T’s Line blog-映画についての備忘録-

兼業主婦が仕事と子育ての合間に見た映画などについて、さらにその合間に綴るブログです。ブログタイトルのTは好きな俳優さんのお名前のイニシャルがことごとく「T」なため。LineはTのうちのお一人の主演作、新東宝「地帯シリーズ」から拝借しています。。

小林恒夫監督「陸軍諜報33」

特撮ヒーロー的戦争映画。  

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【映画についての備忘録その102】

小林恒夫監督×千葉真一主演「陸軍諜報33」(1968年)

 

1940年(昭和15年)、陸軍将校・山本和夫千葉真一)は新聞記者で新郎の柿沼(吉田輝雄)と妹の素子の結婚式に出席する。幸せに包まれていたその帰り、汽車の中で同じ陸軍の将校と同席する。その直後、デッキへ出た和夫は煙を吸い込んで意識を失い、目が覚めると、車内で向かいの席にいた婦人とホテルのベッドにいた。和夫はこの身に覚えのない罪で逮捕、軍法会議で位階勲等を剥奪され、懲役刑を言い渡される。

しかし、これは和夫が陸軍中野学校へ抜擢されたため、家族や友人と連絡を絶たせるための手段だった。中野学校では、汽車の中で一緒になった将校、秋山少佐(丹波哲郎)たちがまっていた。英語、マレー語、柔道、射撃らの訓練を受けた。秋山少佐の訓練は厳しく、死者が出るほどだった。

昭和16年、訓練を終えた和夫たちは、卒業と同時にひとつの任務を与えられた。それは、日本にはりめぐらされている外国の諜報網のひとつを潰すことだった。和夫は同期生の正田(今井健二)とともに、ドイツの駐日通信員ハイゼを探ることになった。そして、ハイゼと秘かに連絡をとっている城北大学教授佐々木(根上淳)との間で、柿沼が連絡員をやっていることを突き止める。事情を問いただした和夫は、柿沼が内情を知らずにやっていることを知ったが柿沼はその直後、何者かに殺されてしまった。和夫は佐々木に近づいたバー「ル・クレール」のマダム杏子(緑魔子)を探り、諜報網の全貌を明らかにした。ハイゼは米人ジョンソンに情報を流していたのだった。

ハイゼを逮捕し、その情報網から、日米間の空気が悪化しているのをみて、英国軍は南方の油田に爆破装置を仕掛けようとしている、とことを探知する。和夫は正田とともに北ボルネオに飛び、来るべき日本軍の進駐のため、油由を爆破から守るの任務につくが・・・。

 

 

久しぶりの更新ですm(_ _)m

なかなか忙しくて映画を観る気力がなく(映画好きゆえにきちんと時間をとってじっくり向き合いたい系なので、なかなか心に余裕がないと観れなかったりします(^_^;))、書くものもなかったのですが。。。こちらのブログでも何度もご登場いただいている真壁さんから、輝雄様からいただいたという本作のDVDを借していただけることになりまして!輝雄様作品を観るのは別(*ノωノ)とばかりに鑑賞させていただきました♪

 

千葉真一さんは、物心ついた時には「キーハンター」もやってないし、「影の軍団」も放送していない、関根勤さんが物まねをする「暑苦しい人」、っていう認識しかありませんでした(すみませんw)。そんなわけで、1960年代の映画で観る、好青年風な千葉さんは「あ、こういう人だったのね!」みたいな感じで見ていて、それが似合っておられ、後年の物まねされる千葉さんのイメージってどっから来てるの?って感じなのですが、この陸軍将校の役もはまり役です。

 

陸軍中野学校を舞台にした作品だぞ、ということで第二次世界大戦へと向かう時代を描いた戦争映画、というと、いわゆる反戦的なテーマに集約されていくようなものを基本的に想像する私(子供の頃にあふれていたコンテンツがそういう感じだったんだろうな、たぶん)。『この世界の片隅に』(2016年)を観た時に、そこに描かれていた視点に新鮮さを感じたものですが、本作も、この時代を舞台にした映画の描き方としては初めて触れるタイプのもので、見出しのような印象を受け、ある意味新鮮な感覚を味わいました。(本家本元らしい、市川雷蔵さんの『陸軍中野学校』もこういう感じなのかな?)

 

映画は、

 

義弟役の輝雄さんのいきなりの登場で、期待感が高まりますw

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幸せな結婚式に出席した帰り、汽車に乗った和夫の前に突如秋山少佐が意味ありげに登場。そして、気を失っているうちに罠にはめられて気がついたら陸軍中野学校へ、というスピーディーな展開で始まり、さらには「陸軍諜報33」という「007」のごときワクワクのタイトルですから、おお、となります。

 

そして、いよいよ!となる中野学校のシーンあたりから、、、こんな感じで特訓シーンが・・・

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1:縄抜けの特訓!

 

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2:地雷踏まないように進むよ!

 

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3:柔道も!

などなど。

そのほかにも、語学の勉強をしたり、銃の訓練があったり。

20代くらいの、同年代の軍人が集まった学校で、厳しくも仲間意識をはぐくんでいくような、なんかこう、学園もののような雰囲気。

みんな、選ばれた軍人として、誇らしげに校長の訓示をきいたり。

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沢彰謙校長

 

新鮮、というのはこういうところで、陸軍中野学校というと、事実はどうか知るよしもありませんが、人体実験だとか、「悪の日本軍」みたいな文脈でとりあげられるような印象しかありませんでした。でも、この映画で描かれる中野学校の様子はなんだか青春モノの一幕のようですし、厳しい訓練をへてスパイとして実地に出る彼らは、悪の権化ではなくて、日本のために戦うかっこいい男たちです(゚ω゚)

 

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実はカメラになるライター。007っぽい。

 

もともと素質のあったものが鍛え上げられて一流のスパイになる。

正体は親兄弟にも知られてはならない。

人知れず、日本を、愛する者たちを守るために戦う。

 

これは、映画の後半、和夫と正田が南方へ向かい油田の爆破を避けるためにボロボロになる(正田は命もおとし。。。)姿を通して、さらに鮮明になり、そして、「ああ、そうだ、これは、ヒーローなのだ」と気づきました。

愛する者たちを守るために戦い、傷ついても、その正体を知られるわけにはいかない。

こんな自己犠牲の男達、仮面ライダーだとかウルトラマンだとかの、ヒーローであるような、そういう感じなのです。

(なんだか、アクション映画としては小さな規模感で作られた感―地雷の特訓シーンとかでつかんでいただけると思いますが―をもろに感じ、テレビ以上映画未満、といったこじんまりとした感じも、ちょっと、特撮ヒーローものっぽいかもw)。

 

