美智子にもう会わないと告げていました。しかし、まだお互いに愛し合っていると感じた石松は、出所した直樹と美智子を再会させます。美智子への愛と先代への義心を心の内に抱えている直樹。

堅気になってほしいという美智子に「体に染みついたヤクザの垢はとれない」と答えます。前科者となってしまった自分と会社の跡取りである美智子。2人の立場はあまりにも違っている。美智子を愛していても、先代への義理とヤクザの世界でしか生きられない自分では彼女を幸せにしてやることができない。周囲も認めないだろう。その気持ちを察した美智子は、直樹と2人なら家を出てもいいのだと伝えるのですが…


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「できねぇ。俺には出来ねぇ」

「どうして…どうしてなの?」

「俺は先代親分の心を受け継いでいかにゃあならねぇんだ」

「あんた、どうしてもっと自分のことを考えないの?私達のことを考えてくれないの?今はそんな時代じゃないわ」

「世の中がどう変わろうと俺の命は先代にもらったもんなんだ。俺は終戦の頃、浮浪児で死にかけてるところを先代に助けられた。今のままでは金竜会は暴力団に成り下がっちまう。だから俺は金竜会から目を離せねぇんだ・・・みっちゃん、分かってくれ」

「直さん、一つだけ教えてもらいたいことがあるの・・・あんたの心の中、昔のままと信じていいのね?」

直樹は静かにうなずきます。

 

兼業主婦、ここで(「続・決着」に続き)、任侠映画を見ながら恋の話に涙。つか、輝雄さんの演技に泣かされました。

直樹が美智子に今も変わらぬ愛をストレートに伝えるのは、映画の中でこの頷くところだけです。ただ、再会した時に美智子に向けた表情や、「先代の心を受け継いでいかなければならい…」という言葉を感情を抑えながら、それでも僅かに震えてしまう声で話す姿に、美智子への愛がにじみ出ていて。美智子を前にして、先代へ忠義を尽くしてヤクザとして生きるしかないのだという決意が揺れ動いている。でも、その動揺を美智子に見せてはならない、見せてしまえば美智子は全てを捨ててでも自分と一緒になろうとするだろう。しかし、先代のために生きると決めた自分の生き方。その覚悟を自身に言い聞かせ、美智子には堅気になって一緒に生きるということなどは叶わぬ夢なのだと思ってもらわなければならない…。

輝雄さんの抑制された演技が、かえって直樹の揺れ動く心情を鮮明にし、直樹の気持ちが伝わってきて切なく…。50年前の任侠映画を観て恋の話に泣くとかいう状況にσ(^_^;ほんと、めっちゃ切ないの。

 

 

と、また鈴木監督も直樹と美智子のシーンは見せ方とか音楽があざとい(゜∀゜)最初に直樹が登場したシーンは、石松と美智子が喫茶店でお茶をしながら、三人で鎌倉に泳ぎに行ったときの写真の中に写る姿。その喫茶店はステンドグラスで飾られ、クラシックが流れるお店。鎌倉に行った次の日に直樹は1人で代行を斬りに行きます。美智子は前夜に直樹と会わない約束をしているので、もう直樹とは会えない、と写真から目を背けて石松に話します。で、この時に目を背けた先に写るのはステンドグラスの中のおとぎ話のような王子様とお姫様。音楽は「白鳥の湖」だし、なんというあざとい演出(白鳥の湖は2人がその後再会した時にも流れます)w でも、これにまんまとやられてσ(^_^;美智子の気持ちも伝わって切なさが増したり。

 

 

そして、直さんのいい男っぷりが最高潮に達する、映画のクライマックス。

砂川は遠海漁業を追い詰め、国枝社長を死に追いやります。怒った石松は金竜興行に乗り込み、その後を追って直樹も金竜興行へ。先代の意志をないがしろにした砂川への怒りでドスを抜きます。

直樹は何度も切りつけられ、銃弾を受けながら砂川を追い詰めます。すでに深傷をおっていましたが、石松が砂川を刺そうとするところを制するように自分が前へ出て砂川を仕留めます。そして砂川の日本刀でさらに深い傷を負います。立っていることもままならず、石松に支えられながら机にもたれかかる直樹。

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「兄貴!お前、俺にわざと殺しをさせなかったんだな」

「石、すまねぇが車を呼んでくれ、自首するんだ」

「そいつは行けねぇよ。お前にはみっちゃんって言う大切な人があるんじゃねぇか!俺にお前の身代わりをさせてくれ!」

「バカ野郎…俺を見損なうな」

直樹は石松に肩を支えられながら外へ出ようと歩きだします。そこへ駆けつける美智子。

「・・・直さん!」

「みっちゃん、俺は今日までお前を悲しませてばかりきたっけな。だが、それも終わりだ。何もかも忘れてくんな」

美智子のことを思って別れを告げる直樹。それでも石松を間に、また美智子の元へ戻ってくると約束をし、再び石松に肩をかりて歩き出します。しかし、足取りは遅く、すぐに膝から崩れ落ちてしまう。目の前も暗くなっていき、自分の死を感じながら、それでも歩くことをやめません。そして、駆け寄って肩をかそうとする美智子を、いらないことだ、と言うように制して歩みを進め… 

 先代への義心、石松との絆、愛する女性の前では強くありたいという意地。それら全てを自分の命をかけて守る。この時も輝雄さんの演技はやはり感情を露わにするようなものではなく、静かで、しかし、そこから直樹の熱い思いがにじみ出ます。侠気を感じさせ、それが真っ直ぐに観ている側に伝わってきます。ホント、直さんいい男。

 

今回、輝雄さんの任侠映画石井輝男監督以外の作品を観るのは初めてでした。(っても東映で石井作品以外の任侠映画ってこれだけですが(つд`))

で、最後の金竜興行への出入りのシーンが石井監督のそれとは全く違っていて、まだ観たことのなかった吉田輝雄を見ることができました。石井監督の任侠映画は、最後の立ち回りは長ドスを振り回し、派手に真っ正面から敵にぶつかって行きます(私のここまで見た作品のイメージなのでそうでないものもあるかもですが)。絵になる華やかさを求めているような感じ。一方、今作(というか鈴木監督の特徴なのかな?)では大勢のヤクザを相手にするのに短ドスを手にキャバレーの暗がりの中を這うように進み、静かにヤクザを刺していきます。砂川の弟・英人と対峙したときも、体ごとぶつかるようにして刺し、2人で倒れ込む。現実的で泥臭い立ち回り。石井作品のダンディズムを体現しているような輝雄さんをたくさん観て、それがぴたりとはまっているなぁと思っていた訳なのですが、その対極にあるような泥臭い直さんの立ち回りは、石井作品では観ることのできない種類のカッコよさで魅せてくれていました。

 

「決着(おとしまえ)」シリーズ2作と「任侠 魚河岸の石松」で見た任侠映画吉田輝雄は、静けさの中に熱い気持ちを抱え、義侠心あふれる、硬派な”男が惚れる男”(かく言う私は女ですがwでも俊藤さんの眼鏡にかなったのだから、間違いではないな)でした。もし、このままこの路線の作品を選んでいたとしたら、橘真一、とまではいかなかったかもしれませんが(私的には今作の直さんも、「決着」シリーズの鉄次や譲二もそれ以上ですが(//∇//))、印象深い侠気あふれるヤクザが1人スクリーンにいたのではないかなぁ、と考えたり。

 

え~っと、割いている量が全然違うけど、主役はサブちゃんですwサブちゃんも立ち回りとかイキイキしていて似合ってました!歌も聴けるし!!あと村田英雄さんの花長さんもカッコよかったなぁ!

 

並木鏡太郎監督「風雲七化け峠」

宝を巡る謎解きにワクワク。冒険活劇×時代劇が楽しい!

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【映画についての備忘録その33】

並木鏡太郎監督×嵐寛寿郎主演「風雲七化け峠」(1952年)

 

故郷へ帰る旅の途中の男が飯屋で昼飯を食べ終わろうかという頃、隣に座っていた人相の悪い男が自分の荷物をもって飯屋を出ます。「待て!泥棒!」と追いかけているところへ、握り飯を食べて休憩中の浪人・嵐寛寿郎登場。助けてやったついで道中を一緒に旅することに。ところが途中泊まった宿で何者かが入ってきて、その男の荷物をまた奪おうとします。命と引き替えにしてその荷物を守った男。妹への土産だというのですが、これを何としても妹に届けてほしいとアラカンに頼みます。妹がいるのは七化け峠の山の中。妹(三原葉子)は弟と二人きりで、父の形見のわさび田を守っているらしい。元・武士の父親から仕込まれた武術で人を寄せ付けない姉と弟。兄の土産を持ってきたアラカンもそう易々とは信じず、吹矢で追い払います。土産は江戸前の海苔。その海苔を命がけで守った兄と、命がけで奪おうとする悪党。果たしてこの海苔にはどんな秘密があるのか?そしてアラカンは無事妹に土産を渡すことはできるのか…!?

 

・・・いつもはあらすじは役名を入れて書くのですが、一度観たきりの作品の役名を覚えられず(^◇^;)ググっても役目入りのリストが出てこないため(^_^;このようなあらすじとさせていただきますm(_ _)m

 

こちらもシネマヴェーラ渋谷の「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のまだまだディープな世界」特集にて鑑賞。私には石井監督作品でお馴染みのアラカンさんと三原葉子さんの作品。しかも三原さんのデビュー作、ということで、三回目の「男の世界だ」の鑑賞のあと( ̄∇ ̄)続けて鑑賞です。

古い邦画を観るようになってから時代劇を観るのは初です!(「羅生門」を観ていますが、アレを時代劇としていいのかどうか、という気もするので(^_^;)どんなもんなかなー、と期待半分で観てみたら、面白い!!こちらも「玉石混淆」の玉のほうでした。

 

時代劇と言えば月曜8時のTBSみたいな勧善懲悪モノか大河ドラマか、みたいな人間には冒険活劇ストーリーや強いんだけどなんだか情けない主人公が新鮮(まさに初心者)で、これがとても面白い!時代劇も今の時代からしたらある意味ファンタジーなので、相性が良いのですかね。違和感なくすんなりと世界に入り込んで観ることができました。

 

で、まずは冒険活劇のストーリーのほうについて。この土産が何かありそうだなー、という予想通りの始まり。が、その土産がなんと江戸前の海苔!あれ?ただの海苔なの??という肩すかしからの、実はこの海苔に秘密があって・・・と一捻り。でもって、海苔を巡るアラカンさんと悪党の駆け引きも、「あー、こいつ悪い奴やろ!」と思っていた葉子姉さんの叔父が案の定悪党だったのですけど、ここにさらに第三の悪党が登場して、これがまた予想外の「え、えーっ!?」ってな人物で驚き。海苔が色んな人の手に渡ってしまうヤキモキする展開、なんで海苔をみんなで追いかけてるのか?って謎が解けてからの宝探し的なワクワク、そしてこの第三の悪党の予想外の登場と、次から次へとこちらの予想の上を行く筋立てで、時代劇は定型を楽しむもの、というイメージだった私を裏切りまくりますw