ストーリー的にはちょっぴり適当感もあったりして、シリーズにしたそうなエンディングに対して、これではちょっと難しいな、と感じるような出来ではありましたが(^_^;)主演は東映の期待の若手スター(って感じ?)千葉真一、助演には輝雄さんはもちろんのこと、丹波さん、根上淳さん、緑魔子さん、特別出演の池上良さん。今ではきっとどっかからクレームきそうで作ることができないような気がするテーマですが(もしくは劇場公開ができない、とか)、この当時なら、これだけの豪華な俳優陣でつくることも可能だったのだな、という、陸軍中野学校をヒーローとして描いた娯楽アクション映画、でございました。

 

DVDをお借りした真壁さんから伺った貴重なお話♪

今作の輝雄様のご出演は輝雄さんが東映大泉撮影所に所用があって行かれた際にプロデューサーから「スケジュールあいてる?2,3日ですむんだけど」と声をかけられたことがきっかけだそうです。結果的に、本作が唯一の輝雄さんと千葉真一さんの共演作(『日本暗殺秘録』も『網走番外地』2作品も、同じ映画でクレジットされても共演シーンはないのですよね)ということになった、わけですね。

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義弟のほうが兄っぽい貫禄あるぞw

タイトルから、輝雄さんの軍服姿が見られるんじゃないかと期待していたのですがwまさかの新聞記者だったので、それはありませんでした(^_^;)

あ、あと、『プレイガール』のゲスト出演回での緑魔子さんとの共演がとってもキュートだったので、それも期待したのですがw輝雄さんとご一緒のシーンはなく、、、残念でした(^_^;)

 

 

酒井欣也監督「渚を駈ける女」

カサノヴァをメロドラマのヒーローにする男。  


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【映画についての備忘録その101】

酒井欣也監督×路加奈子主演「渚を駈ける女」(1964年)

 

立花冴子(路加奈子)は母・戸志子(高峰三枝子)と二人暮しで、国体に出場するほどのテニス選手でもあり、明るく溌剌とした高校三年生。父(山内明)は戦争ですでになく、父の顔を知らないが、父との思い出を大切に自分を育てる母を、美しく凜とした女性として尊敬していた。

冴子には弘二(吉田輝雄)という母が決めた婚約者がいる。国際航路の船員をしている彼は、半年の航海に出る前に、冴子に別れの挨拶を、と立花家を訪れていた。しかし、冴子はテニスの大会で家におらず、その晩、二人きりとなった戸志子と弘二は過ちを犯してしまう。テニスの大会に思いもかけず早々と敗退してしまった冴子は、母を驚かそうと黙って帰宅し、その二人の姿を目撃し、激しいショックと絶望に苛まれる。父の親友で画家の佐上要三(佐野周二)に諭されて、女としての母を認めようと思いながらも、冴子は戸志子を責めずにはいられなかった。しかし、冴子に批難されても、戸志子は自身も弘二を愛していることを認めざるを得なかった。そんな母を見て、冴子は母に弘二との結婚をすすめるのだった。

弘二の乗る船が出帆するという日、戸志子は弘二にその思いを伝える。すぐに返事ができないという弘二は、船が出帆する夜までに答えを出すという。だが、弘二は、戸志子とのことを後悔していた。弘二は冴子を愛していたのだ。その夜、なかなか姿をみせない弘二を案じ、戸志子は港へ向かう。それと入れ違いに、弘二は冴子に気持ちを伝えるため、立花家を訪れ、冴子を強引に抱き寄せた。母と弘二の関係がよみがえり、一度は弘二を拒否した冴子だったが、彼女もまた弘二を愛していることを感じ、受け入れたのだった。

冬になった。同じ男を愛してしまった母と娘の間には溝ができたままだった。そして、冴子の妊娠が判明する。それに気づいた戸志子は自から命を断った。一人になった冴子は絶望のあまり海へと歩みをすすめ流産してしまう。冴子を心配した要三は、自分の家へ来るようにと誘う。要三は妻が長年入院しており、彼が仕事で不在の間は義弟の正人(川津祐介)が留守を預かるという。同じく画家の正人は冴子の絵を描きたい、と言って部屋に誘い、酒を飲ませ、寄った冴子を襲うのだった…。

 

 

というわけでー!?ラピュタ阿佐ヶ谷の 蔵出し!松竹レアもの祭/ラピュタ阿佐ケ谷で観てきました、『渚を駈ける女』!

 

この特集では『踊りたい夜』と『女弥次喜多タッチ旅行』、そして、今作と、輝雄さんのご出演作が3作上映されました。前者二つはすでにありがたいことに鑑賞がかなっていて感想を書いているのですが、

kinakossu.hateblo.jp

 

kinakossu.hateblo.jp

(『踊りたい夜』は作品自体もとても好きで、鰐淵晴子さんのトークショーのある日に、劇場へ行ってきました(*'▽'*)大きなスクリーンでみる『踊りたい夜』&沖さん、最高でしたー(*´▽`*))

 

こちらは初鑑賞!主演の路加奈子さんがポルノ的な作品で注目された方、とかいうこともあり、松竹の輝雄さん作品の中で最も観られなさそう、まさにレアもの、と思っていた作品だったのですが(他は相手の女優さんは正統派な方々ですし)、観られるー!ということで、午後休取って、行ってまいりましたヾ(o´∀`o)ノ

 

 

松竹大谷図書館で以前に作品の資料を読んでいたのですが、スタッフ、助演陣、豪華です。音楽が『ゴジラ』の伊福部昭さん、撮影が小津作品でおなじみの厚田雄春さん。脇を固めるのは高峰三枝子さん、佐野周二さん、川津祐介さん、そして、輝雄さん!松竹入社第一回作品、という(オープニングタイトルのクレジットにしっかりそう書かれているのであります)路加奈子さんを支えるわけでございます。結構力入れて作ってるはず。

 

作品中に輝雄さんがギターを弾いたり、川津祐介さんがピアノをひいたりするシーンがあるのですが、そんなところも手を抜かない、というか聞き惚れてしまう音楽。抱き合う高峰さんと輝雄さんを浮かびあがらせる、吸い込まれそうなほど真っ黒な闇、断崖へ向かう高峰さんの歩く、寒く暗い空。一流のスタッフによる、素晴らしいお仕事。

 

佐野周二さんの要三は、正しく若者を導かんとする年配者。母との関係の変化に悩む冴子を導き、奔放な正人をたしなめ、自暴自棄になった冴子の誘惑にも、入院中の妻を思い、裏切らない。

川津祐介さんは、優しい見た目と物腰に隠した女性への凶暴さ。そして、それを先進的であるようにうそぶく。冴子を顧みることはしない正人(これで、まさと、じゃなくてまさんど、という名前)は、『青春残酷物語』あたりの雰囲気を感じさせて、適役。