これに絡むアクションシーンも殺陣のシーンの型にやや時代を感じつつ(なんかヒーローものっぽい)も、特撮あり、スピード感あり、で楽しい。

馬で逃げる葉子姉さんの弟の少年剣士。それを追いかける悪党、さらにそれを後から追いかけるアラカンさんの三者をとらえるシーンは広い野や細い道など場面を変えながらスピード感をもって追っていき、アクションシーンとして楽しい。時代を感じたチャンバラもぴょんぴょん暴れまわるアラカンさんと少年剣士VS団体で襲ってきて銃も撃ってくる悪党。これをどう切り抜けるのか!?って対決で結局ハラハラドキドキさせられましたw

 

それから、登場人物について。アラカンさんは故郷の母に会うために田舎へ帰る途中の浪人さん。酒で仕官も失敗したから飲まないようにしているんだ!とか言いながら飲んじゃったり、土産を持っていったら葉子姉さんがおもむろに裸になって川の中に入ってしまうので慌てふためいたり、さっさと渡すもの渡して帰りたい感ありありだったり。剣の腕の立つ正義漢なんだけど、何か巻き込まれて困っちゃったなー、みたいな情けなさもあって、決して立派ではない人物像も、何とも楽しかったです。

そして、これがデビュー作だった三原葉子さん演じる武士の娘は、凜とした美しさと力強さを感じてとてもステキでした!守られるだけのか弱いお姫様じゃないんですね。そうそう、三原さんは「女王蜂と大学の竜」を観た時も思ったのですが、着物がよく似合っていてキレイです(デビュー作で早速脱いでる辺りはさすがw)。アラカンさんに恋する設定で、年齢的にどう見ても無理あるよなー、ということだけが(「女王蜂と大学の竜」では親子でしっくりきますしw)問題点でした(^_^;

 

 

ハリウッドみたいに金かけられなくても、「時代劇」っていう冒険活劇もいけちゃう娯楽コンテンツがあるわけか!と気づかされた「風雲七化け峠」。これをきっかけに古い時代劇も観てようと思うのでありました。

 

 

 

土居通芳監督「男の世界だ」

ハンサムタワーズそろい踏み!吉田輝雄は飛び抜けてハンサムなのでした♪

 

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【映画についての備忘録その32】

土居通芳監督×ハンサムタワーズ主演「男の世界だ」(1960年)

 

 大学のボクシング部に所属している吉田猛(吉田輝雄)には、柳瀬港湾会社の社長令嬢で幼馴染みの恋人、玲子(大空真弓)がいる。新人王となり、玲子や友人たちに祝福されているその夜、新聞記者をしている先輩の菅原(菅原文太)から、猛の兄が柳瀬港湾の労働争議暴力団に射殺されたことを知らされる。菅原に労働争議で兄が射殺された時の写真を見せられた猛。そこには港湾を荒らすヤクザ、北島組の男達3人が写っていた。菅原曰く、兄の死は港湾会社には関係なく、チンピラやくざの仕業ということで解決したという。それに憤然とした猛は兄の死の真相を知るため、故郷へ戻ることにする。

玲子も猛を追いかけて同じ列車で故郷へと向かうが、兄の死に玲子の父親が関わっているかもしれないと思うと、猛は玲子を避け、顔をあわせても言葉を交わすことをしない。

故郷に戻ると兄と同じ会社で働いていた友人の寺島(寺島達夫)が迎えてくれた。菅原の新聞社の支社で寝泊まりし、柳瀬港湾で働きながら真相を探る猛。写真に写っていた北島組の男達3人を探してあるバーを訪れた猛は、そこで3人を見つける。彼らに喧嘩を売られた猛。そこに突如現れた殺し屋・高宮(高宮敬二)は猛に加勢するのだが。。。

 

シネマヴェーラ渋谷の「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のまだまだディープな世界」特集で鑑賞。今回の特集で1番観たかったのはもちろんこちらヾ(o´∀`o)ノ輝雄さん観たさで上映期間の一週間で、有休使ったりしながら三回行きました(∀)(ホントはもっと行きたかったw)ハンサムタワーズそれぞれのファンの方がみんな楽しめるように(当時どのくらいの需要だったのか分かりませんがw )できている映画でありました。

 

4人それぞれの個性をいかすような役柄と見せ場が用意されています。苗字は芸名がそのままだし、何より映画の最初に【ハンサムタワーズ4人が横向きに並ぶ→一人一人笑顔を見せる(もう、これがヽ(≧▽≦)/ってなります)→あわせて各個人のクレジット→最後にハンサム・タワーズってクレジット】という、ハンサム・タワーズのPVか!?みたいなオープニングで、この4人を売り出すぞー!という力の入り方が見て取れます(゜∀゜)実はこのオープニング、YouTubeにアップされていて、何度も観ているのですがwずっと予告編の動画だと思っていたのですwまさか映画のオープニングだったとは!

 

映画のストーリーはラブロマンスあり(清純派吉田輝雄×大空真弓とセクシーな高宮敬二×万里昌代というバリエーション)、アクションシーンも盛り沢山、謎の殺し屋、港湾の労働争議、社長をだましてヤクザと手を組み悪事を働く専務(黒幕。細川俊夫さん)、ヤクザと専務の腹の探り合い、と以前観た土居監督の「爆弾を抱く女怪盗」と同じく、エピソードてんこ盛り!勢いで最後まで話を運ぶ展開。ただ、ハンサムタワーズのプロモーションも兼ねたような映画でそれぞれの見せ場を入れるのにストーリーを作っている感もありwよく練られた作品だったなぁ、というよりは、「ハンサムタワーズそろい踏みってことが1番の価値だったなぁ」という映画でありましたw(私的にはそれはすごい価値があるわけですが(゜∀゜))

 

ハンサム・タワーズ、誰が1番ハンサム…いや、美味しいかというと、そこはやはり!?実質主役の輝雄さん。大学生でボクシングの新人王、恋人は社長令嬢の大空真弓さん。タイトルバックのボクシングシーンもかっこよく!正義漢で腕っぷし強くて男気があってハンサムで、と文句なし!学ラン着て微笑む姿は言うまでもなく、(港湾で仕事をしているときに被っている)作業用のヘルメット姿すらキラキラのお目々がまぶしくてハンサムですヾ(o´∀`o)ノ「大学の竜」の頃よりキレ味も増したアクションシーンや彼女への優しい笑顔とか、もう、映画のストーリーとかそんなことは横に置いておいてwこのハンサムさんを堪能するのには文句なしの場面の連続ヾ(o´∀`o)ノ力強い目線と、「黄線地帯」や「女王蜂と大学の竜」でみられる純粋で真っ直ぐな雰囲気がさらに輪をかけて伝わってきて(土居監督の作品が石井監督よりストレートな作品だからでしょうかw)、若き吉田輝雄の魅力がめっちゃ溢れています(∀)ありがとう!土居監督!

あまりにカッコよくて、(見渡す範囲では年配の男性だらけだったシネマヴェーラの館内で)アイドルに黄色い声援を送るような気分で観ていました(゜∀゜)

 

で、次に美味しかったのが高宮さん。これはハンサム・タワーズの期待値順だったのか!?吉田が北島組とバーで喧嘩になりそうなところをなぜかギターを持って助けに入り、殴り合いを始める前に歌い出しますwそして、それをちゃんと聴く北島組の面々。歌声に気付いて出てきたバーのマダム・万里さんは今は北島組の組長の情婦でかつての恋人。万里さんめっちゃセクシー!今まで観た作品の中で1番の美しさでございました(〃'▽'〃)

高宮(役名です)は野崎専務の依頼をうけて労働争議に関わった北島組の面々を消していきます。事実を解明しようとする吉田(役名です)も邪魔なので消すように依頼されますが、バーで一緒に暴れ回ったり、窮地を救われたりしたことから、吉田を消すのは後回しにする、と言って身を隠します。で、吉田、寺島、菅原と一緒に野崎専務と北島組を倒す側へ回ります。万里さんとのアツいキスシーンなんかもあって、高宮さんのちょっとダークで退廃的な雰囲気をいかした設定だなー、と感じました。

 

寺島さんは実直な港湾の現場のリーダー。つなぎの作業服にヘルメットが実にしっくりきますw(ポスターの服は現場の作業服でキメてるんですね、あれ。西部警察の大将みたいな感じかと思ってたけど、じゃなくて、仕事着でしたw)年上の作業員にも慕われ、皆を代表して専務に直訴しに行ったりします。結婚を考えてお付き合いしている彼女もいるのですが、労働争議でゴタついている中で「自分たちの幸せだけを考えるわけにはいかないよ」という、誠実さの塊みたいな役。寺島さんの雰囲気にぴったりの役でした。

 

文太さんは熱血新聞記者。同じ土居監督の「爆弾を抱く女怪盗」の時と同じように都会的な雰囲気。吉田(役名です)と寺島(役名です)の兄貴分という感じで血気にはやる二人に冷静に意見したり、指示を出したり、頭が良さそうな感じ。東映ヤクザ路線の菅原文太を観たことがない私にはこの役柄も違和感なくて、はまっているように見えます。新聞記者として資本家を糾弾するような演説をぶつシーンもあり、晩年には社会活動もされていた(新東宝時代に天知さんと組合活動していた、なんて記事をどこかで見た記憶もあり)ことなんかも考えると、そういう部分も似合っているように思えたり。

ただ、立場的には一歩ひいた役で、4人の中ではわりと個性の薄い二枚目という感じなため印象度が薄くてちょっと割り食っちゃってる感じも(^_^;似合ってはいるけど文太さんの個性がいきる役ではなかった、ということなのでしょうかね。

 

ヤクザをバッタバッタと倒すくらい強い吉田に殴り合いで負けてない専務、密輸を追うとか言ってたのにそっちのストーリーはほったらかし、新聞記者なのにヤクザの組長を殴り倒す菅原、最後は4人で専務と北島組を倒しに島に渡るのですが、なぜか現場のヘルメットを被っている寺島とか(島に乗り込んだ時に4人でかっこよく歩いているのに笑えます。まー、そもそも新人レベルの4人なので、ただ歩いてるだけ感があり、ビジュアルのレベルとシーンとしてのかっこよさが比例してないのですが(^_^;)、新東宝らしい!?ツッコミどころも楽しみつつ。ハンサム・タワーズの魅力溢れる!?「男の世界だ」でありました。

 

最後にもう一回。学ラン姿の輝雄さんカッコよすぎだってばーヾ(o´∀`o)ノ

 

 

シネマヴェーラ渋谷の館内に展示されていたハンサムタワーズのあれやこれや】

今回の特集の監修をされている下村健さんの所蔵されている資料かと思うのですが、上映された映画のたくさんの資料が展示されていました。その中にあったハンサム・タワーズのあれこれ。

 

ハンサム・タワーズ結成のプレスシート!経歴が細かく書かれています。輝雄さんは新聞広告で応募ってなっていて、今知られている経歴とは異なる内容なのはなぜ?社長夫人にスカウトされたっていう実話のほうが面白いw

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命名の由来となっている東京タワーの前での一枚。新人さんなので1番笑顔がかたい気がする吉田輝雄

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渡辺祐介監督「契約結婚」

今観ても古くない!小気味よくて楽しいラブコメ

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【映画についての備忘録その31】

渡辺祐介監督×沼田曜一主演「契約結婚」(1961年)

 