高峰三枝子さんは、母としての戸志子と女としての戸志子を演じ分けておられ、母としての優しい雰囲気から、女として冴子に嫉妬したときの冷たい空気への変化はさすが(輝雄さんのお相手としては少し年齢が行き過ぎている感は否めませんが(^-^;)。

そして、輝雄さんはまさしくメロドラマの主演俳優!で、冴子と戸志子の間で悩みつつ、最後は冴子への愛を貫く弘二のかっこよさ!長身でスマートでそして日に焼けた肌で、船員の制服で甲板に立つ姿はもう、素晴らしい”画”なのです(*´▽`*)

 

なんだけど・・・何かおかしい。何ってまぁ、路さんのセンセーショナルな価値(?)の部分を活かすためと思われる、ちょっと強引な設定と展開のせいだったりします^^;

ストーリーを大枠でなぞると、核の部分は、少女が辛い経験をへて、大人の女性となる様を描きたい、というところかな、と思います。

ところが、路さんの表情や演出から、その時々(弘二に抱かれたり、正人に襲われたり)の、冴子の苦悩や悲劇性が浮かんできません。少女の悲劇の物語を見せる、というより肌を露出したり煽情的なシーンを作り出すことに重きがあるようにみえ、各エピソードがそのために用意されてるようで、ブツ切れ状態。

 

それぞれのエピソードは書き連ねると、少女にはつらい出来事の連続なのですが…。

-尊敬していた母に裏切られ、しかし、それをきっかけに婚約者とは互いに相手のことを愛しているということに気づき結ばれる。

-しかし愛する男性は半年間の航海に出てしまい、その間、母との関係はこじれ、妊娠が判明したことで母は自殺。

-支えてくれる男は側におらず、母の自殺にショックを受けた冴子は冷たい海で波に打たれ、流産。

-信頼している父の親友だった要三の元へ身を寄せるが、そこで義弟・正人に酒を飲まされ乱暴される。

-正人は自分を遊びとしか思っておらず、ホステスを平気で家に連れ帰る。

 

そして、《男性不信のようになり》

 

-長い間入院している要三の妻をお見舞いついでに挑発

-「男なんてみんな同じ…!」と要三を誘惑する

 

この流れで肝心の《 》内は私が脳内で補完した理屈ですw

なぜかといと、正人に襲われるところもあまり抵抗してるように見えないし、ホステスを連れて帰ってきたことに、ショックをうけるほど、正人を誠実な人間のように錯覚させる描写もありません。この箇所以外もなんとなくストーリーとしてつながってるようには見えますが、同じような感じで心の動きをそれぞれの男性とのシーンで表現できておらず、一つ一つのエピソードが、冴子が大人になっていく出来事として繋がりません(路さんが表現しきれなくてそう見えないのかもしれませんが(^-^;)。だから、肝心な心の動きを理屈で補完しないと、この展開が理解できず、ストーリーがスムーズに流れなくて、「何かおかしい」の連続に^^;

路加奈子さんの中にそこを埋めるだけの可憐さがあれば、それが作用してうまく話が展開しているように見えたかもしれませんが、この女優さんの魅力はどうにも、こなれた女性という感じの雰囲気のほうが強く、そこで補うこともできていません。路加奈子さんは、他にも石井輝男監督の『決着(おとしまえ)』に出演されているのを拝見していますが、このときはヤクザの梅宮辰夫さんに惚れられるトルコ嬢、という役。これはすごくはまっていて、こういうすれた役のほうに向いているようで(´・_・`)(弘二と関係をもちながら、それを過ち、とされてしまう母が一番悲劇的に見える)。

 

 

そして最後、辛い経験を重ね、荒んでしまった冴子の前に、航海をおえた弘二が、純白のウェディングドレスをお土産に帰ってきます。しかし、冴子は彼がいない間に起きたことを話し、結婚できないと拒みます。それでも、冴子を変わらず愛している、二人で式を挙げようという弘二の優しさに、教会で式を挙げることを決意するのですが、耐えきれずその手をふりほどき…。

 

で、ここ「あれ?」ってなりますよね。お気づきのことと思いますがw弘二は冴子を不幸のどん底に落とした男なのです(最初のストーリーのところで、強く抱き寄せる、と書きましたが、もっと、襲う、に近い強引さです(^-^;)。が、なぜか最後には冴子を一途に愛する優しい男のポジションに収まっている!いやいや、あんたのせいでこうなったのに、なんで理解ある愛情深い男然としてんねん!冴子を救う男の立ち位置におんねん!と(結婚をためらう冴子に「男の過ちが許されて女の過ちが許されないなんてことはない!」的なことを言うのですが、これも、何勝手に許されてると思ってんの!?みたいになりますw)。

 

弘二は冴子と戸志子を振り回して傷つけておいて(冴子が好きだ!とだけ告げて、戸志子には謝りもせず、航海にでます(^-^;しかも、船からは冴子にのみ手紙を書くという)、ケジメもつけずに半年間いなくなるという、なかなかに酷い男であります。メロドラマの流儀?として、男の裏切りで傷つけられた女性を救うのは(最後は元サヤにおさまるにしても)新しい男性なのでは?と思うのですが、傷つけて振り回した張本人が冴子を絶望の淵から救おうとする、誠実な男のポジションとして再び現れるもんだから、「何かおかしい」となってしまうわけです。

 

 

さて、表題。というわけで、弘二は欲望に負けて母娘を振り回した、言ってみればだらしない男、プレイボーイであります。なのに、最後は誠実な優しい男のようになっている!ストーリー的には「何かおかしい」なんだけど、ストーリーから独立して、弘二に、女性を深い愛で包む、正統派のメロドラマの男性主人公の役割を果たさせてしまう男前ぶり(輝雄さんじゃなかったら、「かなりおかしい」に格上げかもw)。これはもう、吉田輝雄という存在がなせる技でしょ!と。松竹のメロドラマ作品を支えてきた、存在感とハンサムぶりをあらためて感じるのでした♪

 

 

いやぁ、しかし、弘二さん、ほんとに美しくて(*'▽'*)手元にこの作品のお写真がないのが悔しいw

このレアもの作品、輝雄さんの美しさがスクリーンに写し出されてるということが、何より素晴らしく、「何かおかしい」でも、価値のある映画、と思うのでありました(∀)

 

三輪彰/石川義寛/石井輝男監督「恋愛ズバリ講座」

新生・新東宝のキュートな一作

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【映画についての備忘録その100】

三輪彰/石川義寛/石井輝男監督×天知茂菅原文太・沖竜次主演「恋愛ズバリ講座」(1961年)

 

 

第一話:吝嗇(けちんぼ) 