新生大学野球部の強打者岡村純平(寺島達夫)は、将来性ある逸材としてプロ注目の選手。各プロ野球団が日参して契約にこぎつけようと必死のスカウト合戦。そして女子大生たちはそんな純平の気を引こうと必死だ。中でも男女の利害一致で短期間の結婚を取り決めようという"契約結婚"に共鳴しているエリ子(大空真弓)は契約結婚の相手として将来有望な純平を口説くのに熱心だ。

大学の先輩には大阪ブルドックスに在籍している投手の清沢浩治(沼田曜一。この役名はきっと沢村栄治からとってますね!)がいるのだが、肩を壊して解雇寸前。その清沢に対して、ブルドッグスのオーナーは純平のスカウトを命じる。純平との契約を勝ち取れば、清沢の契約も更新してやるというのだ。清沢はホステスの加世子(小畠絹子)という女性と契約結婚中で、2年に渡る契約期間ももう間もなく終了してしまう。打算で交わした契約も今では加世子を愛している清沢。自分のクビと加世子を繋ぎ止めるため、エリ子を味方に引き入れて純平をブルドックスと契約させることを考える・・・。

 

シネマヴェーラ渋谷の「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のまだまだディープな世界」特集で鑑賞。輝雄さん主演作で新東宝作品は多く観ているわけですが、スクリーンで観るのは今回が初!上映後には今作に出演された大空真弓さんのトークイベントもあり、そちらも楽しみに出かけました(パパあざっす!)。

 

さて、映画のほうはのっけからキュートな演出で気持ちをつかまえられ、出だしのワクワク感はかなりポイント高し。結婚を巡る二組のカップルのかわいらしい駆け引きとプロ野球のスカウトを巡るてんやわんやの騒動とを短い時間に上手く絡ませて進みます。

「結婚とは!」みたいなナレーションから始まり(これが「奥様は魔女」とかの外国ドラマみたいでかわいい!)、エリ子と大学の寮の友人が結婚式に参列したあと、お互いの結婚観について、言い合い。結婚を神聖なモノとする友達と、そんなのは古くさい、もっとドライでお互いいいとこ取りの期限付き契約とすればいいというエリ子。二人の言い合いが教会→飲み屋→寮のお風呂と場面が変わってもずーっと続きます。結婚に夢見る女の子と互いの利益のために結婚すべし、という進んだ!?考えの女の子と、お風呂ではさらに寮の他の女の子も加わっての”結婚観”トーク。寮では、床に転がってお菓子をつまみながら話してる姿があったりとか、「女の子が集まったらこういうのが楽しいんだよね♪」というシーンが他にもいろいろあって、なんだか少女マンガのようなかわいさをスクリーンに写し出しています。(男性監督なのに!)

大空さんの気が強くてちょっと生意気な雰囲気が、エリ子のユニークで進んだ(!?)考え方にあっていてはまり役。このエリ子にグイグイ迫られて弱り目の純平は、寺島さんのあの風貌と細かいことはマネージャーの山口におまかせ!っていう性格でややぼーっとしたように見えるんですがwそれでいて「バットがあれば全ての欲は満たせるんだ」と考えていて、エリ子に簡単に落とされそうで落ちなくてw押しまくっても暖簾に腕押し。お互いに考えてることに自信があってそれに従っていて、それ故に平行線でなかなか進展しない二人の駆け引きが楽しいです。

 

で、エリ子と純平のお話が中心ですすむのかと思っていたら(ポスター観たらそう思うよね)、実は清沢が主役でした!プロ野球選手として落ち目の清沢。2年前に計算尽くで契約結婚したのに、今では加世子のことを本当に愛していて、帰りが遅くなるだけでソワソワ。契約が切れたあとも一緒にいたいと思っているのですが、クビになってしまいそうで自信をなくしていて、言い出すことができません。加世子のいない時に契約書をしょっちゅうキャビネットから取り出しては契約内容を確認したり、帰りの遅い加世子に「何やってんだろう」と怒っているのに、いざ加世子が帰ってくるとベッドの中で寝たふりして平気な風を装ったりとか、(私の中では悪役イメージが強い)沼田さんが乙女のような素振りを連発して妙にかわいいですwギャップ萌えってやつかw

加世子のほうも清沢を愛するようになっていて、やっぱりこちらも相手の帰りが遅いとソワソワしたり。態度がはっきりしない清沢やお店にやってくる客が「男は畳と女房は新しいほうがいいと思ってる」なんて言うので、やはり契約を更新してもらえないのではないかとソワソワ。その客から「銀座に店をもたせてやるぞ」なんて誘いもあって、そんな話も清沢にするのですが、清沢が気にもしないような返事しかしないので、やっぱり不安で、愛されているという自信がない。オトナの二人は若い二人とは反対に素直になれない故に平行線をたどって、なかなか契約が更新できず、こちらの恋模様?結婚生活?もヤキモキして観られます(゜∀゜)

 

恋バナに絡む野球の描写は(プレイしてるシーンは純平の練習風景だけ)、パイレーツ(=巨人?)とブルドッグス(=阪神?)のスカウト合戦と、追いかけまわすマスコミのかまびすしい様子がコミカルに描かれていて、国方伝さん演じるマネージャーの山口のキャラ(「政治が悪いんだ」が口癖で何か都合が悪くなるとこれを言います。でもって、どう見ても学生マネージャーに見えない老けっぷりw)とあわせてたくさん笑いましたwいろんな球団が贈り物をしまくるので、住んでる部屋(焼き鳥屋の2階を間借りしているらしい)が家電だらけになったりとか、契約前に純平に挨拶にやってくるスカウトやマスコミで焼き鳥屋の周辺が大渋滞で警官(まさかの菅原文太さん!見逃すと気づかないくらい一瞬の登場!)が交通整理したりとか、純平の注目されっぷりが半端なくて面白いw長嶋さんが巨人に入ったのが1958年のようですし、純平もバッターで内野手という設定で、この辺も意識してのことかな!?とか思うとこれも楽しく。寺島さんご自身も元プロ野球選手という経歴らしく(投手ですが)、野球好きの私がみても強打者っぽくて、バットを振った姿もさすがにさまになっていて、野球モノのドラマとか映画とか観るとそういうとこが気になってしまう私としては(^-^;)ひっかからずにすんなり受け入れられたのも良かったですw

 

今作は基本的には明るい展開で、恋バナのパートは女性向けの映画って感じ。一方で清沢と純平の二人のシーンは、どんなことをしてでも野球を続けたいという清沢の思いや、純平がスカウトとして現れて接待のようなことをする清沢に対して、「先輩と野球の話ができると思ったのに!」と失望してしまったりとか、野球という仕事にかける男性をシリアスに描いていたりもします。また、すべてが丸くおさまってよかったね、みたいなコメディにありがちな展開にもなってなくて、テンションが高いだけのラブコメじゃなく、硬軟あわせてよくできた一作だなぁと思いました。「今リメイクしてもフツーに通用しちゃうよなー」と思ったくらい、古さを感じない、かわいくて楽しい映画で、玉石混淆、「玉」のほうの映画だったようです( ̄∇ ̄)

 

 

【2018/9/2 トークショーシネマヴェーラ渋谷

さて、上にも書きましたが、今回出かけた回は上映後に大空真弓さんのトークショーがありました。この特集上映ではハンサムタワーズ主演の「男の世界だ」の上映もあり、この作品に大空さんがヒロインで出演されているので、この辺りのお話なんかも聞けるかなー、とそんな期待もいただきつつ。

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上映は12:45から。シネマヴェーラの開館時間は10時半なので(たぶん。前回「真赤な恋の物語」の朝いち上映を観にいったときの開館がこの時間だった)、10時半ちょっとすぎに到着。さすがにトークショーもあってか、私の前にはすでに何人もの方が並んでいて、自分の整理券番号は40番!今までで一番遅い順番です。(今後、また何か行きたいトークショーとかあったときは参考にして出かけなくては!)

 

映画を観てホクホク気分のところで大空真弓さんと下村健さん登場。しかし、大空真弓さん、今回の「契約結婚」と私が聞きたくてしょうがなかったw「男の世界だ」については殆ど覚えてなかったらしく撮影時のエピソードなどは聞けず(^-^;)それでも今作の渡辺監督(ゆうすけ~!ってからかって呼んでたらしい。頭が良さそうな監督で好きだった、と)や「男の世界だ」の土居監督(態度がよかったら楽屋にチョコレート置いてくれたそうです)の思い出を楽しそうに語られていて、それがやんちゃな女の子って感じで、スクリーンに映る雰囲気そのままでした。

 

面白いなぁ、と思ったのが新東宝に入った経緯。歌舞伎を観に行って松竹の人にスカウトされたのに、近所のうなぎ屋さんに「映画界に入るなら中の人に会ってみないと!」みたいに言われて紹介されたのがまさかの新東宝の専務の方だったという。わけが分かりませんw

 

ハンサムタワーズについてはとにかくみんな大きくて、壁があるみたいで驚いた、とお話しされてました(゜∀゜)当時180cm前後の男性が4人集まるって相当の迫力だったんでしょうね( ̄∇ ̄)輝雄さんと共演作があったことは覚えておられて(1本だけだそうですが)、それを聞けたのは嬉しかったり(゜∀゜)

 

その他にも亡くなられるまで仲良しだったという池内淳子さんのことや、高島忠夫さん、星輝美さん、など新東宝の監督さんや俳優さんについての思い出を沢山聞くことができて楽しいトークショーでありました。

 

 

上村力監督「女弥次喜多 タッチ旅行」

なにも考えずに楽しもう!東北を旅するお気楽ミュージカル(!?)映画

 

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 【映画についての備忘録その30】

上村力監督×牧紀子弘田三枝子岩本多代主演「女弥次喜多 タッチ旅行」(1963年)

 

石油会社に勤める実子(牧紀子)、和子(弘田三枝子)、幸子(岩本多代)。彼女たちの会社では女性の職場環境の向上を求めて「お茶汲み反対!」と組合活動が盛んである。で、 男性社員たちを困らせようと組合幹部の女性たちが考えたのが彼女たち三人に長期休暇をとらせる!という案。休暇をもらって意気揚々と東北へ!しかし懐事情は寂しく…そこで彼女らが考え出したのが、知人の男性を訪ね、次から次へとリレー式に友人を紹介して貰って旅行代を節約しながら旅をしよう!という“タッチ旅行”。行く先々でいろんな男たちに遭遇するが…!

 

「古都」を撮ったり江利チエミさんとの共演作を撮ったりと、めちゃめちゃ忙しそうな1963年の輝雄さんですが、その中の1作を拝見させていただきました。きっと、パッと撮ってパッと次の作品の撮影に入ったに違いない、という感じのwコミカルでかるい役でございます(大事に使ってよ、松竹)。

 

女性が社会進出しようとする時代、旧態依然の男性達に対して「男なんてかわいい女の子なら何でも言うこと聞くのよ!」みたいな感じで(ここは今もこういうノリあるよねっていう。知らんけど)主演の3人が“タッチ旅行”していきます。

で、頼る伝手の先々で楽しく観光。この頃は映画が今の旅番組みたいな役割も果たしていたのかな!?って感じで、映画の中で観光地が出てくるのをよく見ますが、こちらは松島をフェリーで遊覧したり、男鹿半島をオープンカーでドライブしたりと東北の景勝地が沢山出てきたり、名物料理を食べたりと旅行ガイドを観ているよう(^^ )