リッチマン会社の社長は女遊びもお手の物、なドンファンだがケチな男(天知茂)。ある日、一人の美しい女社長(小畠絹子)を見染めて浮気の虫が動き出した。ところが、彼女も社長におとらぬケチンボだった。ケチな二人は互いに金を使わずに相手の会社を手に入れようとするのだが…。

第二話:弱気(よわき)

ある田舎に原子力発電所が建設されることになった。バスから降りてきたスーツを着た男性に、下見の役人がきた!と大歓迎。村長や村の有力者は自分の土地に立ててもらおうというので、娘や二号を宴会にかり出して大騒ぎである。だが、実は彼(菅原文太)は村長の娘(池内淳子)の恋人で、自身の弱気で逃げられた娘を追って、この田舎にきたのだった。勘違いされて言い出せないまま、ついに本物の役人がやってきて…

第三話:好色(こうしょく)

家族や友人が大勢集まった、幸せそうな結婚式。そのまま二人は車で新婚旅行へ。しかし、新郎(沖竜二)の運転する車は事故を起こし、新婦は帰らぬ人になってしまう。実は新郎は女と組んで、遺産相続などで大金を手にした女性を狙った結婚詐欺師だったのだ。次に狙ったのは、東北訛りのある幼稚園の先生(三原葉子)。純朴な彼女には素行の悪い弟がいる。詐欺師はいつしか彼女に本気になり…。

 

 

今回も、前回に引き続きこちらの放送で観ることができた作品! 

上坂すみれの新東宝シアター ―天知茂、痺れるほどキザで、ニヒルで―|日本映画・邦画を見るなら日本映画専門チャンネル

 

実は、これで私、吉田輝雄×石井輝男作品、全制覇でして!その記念として(!?)こちらを【備忘録 その100】として書きます!

本作、大蔵貢社長が退陣となって、初めて制作された作品で、スタッフやキャストもノーギャラだったとか。他の作品なら主演してるような新東宝のスターがカメオ出演してたりして、それを発見するのも楽しかったり。そんなわけで、この作品、いつものいかがわしいwタイトルも、セクシーな踊り子も出てこない(葉子姉様のダンスはあったけどw)。タイトル通りの映画に仕上がっております。監督も出演者も異なる、全三話のオムニバス形式のラブコメディ(で、いいのか?!)。

 

 

第一話はなんとも実験的!?個性的!?な作品。天知さんも小畠さんもドケチな社長。どちらも自分が損をせずに得できるよう、それぞれの”けちんぼ哲学”で行動します。

個性的、実験的、と思わせるのは特徴的な演出のせいで、天知社長と小畠社長は早口で喋るシーンが多く、また、この二人をはじめ、社員や行きつけのバーのホステス、秘書まで、登場人物の殆どが目をあわせずに会話し、淡々と感情を廃したようなしゃべり方をします。天知社長の遊び相手で、バーのホステスの女の子・星輝美さんが社長に「お金を使ってるんじゃなくて使われてるのよ!」と言うのですが、それが象徴的で、登場人物、ほぼ全ての人が、このしゃべり方でお金に使われている“ロボット”のごとし。シニカルな笑いがみちています。最後はまさかの結末で、その結末の主犯二人が、それまでの演出をひっくり返すようなイキイキとした姿で、この皮肉がよけいに効きます。

けちんぼのエピソードもモリモリで、小畠社長を待っている二時間ほど、駐車料金と会社までのガソリン代でどっちがお得か、洗車したばかりの天知社長の車に乗りこむには土足厳禁、相手をたらしこもうというのにプレゼントはバーゲンセールのネクタイかイミテーションの指輪か、なんて徹底してます。あまりにけちんぼなので、総務部長やゴルフのインストラクターからは、”けちんぼ”という心の声が漏れちゃう次第w

 

 

第二話は、弱気なサラリーマン(菅原文太)が主役ですが、村長(林寛)、村会議員(沢井三郎)、助役(石川冷)がそれを上まわる大活躍で、映画をさらって行きますw

自分の持つ土地に原発をたててもらおうと、サラリーマンを役人と勘違いして至れり尽くせりの接待をする3人。助役は袖の下をこっそり渡したり、自分のお気に入りの芸者や後家の恋人を寝床に入り込ませたり。村長は自宅に泊めて(これも、3人のうちの誰の家に泊めるか、大根をそれぞれで引っこ抜いて、一番大きい人の家に泊める、というw)、娘をこの役人の嫁にしようと考えを巡らせたり。

全部勘違いなのに、なかなか言い出せないまま、逃げ回る文太さん(東映の姿を知らないので、この役がとてもよく似合っているように思えますw)と、しっかり者で弱気の文太さんに喝を入れる池内さん(これはもう、イメージそのまま!)の組み合わせもキュート。

最後は二人で駆け落ちしよう!とバスに飛び乗りますが、残してきた父親(村長)が気になってやはりバスを降りようか、とお互いに不安になったり・・・。最後の決断は遠くに見えるバス停が答えを教えてくれる演出も素敵です。

そうそう、第二話は台詞の少ないところにたくさんの主演級の俳優さんたちが登場していて、それを見つけるのも楽しかったです!役人を出迎えるための楽団(消防団)に宇津井健さん、鳴門洋二さん、高宮敬二さんがいて、二人が乗り込むバスのバスガイドには大空真弓さん。豪華です!

 

 

第三話は、石井輝男監督。そして、石井作品の助演で存在感を発揮していた沖竜二さんがついに(!?)主演。で、沖さんの相手役が三原葉子さん。お二人とも、石井作品の常連らしく、存分にその存在感がいかされております。

沖さんは男前というわけではないのに、色悪の詐欺師がよく似合っています。葉子先生のつとめる幼稚園に子供たちのクリスマスプレゼントを届けたり、銀座で葉子先生とデートして、ダンスを優しくリードしたり、好青年の雰囲気を出しながら、隠しきれない悪っぽさ。だから、逆に本気で葉子先生に惚れちゃう展開に意外性を感じてビックリ。

そして、葉子先生も東北なまりの純朴な女性の雰囲気がよくお似合い(もともと岩手県のご出身だそうで、東北なまりが上手なのも最もなわけですが)。今回の三原葉子さん、最初は長いスカート丈のスーツに黒縁めがねの女性という地味な服装で完全防備。それが、色悪な沖さんに誘われて、少しづつ(いつものような!?)小悪魔な雰囲気に変化していくのですが・・・そんなところで素行の悪い弟(浅見比呂志)が登場して、弟に振り回されるかわいそうな姉という一面に憐れみが加わって・・・なるほど、詐欺師は詐欺じゃなくて本気で葉子先生と結婚しよう、と思うわけです。守ってあげよう!みたいな。(しかも実はセクシーだしw)

が、実は葉子先生は・・・というさらに意外な展開が待ち受けます。次々と展開するテンポの良さはさすがの石井監督で、短い時間に、いつも以上に無駄なく、ぎっしりストーリーのつまった、仕上がり。 そうそう、浅見さんがさりげに劇中で「悪魔のキッス」(『女体渦巻島』でロカビリー歌手として歌うあれ!)を歌っているのも楽しいです!