 

映画は場面転換のとこでアニメーションが入ったり、振り付けが微妙にズレてる(あれはあえてだよね、きっとw)ゆるいダンスと音楽が挿入されてたり、それから、恐らく当時見てたら爆笑してたんだろうというパロディとかの小ネタがちょこちょこはさまれてとなーんも考えずに笑って楽しんで!って感じ。

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私が気付けた小ネタは輝雄さんが「君の名は?」と和子に聞かれてたかと思うと名前が“津村春樹”で春樹は「君の名は」の主人公の名前だってこと、津村は輝雄さんが前年に主演した「愛染かつら」の津村浩三役からとってるよね?ってこととか、他にはギターを抱えてバイクで旅をしてて“ギターを抱いた渡り鳥だわ”なんて言われたり、和子が“およびでない”って言ってた!とか。んー、きっとこの時既に小学生くらいだったらほかにも色々見つけられたに違いないw

 

はい、で、旅行ガイドより吉田輝雄ということで本題!コミカルな役とは言え、そこはやはり吉田輝雄。そのかっこよさをカリカチュアしたようなハンサムな役でございました( ̄∇ ̄)ギターを抱いた渡り鳥は誰かと言えば、それはもちろん輝雄さんでしてw高原でギターを弾きながらキザな台詞(笑)御本家よりかっこいいに違いない(゜∀゜)映画観たことないのでビジュアル判断で圧勝(゜∀゜)

 

最初の出会いでは名も名乗らない(「もしも今一度会えたら、その時お互い初めて名乗りましょうよ。縁があるのですから」と言って去って行きますw)ミステリアスなwハンサムさん。なので、3人の妄想が爆発しますw

 

和子にとっては“裏の世界に身を置く一匹狼の危険な男”

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実子は“ロックフェラーか本田宗一郎かという大きな夢を抱く男”。

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幸子は“影のある愛情に飢えた男”。胸毛もありますw

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妄想にあわせて輝雄さんも衣装替えです( ̄∇ ̄)

 

最後は実は詐欺師というか、東京育ちの女の子から金を巻き上げようというお遊び、ということで、輝雄さんらしからぬ!?美味しいところをかっさらわない、津村春樹さんなのでありましたw

 

輝雄さん以外にも渥美清さん、三木のり平さん、由利徹さんと豪華な男優陣。弘田さんの歌も楽しめ(当時16歳のようですが、16歳でこの歌唱力ってホントすごい)、気楽に楽しめる1作でありました。

 

 

 

中村登監督「夜の片鱗」

大熱演の桑野みゆき。取り合う相手が平幹二郎では分が悪すぎた園井啓介

あの頃映画 松竹DVDコレクション 夜の片鱗

あの頃映画 松竹DVDコレクション 夜の片鱗

 

 

 【映画についての備忘録その29】

中村登監督×桑野みゆき主演「夜の片鱗」(1964年)

 

街で客を取るために街灯の下に立つ芳江(桑野みゆき)に建築技師の藤井(園井啓介)が声をかける。客として芳江を買った藤井だったが、芳江と過ごすうちに、こんな仕事をすべき女性ではないはずだ、と感じ、また会いたい、と約束をする。

6年前―19歳の芳江は下請け工場で女工として働きながら、夜はバーのホステスのアルバイトをしていた。そこに小さな会社のサラリーマンだという英次(平幹二朗)という男が客としてやってくる。英次と親しくなり何度か会ううちに関係を持ち、そのままズルズルと英次のアパートで同棲を始める。

英次はサラリーマンだというのに働きに出る素振りもなく、芳江の給料で生活をするようになり、やがて芳江に金を無心するように。その金も続かなくなった頃、英次は自分がヤクザであること明かし、芳江に体を売ることを強要した。英次との関係を断ち切れない芳江は、いわれるがままに英次が連れてきた客を相手に売春を重ねた。やがて組に収める金を作るため、街に出て客を取ることを強要されるようになる…。

 

 

神保町シアターの“1964年の映画 東京オリンピックがやってきた「あの頃」”の特集企画で鑑賞しました。夫の仕事が休みだったので子供をお願いして(感謝!)、何か映画を観たいなーと調べていたら、こちらが面白そうだったので行ってきました。ストーリー以外にも輝雄さんご出演の「古都」を撮っている中村監督、「青春残酷物語」「犯罪のメロディー」で拝見した桑野みゆきさん、年齢を重ねてからの姿はたくさん見ている名優・平幹二朗さん、「ゴールドアイ」の悪役しか観たことないけど輝雄さんと同時期に松竹のメロドラマ路線を支えていたという園井啓介さん、ということで色々と気になる監督&キャストでもあり。また、1964年の企画というのも興味深く。オリンピックを目標に日本のインフラが整い、前へ前へと進んでいった時期かと思います。そういった時代の空気感というのは当時のニュース映像などを見ると分かるのですが、その時代に作られたものってどういう映画なんだろう、と。そして実際に観てきて、個人に視点をあわせた物語というのを(フィクションだけど)観られることで、歴史ではなくて今と続いている時代として感じられたような気がしました。

 

で、この映画を観おわって最も印象深かったのは桑野みゆきさんの熱演でした。工場で真面目に働いていた19歳のかわいい女の子が、ヤクザに惚れてしまったことで夜の世界へ身を落として擦れていく様、その泥沼から出て行きたいけれど出て行けない、そして、それをどこか心地よく感じているような、理性で割り切れない何かが伝わってきます。

 