 

三話いずれも、新東宝のおなじみの俳優さんたちがイキイキと楽しそうな作品で、ストーリーもさることながら、”新東宝”が気になる人には楽しい作品。「本当はこういうのやりたかったんだよ!ずっと!」って声が聞こえてきそうな「恋愛ズバリ講座」なのでしたw

 

最後に・・・。吉田輝雄×石井輝男作品とか最初に書いてるのに、吉田輝雄はどこで絡むんだ?と思われた皆さん!(誰w)吉田輝雄は銀座でデートしていた葉子先生が酔っ払って絡んじゃう、吉田輝雄役で登場します!!

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「あなたこないだ新人賞とった。。。吉田輝雄でしょ!」

最初は迷惑そうにしながら、最後は皆でクリスマスパーティで楽しく踊る、かわいい吉田輝雄なのでありました♪ 

 

 

 

 

石川義寛監督「怒号する巨弾」

そら(天知茂のほうが)そう(惚れられるわ

怒号する巨弾 [DVD]

怒号する巨弾 [DVD]

  • 発売日: 2021/06/02
  • メディア: DVD
 

 


【映画についての備忘録その99】

石川義寛監督×宇津井健天知茂主演「怒号する巨弾」(1960年)

 

与党の代議士・内田が謎の失踪をする。失踪当夜に重工業社長・松山と会っていた事が判明し、担当刑事の宇野が事情聴取をするが有益な情報を得られなかった。しかし松山は何者かによって、内田の身柄と二人の密談を録音したテープの対価として大金を要求されていた。そして、その松山も誘拐されてしまう。行方不明となった二人が監禁されていたのはパリー座というストリップ劇場の地下であった。そこに天田(天知茂)という男が現れた。彼の父親はある航空機メーカーの社長であったが、終戦の年にこの二人の偽証によってスパイとされ、獄死した。これは彼の父親のための復讐の始まりなのであった。

警視庁は宇野警部(宇津井健)を長とした捜査本部を設置し、この事件の捜査にあたる。宇野は警視総監の志賀(九重京司)も信頼を置く、有能な刑事である。

捜査を進めるにつれ、天田の父親が逮捕された事件にたどり着く。志賀が刑事部長として捜査にあたっていたのだった。

宇野は射撃場で知り合いとなった宮本がこの天田であることに気づく。そして、宮本は復讐のため、志賀の娘・洋子(三ツ矢歌子)に近づき、二人は結婚を約束するまでになっていたのだが―

 

 

 お久しぶりの更新ですm(_ _)m我が子の卒園やら入学やらでなかなか気持ちも落ち着かず、仕事もバタバタ、で、ブログを書く余裕がなく、2カ月空いてしまいました(^-^;)(今もあまり状況は変わらないので、また次も間が空くかもですがorz)今作は昨年の秋にシネマヴェーラ渋谷でお馴染みの!?新東宝特集が組まれた時に鑑賞していたのですが、感想を書いていなかった作品。で、それが、3月になって日本映画専門チャンネルの 

上坂すみれの新東宝シアター ―天知茂、痺れるほどキザで、ニヒルで―|日本映画・邦画を見るなら日本映画専門チャンネル

で放送!録画していたのでを4月になって鑑賞し、感想も書こう!ということで。

 

宇津井健VS天知茂、ヒロインは三ツ矢歌子さん(お人形みたいな美しさ(^-^))という、新東宝スターの豪華顔合わせの映画でございます!そんなわけで、宇津井さんにも天知さんにも見せ場があって、最後は見せ場のためかな、って感じのやや強引な展開もあったり(そこが新東宝!?)。・・・も!戦争時のスパイ疑惑に端を発した復讐というサスペンスの筋、警察側にいる裏切り者の存在、思いもよらなかった協力者やーこの人はなんでこんなことしてんのかな?みたいな謎は分からないままですが(そこも新東宝!?)ーとか展開は面白くできていて、何よりこの二人の個性が存分にいかされていて、楽しめる映画でした。

 

さて、その二人。宇津井健さんは正義感あふれ、真面目さと誠実さの見本のような警察官。宇野警部は若くて優秀で、警視総監は勝手に(!?)娘との結婚を決めております。出世街道まっしぐら!だけど、宇津井さんが演じると政略結婚的な嫌な感じが微塵もないところはさすがw洋子が天田の復讐に利用されているのではないかと気付き、洋子にそれを話したりするわけなのですが、そこには曲がりなりにも婚約者として、ほかの男にひかれている彼女にヤキモキする、と言った風は感じられず(^_^;)むしろ、お父さんやお兄ちゃんのように心配しているように見えます(笑)洋子の保護者のようなこの感じは、もう、これって宇津井さんならでは!?石井作品でもそれに負けない宇津井健ワールドを作り出してしまうだけあって、恋人だとか彼氏だとか言った“熱”よりも、穏やかな空気のような安心感みたいなものが圧倒的に勝ってしまうのであります。

 

一方、天知さんの宮本(天田)は、天知さんの影のある雰囲気がいかされた、裏と表の顔を使い分けつつも、表のほうに“危険な香り”というのがにじみ出ている人物。結婚を考えていると洋子には言いながら、復讐のためなので、お父さんには付き合っている事は言わないようにと口止めしたり。安心感とは無縁な感じで、洋子と遊園地でデートしたりもしますが、先の尖った靴にビシッと決まったスーツ、ポマード(?)でガッチリ固めた髪型の男がそこにいる違和感w

 

宇野と宮本(天田)は射撃場でよく会い、互いにひけをとらない銃の名手。そして、互いに、傷痍軍人の奏でるアコーディオンの演奏に感傷で投げ銭をいれたり、と共通点を持ちながら、方や安定と安心、方や不安定で危険。お人形のように美しいお嬢様がどちらに惹かれるのか。。。想像に難くないわけです!

 

順調にすすんでいたかと思われた天田の復讐。その最後に天田は洋子を人質に別荘へ向かいます。宇野から彼の目的を聞かされていた洋子は、自分が父親への復讐に利用されたのだ、ということを明確に知ることになります。しかし、破滅がまっていると感じながらも、恋人同士として惹かれ合っていく二人。(天知さん、ドハマリで切ないのよ、この展開!)。

 

で、別荘で追い詰められた天田。なんかもう、色々とありましてwクライマックスは洋子のいるなか、草原のような場所で、宇野VS天田で、車を反対方向から走らせ、すれ違いざまに銃で撃ち合う、という決闘になります(なぜ?)。最後、これがどういう決着になるかは二人の俳優のカラーを考えただけで想像できる展開。この結末がまた、洋子は宮本のことをずっと好きなんだろう、と思わせます。で、そんな突然な決闘シーンも、三ツ矢さんも含め、スターの見せ場だったりして、唐突な展開はさておきで、見応えあり。

 

というわけで、新東宝の二大スター(で、良いの?)共演の本作、「怒号する巨弾」って、ライフル銃のことかしら?とか戦争映画のごとき壮大なタイトルからは想像つかない、復讐劇でしたが、しっかりと面白い作品で、そして何より、「そらそうよ」と納得の展開になる、スターの個性にピタリとはまる、宇野と天田の二人なのでした。

梅津明治郎監督「霧のバラード」

食うには主役が弱すぎる…!?

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【映画についての備忘録その98】

梅津明治郎監督×栗塚旭主演「霧のバラード」(1969年)

 

 乾(栗塚旭)は、なじみのスナックのママ・文江(朝丘雪路)から、坂口(吉田輝雄)という男の密航の手助を頼まれる。坂口は玄田組のヤクザだったが、ブラジルに住んでいる母が危篤だと聞いて足を洗ってブラジルに渡るつもりでいた。しかし、組を抜けると代貸に伝えたその日、背後から襲われて乱闘になって組員を一人殺害してしまい、横浜へと恋人とともに逃げてきていたのだ。乾はその恋人が、かつて自分を裏切った女・加代(佐藤友美)だとわかり、手助けを断るのだった。

 だが、翌日訪ねて来た坂口から密航の目的を聞いて、その依頼を引受けた。船は翌朝出帆することになっていた。しかし密航計画は、横浜のヤクザ・黒川興業に知られる。そして、そこには、復讐のためにつけ狙っている玄田組がいた。加代は坂口をおびき寄せるため、黒川興業に誘拐される。

 乾は、坂口が玄田組に襲撃されると、彼を顔なじみの小山外科院長に預けた。そして、黒川興業の身内だが自分を慕う三郎の協力を得て、加代を救いだした。その夜、三年ぶりに会話を交した乾は、加代が乾を裏切った理由を知る。しかし、乾は坂口が加代を愛していること、そして、加代が坂口から離れられないことを感じる。

 いよいよ、密航を決行するという晩、小山の病院から出た乾や坂口たちに気づき、港で玄田組がとうとう坂口を追い詰める…。

 

 

こちらも、『続・東京流れ者』と同様、随分前に鑑賞済みだったのですが(すでに感想をつけている「犯罪のメロディ」と同じころ観ております)、感想を書いてていなかった作品。これで、鑑賞済みの輝雄さんの映画、すべて備忘録を書くことになります( ̄∇ ̄)

タイトルはまだ”中世的な魅力”といった感じの、若き美川憲一さんの歌う曲からとられていて、”歌謡映画”であります。で、映画は美川さんの歌う姿から始まります(美川さんは映画のストーリーの中でもしっかり活躍します!)。

他の方のブログでこの作品の解説をされているものを拝見したら、石原裕次郎さんの『夜霧よ今夜も有難う』のようなお話だとか。そちらは観たことがないのですが(石原裕次郎の映画をまだ見たことがないという!)、裕次郎さん⇒栗塚さん、二谷英明さん⇒輝雄さん、浅丘ルリ子さん⇒佐藤友美さん、ということのよう。

 

映画そのもののストーリーは可もなく不可もなく、という感じでしょうか。アクションも大人の恋も、歌謡映画なので歌も!と、色々と詰め込んであります。それ故か、梅津明治郎監督、『純情二重奏』の時に感じたのと同様、色々詰め込んだものの加減を整理しきれていない感じで、揺れ動く女性の気持ちと、裏の世界を知っている男二人の、終盤にさしかかってうまれる信頼関係のようなものと、そのどれもが踏み込めてなくて中途半端な感じ。こちらが今ひとつ乗り切れないまま映画が展開します。

 

 

かつて坂口が刑務所に入っていた時期に乾と加代は出会い、二人で駆け落ちを決意します。しかし、いよいよという日、刑務所に入っていた坂口が出所してきて、加代は待ちあわせに行けなくなり、そのまま別れたという過去がありました。そして、坂口の密航を頼むため、二人は再会します。一方で、加代は出所した坂口をほおってはおけず、そして今、危篤の母のためとはいえ、殺人を犯して犯罪者になっている坂口と一緒に密航しようとしています。二人で新しい生活をしようと決めた男と、その手を引き止めてしまった男、という加代の人生の中で大きな存在である二人の男性。・・・なんだけど、再会したところから思いっきり気持ちが乾のほうにうつっていて、加代は断れなくて流れで坂口についてきているような演出というか構成というか。。。彼女からは、揺れ動く心情を感じ取ることができません。 

 

そして、男二人の信頼関係のほうも、加代を巡っての互いのわだかまりからの変化がいまひとつ見えてきません。二人とも加代に対して未練というか執着があるのを感じられるセリフが多いのですが、そこを越える信頼関係が築かれるような変化を感じとれるシーンがない。。。のに、最後、坂口は危険を顧みず乾を守る行動をとるので、それが唐突に見えてしまう(^_^;)

 

ただし(!?)、今作、アクションが意外と面白かったのです!冒頭、中盤、終盤とアクションシーンが挟まれるのですが、スピーディーで、俯瞰で見せたりとか、なかなかの面白さ!梅津監督、『純情二重奏』とか、今作のような映画よりも、アクション満載の映画のほうが向いているんじゃないかと思ったり(2作しか見てないのにこんなこというのもなんですがw)。

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冒頭、坂口が襲われるシーン。アクション、キレッキレです。

 

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このシーンもスピーディーな画面展開で面白かったです。

 

そして、歌謡映画なので、途中、美川さん以外にも西郷輝彦さんとかが、キャバレー(?)で歌うシーンがあって(そこに加代が拉致されていたからなんですけど)、とか、レコード会社も、がっつり協力。

 

さて、本編とまったく関係なさそうな見出しについて(笑)

栗塚旭さん、こうして古い邦画を見るようになる前から、テレビドラマで土方歳三役を演じてとても人気があった、ということは知っていて、当時のお写真をテレビで見たときは「かっこいいなぁ!」と思った方。…が!本作は現代劇。時代劇で活躍している俳優さんが現代劇に出てくると、「あれ?」ってなるのは思いあたる方が多いわけですが(笑)栗塚さんもそんな感じ。低音のイケボなのですが、洋服を着た立ち姿のアンバランスさが…。しかも、横にいるのが吉田輝雄なもんですから、余計に際立つ(^-^;)