そして男優二人の演技が桑野さんの熱演を引き立てているようで。

平幹二朗さんの英次は最初にバーに現れた時は台詞通りに本当に少し遊びなれたサラリーマンにしか見えません。19歳でバーでバイトするような女の子からすると、あまり警戒する必要のない身分(=サラリーマン)で大人の世界を見せてくれる優しい男性が魅力的に思えるのは然もありなん。それが徐々にだらしないヒモらしさがみえてヤクザであることをバラしますが、それでも芳江が英次から離れられずに、日陰の世界へ引きずり込まれていくに足る魅力を感じさせます。芳江が置かれている状況は冷静に見たらDVによる支配とかそういうことなんだと思うんですが、平さんの英次だと暴力的な支配というだけではなくて、こんな男なのになぜか芳江が惚れてしまっている、ということにリアリティが出てきます(自分だったら嫌だけどw)。だから、英次に街で客を取れと言われたことで英次の元を出て行ったのに、弟分が迎えに来て、優しくするからという英次からの伝言をあっさり信じて戻ってしまうあたりも観ている側は自然な流れのように思えるのです。さすが。

 

対する園井啓介さんの藤井は普通のサラリーマンっぽさ全開で、英次と比べて真面目であること以外に魅力がありません(役としては褒めてますw他の園井さんの映画を観たことがないので、これがこの映画故のことか、園井さんの役者さんとしてのカラーがこうなのかは分かりませんがσ(^_^;)。藤井は客として芳江を買いながら、普通にデートをしたりもしていて、彼女が普通の女の子の人生を歩んでいたら体験してきたはずのものを芳江に与えていきます。

そのとても象徴的なシーンがデパートの屋上を藤井と歩いていて工場で一緒に働いていた友人(岩本多代)と偶然に出会うシーン。友人にはすでに子供もいて優しい夫と3人の仲の良い家族。彼女は夫の稼ぎが少ないと言いながらもとても幸せそう。芳江は子供に笑顔で優しく飴を渡してあげつつ、自分は手に入れられないとあきらめているものを友人にみて複雑な表情を浮かべます。その表情を見た藤井は芳江と付き合っていて近々結婚する予定なんです、と思わず話します。藤井が芳江に与えられる最高のものがこの家族に囲まれた心安らぐ生活です。ただ、藤井はその一般化された形以上の何か、精神的なところでの英次との結びつきに変わる繋がりを芳江に与えられる存在には見えません。園井さんの生真面目そうな雰囲気と藤井が芳江に売春をやめさせようと話す言葉が道徳の教科書のようで、その二つが相まって言葉以上のものが伝わってこないからです。

なので、最初は園井さん、これミスキャストなんじゃσ(^_^;と思っていたのですが、改めて考えると、この道徳の教科書のような藤井のおかげで、芳江が英次から離れようとして離れられず、映画の結末へと向かっていく必然性が際立つのだと感じました。

北海道へ転勤してしまう藤井が一緒に行こうと芳江に手をさしのべ、英次に気付かれないように新宿駅で落ち合う約束をして別れます。しかし、芳江は新宿駅に着くというその直前に足をとめます。ここから最後にいたる芳江と英次の二人の関係の最後は「そうなるのだろう」という予測通りではあったのです。これ、もし、藤井の人物像がもっと魅力的であったとしたら、恐らく、この映画の結末は物語の予定調和以上のものを感じることはできなかったように思います。しかし、英次に変わるつながりを与えられないであろうという藤井の人物像故に、物語の必然的な展開以上に、そうせざるを得なかった芳江の心情をより際立たせていたように感じられました。というわけで、平幹二朗VS園井啓介の分の悪い対決は、結果的に芳江の行動と心情を観客に共感させる効果をもたらしていたのでありました。

 

3人それぞれの人物像以外にも映画として面白い部分はたくさんあって。中村監督は「古都」しか観たことがなかったのですが、全く違う色の作品を作り上げる監督さんなのだなぁ、と思いました。

映画は暴力的なヒモの英次とそこから逃げ出したいのに逃げ出せない芳江、という人間関係を前半はずっと見せてひたすら堕ちていく二人を描いています。これに中弛みしてきたなぁと思ったら、英次が対立するヤクザに股間を蹴られてその機能を失うという急展開の出来事が起こります。これにより暴力的で男性的な点で芳江を縛っていた英次が、洗濯や料理などを引き受けて献身的になることで芳江の同情を誘い、異なる形で自分から離れらないようにします。そして、女に身体を売らせながら、それでいて仲の良い夫婦のような時間を過ごす場面も出てきて、ストーリーに変化をもたらします。この物語の展開や、英次の変貌ぶりを食べ物で表したり(彼女に初めて客とらせたその日に天丼を頼んで平らげるような人間が、その後は鍋を持って豆腐買いに行ったりします。また、それらを買いに行くときにアパートの階段を降りるときの音も、無神経なドンドンという音だったのが少し柔らかくなったり)と、いろんな要素をちりばめて見せ、映画を最後まで飽きることなく(最近90分ものを観すぎて2時間の映画が長いんですよねσ(^_^;)見せてくれました。

 

と、個人的には2カ月前に「青春残酷物語」を観たばかりということもあって、安保闘争で東大の女性が亡くなったと言うニュースを芳江、英次、その友人のカップルと4人で飲みながら見ていて「よく分からない」というようなことを言うシーンが興味深く。この4人はニュースを自分達とは別世界のことととらえていて、「青春残酷物語」を観たときに私が感じたフワフワした現実と離れた感覚というのは、実際、当時生きていくことに懸命だった層の人達にとっては別世界の何かで、今の自分がそんな風に感じたのもまた自然だったのかな、という気がしました。

 

ストーリー以上に色々と感じることのできた、“1964年”の映画でありました。(書くことがとっちらかって全然まとまってない備忘録になってしまった(^◇^;))