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で、テレビが主戦場の方が映画に出てくるとこういうことなのかな?という感じで、例えば『伊勢佐木町ブルース』とか『網走番外地』で、主役をくっちゃう魅力を発揮する輝雄さんも、肝心の主役が弱いとその魅力も十分に発揮できないのかな!?という雰囲気(主役をたてるために控えめにしてるのかな、と勝手に想像しています。いつものかっこよさと存在感でいくと完全に栗塚さんより目立ってしまいますからね😏)。この作品の2カ月後に『やくざ刑罰史 私刑』が公開されているんですが、あの作品でみせてくれる存在感とかっこよさが、この作品では十分に伝わらない(´・ω・`)

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佐藤友美さんとの2ショットもこの格好良さなので輝雄さんのほうが似合っているのですw

 

というわけで、助演での輝雄さんの魅力を発揮するにはやはり、主役がしっかり立ってないとな!と思ったりしたのでした。

 

森永健次郎監督「続 東京流れ者 海は真赤な恋の色」

キャストも音楽も、その魅力が十分に生かされてないような・・・

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【映画についての備忘録その97】

森永健次郎監督×渡哲也主演「続東京流れ者 海は真っ赤な恋の色」(1966年)

 

出所した本堂哲也(渡哲也)は、かつての兄貴分・秀(垂水悟郎)の故郷・高知へ向かっていた。その連絡船の中で、殺し屋の健(吉田輝雄)を知ったがいつかは健と対決せねばならないことを予感した。

堅気になってやり直そうと誓い合った秀を探して、あるキャバレーに向かう。そこで踊り子をしているサリイ(松原智恵子)を訪ね、秀の居所を聞くためだった。キャバレーの客でサリイに夢中になっている浩司(杉良太郎)は、その場で瀬川組の組員と乱闘になり、居合わせた哲が喧嘩をとめる。その後、サリイに秀の居場所を聞くが、彼女からは答えをはぐらかされてしまう。

その帰り、哲は健に襲われるが、危うく逃れた。健は、かつて哲が秀と共に潰した甲田組に頼まれてやったのである。哲を救ったのは安太郎(嵯峨善兵)という老人で、哲はその紹介で波止場作業員として働き始める。安太郎はある日、家出した息子浩司を見て追いかけたが、クレーンの荷箱が崩れて下敷になった。哲は責任者の瀬川一家に乗り込むと慰謝料を請求し、安太郎の入院費にあてた。哲はその頃、節子(橘和子)という美しい娘と知り合ったが、節子の兄信次の写真を見て、それが秀であることを知る。

浩司は踊り子サリイに惚れ、サリイを好きな瀬川一家の浅吉と争っていた。そして、今では賭博で二百万の借金をこしらえて瀬川(金子信雄)に縛られていた。哲はサリイと仲良くして見せて、浩司をあきらめさせ、また、瀬川に身売りをして浩司の借金を払い、安太郎の許に帰すのだが…。

 

 

約1ヶ月ぶりの更新でございます。『東京流れ者』の感想が書かれてないのに(鑑賞済みなのですがw)、『続 東京流れ者』の感想を書いているのは、当ブログならでは、です(`・ω・´)

新しい(というか未見の古い映画w)映画を全然観れていないこともあり、鑑賞済みの輝雄さんのご出演作品の中でまだ感想を書いていなかった本作について、備忘録でございます。ちなみに、本作は『大悪党作戦』で松竹が宍戸錠さんを使わせてもらったので、そのお返しで輝雄さんが日活の映画に出た、ということだそうで。

 

 

有名な第1作をさておいての続編の感想なわけですが、1作目をしのぐ作品、というわけではなく、また、続とはいいながら、渡さんの役が”フェニックスの哲”という以外にはストーリーも作風もつながりはなくて、魅力的な要素がありながらそれを生かせていないように感じてしまった、なんだかもったいない作品でありました(´・ω・`)

 

 

さて、なぜそう感じたかというと・・・、なんとも言えない、甘っちょろい作風のせいでして。

 

渡さんは撮影当時はまだ24歳のようですが、演じるフェニックスの哲はするどい目つきや落ち着いた雰囲気はヤクザの裏の世界を散々見てきた男、という雰囲気を感じさせるには十分。1作目も含めて考えれば、信頼していた親分に裏切られたという悲しみみたいなものも背負っているよう。単身、瀬川の事務所へ乗り込むところとか、黒いスーツをビシっと着こなしていて、格好良く、存在感抜群。

輝雄さん演じる健は、連絡船の中で哲に声をかけるという『網走番外地 南国の対決』の南さんのごとし(ちなみに『~南国の対決』が66年8月13日公開、こちらが66年11月9日公開なので、これを意識して書かれた役なのかな。どんなスケジュール感で当時の映画が作られていたのか分からないのでなんともですが(^_^;))。一匹狼の殺し屋のクールな佇まい。そして、助演でいて主役をくうような魅力。

そして、裏の世界を生きるしかない者の心情を歌っているかのような歌詞と渡さんの低音の歌声が印象的な歌、「東京流れ者」。

渡哲也、吉田輝雄というアウトローないい男を演じられる俳優と、「東京流れ者」という印象深い歌を使いながら(映画のとは違う歌詞のものもあるんですね)、作品そのものはアウトローの命がけの生き様を十分に描けていない、不良青年の更生する姿をみせられているような青春映画のような印象で、“甘っちょろい”と感じたわけです。

 

 

そう感じた要因の第1は安太郎の息子・浩治。

踊り子に熱をあげて博打で借金をつくって返済のために父親の仇のような瀬川の船に乗る浩治。浩治がそんなあれた生活を送る原因となったのは節子に結婚を申し込んで断られたから、というのがきっかけ。なんだこぬるい理由はorzっていう。アウトローのシビアで暴力的な世界に、違和感のある生ぬるい不良青年・・・。その父親=安太郎に世話になっているので、哲は単身瀬川の元へ乗り込んだりして骨を折り、命をかける訳です。で、哲が命をかけるのがこの浩治のためなので、浩治の存在でストーリーが動くわけです。この辺が、アウトローの生き様というより、不良青年の甘えた生き方をみせられているような感じがしてしまう。

 

第2に、秀の妹・節子。

演じる橘和子さん(Wikipedia読んだら高橋一三の奥様なのですね!高橋さんの現役時代は知らないけどw)は透明感があってめっちゃかわいらしい女優さんだったのですが、まさに「兄の友人にあこがれる妹」とかいう青春映画っぽい設定(^_^;)サリイの松原千惠子さんとWヒロインのような扱いで、わりとしっかりとストーリーに絡んでくるので、この子供っぽい設定がやはり、『東京流れ者』というタイトルの映画に期待するものとは違う甘さ。

 

 

 

アクション部分も、輝雄さんを渡さんのライバル的な立ち位置で起用して制作しているのに、哲と健の一騎打ちの描かれ方も中途半端。ここから盛り上がる!?ってところで邪魔が入って、最後まで盛り上がりに欠けるし・・・モヤモヤ(石井監督の宍戸錠さんの扱いがひどかったからお返しですか!?と言いたくなりますwなぜこの役に吉田輝雄を起用したの?と言いたくなるような、なんとももったいない起用の仕方であります)。で、こういう部分もやはり、なんだか甘くて、ピリピリとしたアウトローの物語というより・・・と感じる要因だったり。

 

物語の最後は、続のほうも、やはり信じていた人物に裏切られる、という悲壮感ある結末なのですが、そこにいたる過程の物語が甘すぎて、その悲運も十分に感じとることができず、なんともやはり残念な感じ・・・。

 

 

というわけで、トップ画像に置いたスチル写真でも分かるように、高知城はりまや橋室戸岬、それによさこい祭りと、舞台となる高知の観光名所(ちなみに哲と節子が話しながら室戸岬高知城と移動していて、どんだけ長い話してんねん!と思いましたがw)を楽しんだり、渡さんと輝雄さんの格好良さを楽しんだりしながらも、それらが生かしきれてないように思えて、微妙な気分になった鑑賞後。『東京流れ者』と同じく鈴木清順監督だったら、どんな面白い映画になっていたんだろう、なんて思いつつ。。。

 

 

【特別編!?】

↓の記事でもお名前を出させていただいた真壁さんから教えていただいたお話。

kinakossu.hateblo.jp

 

渡哲也さんは青学のご出身。松竹でご一緒で輝雄さんと仲の良かった竹脇無我さんが青学出身だったこともあり気にかけておられたようで、映画の撮影中に「竹脇さんはお元気ですか」 と尋ねてこられたとか。

そして、この4年後、渡瀬さんが『殺し屋人別帳』で輝雄さんと共演することが決まって、輝雄さんに電話をされ「弟をよろしくお願いします」という丁重なご挨拶があったそうで、輝雄さんも石原裕次郎さんが後継者として任せるだけのことはあると痛感されたそう。

 

こんなお話を伺い、渡哲也さんって、映画やドラマをはじめ、メディアを通して伝わるイメージ通り、人間的にも素晴らしい方だったのだなぁ、と思うのでありました!

本多猪四郎監督「ガス人間第1号」

異形の者への畏怖か愛か。恋愛映画の良作を観る。

ガス人間第1号

ガス人間第1号

  • 発売日: 2014/07/01
  • メディア: Prime Video
 

 

 【映画についての備忘録その96

本多猪四郎監督×八千草薫・土屋嘉男主演「ガス人間第1号」(1960年)

 

 

吉祥寺の銀行で強盗殺人事件が発生した。五日市街道を逃走する犯人の車は、それを追跡していた警視庁の岡本警部補(三橋達也)の目の前で崖から転落する。しかし、放置された車の中に犯人の姿はなかった。付近を捜索した岡本たちは、日本舞踊の名門だが今は没落して弟子たちもいなくなり寂れてしまった春日家の屋敷にたどり着く。付近に民家のない場所で、岡本たちはここに犯人が逃げ込んだのではないかと目星をつけて中に踏みいるが、そこで春日流家元・春日藤千代(八千草薫)の美しい姿を目撃する。

その数日後、再び五日市街道付近で強盗殺人事件が発生したが、今回は密室状態の金庫室から金が持ち出され、金庫内にいた銀行員が気管に謎のガスを詰められて殺害されるという、不可解な犯行。続いて、三度目の強盗事件が発生して犯人は現行犯逮捕されたが、一度目と二度目の事件で奪われた現金の隠し場所を吐こうとはしなかった。

一方、貧窮していたはずの春日流は絶縁状態だった弟子たちに大金を配って呼び戻し、実行できずにいた発表会の準備を始めるなど、突然羽振りが良くなる。岡本は彼女が事件に関与していると推理し、恋人の新聞記者・甲野と共に藤千代の身辺を捜査する。岡本の読み通り、藤千代の持っていた紙幣と事件で盗まれた紙幣のナンバーが一致していることが発覚、藤千代は逮捕される。
そんな時、警視庁に水野(土屋嘉男)と名乗る男が自首してきた。彼は自分が一度目と二度目の事件の真犯人であり、三度目の事件は模倣犯だと断言する。騒然となる刑事や新聞記者達の前で、証拠に二度目の事件の手口を再現しようという。彼らの眼前で自身の体をガス化してみせ、鉄格子をすり抜けて銀行員を殺害し、密室状態の金庫室から脱出してみせる。水野はかつて生物学の権威・佐野博士による人体実験を受けた結果、自らの肉体をガス化させる能力を得てしまったガス人間だったのである。彼は、世間に藤千代を再評価させるために発表会を実現させようと、そのための資金を手にいれるための犯行を重ねていたのだった・・・。

 

 

今年最後の映画鑑賞は『鬼滅の刃 無限列車編』で、おおいに楽しんできたのですが、そこの感想はこのブログではスルーして(笑)色々あって現実かSFか分からないな、と言いたくなるような2020年最後の感想は、SF映画。というか、日本が誇る円谷英二が特撮監督をつとめる特撮映画。…なのですが、見終わったあとに残る余韻は、恋愛映画のそれ。「電送人間」の感想を書いた際に、RedPine様からもオススメいただいていた本作ですが、たしかに、良作で、特撮技術を楽しむというような枠組みを超えた作品で映画として十分に楽しむことができました。

 

本多監督と言えばゴジラ、という程度の知識ですが(それしか観たことなかったですし(^-^;))、「ゴジラ」が怪獣映画というよりも戦争映画として人間を描いてる物語に感じたのと同様、こちらも特撮の面白さでエンタメ性をもたせながら、本題は人間を描いてる、と感じる作品(特撮や怪獣映画をどこか子供向けのものと思ってしまうの、良くないな、とは思いつつ(^_^;))。

その物語がうまく行っているのは、八千草薫さんと土屋喜男さんのお二人のキャスティングのはまり具合によるところが大きかったかな、と。

 

 

日本舞踊の家元の藤千代・八千草さん、最初は般若のお面をつけて舞っていて、そこへ岡本警部補たちがやってきます。恐ろしい般若の面をとると、藤千代の美しい姿。岡本が見とれてしまうのも納得で、ガス人間に対し、彼女もまた夢か幻かといった、人ではないのではと思ってしまうような美しさ。なおかつ、どこか憂いを帯びていて、物語の悲しい結末を予感させ、また、物語の深さを感じさせるようでもあるのです。

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そして、ガス人間である・水野。彼が最初に登場したのは藤千代が通う図書館で司書をしているので、捜査をしている岡本から、藤千代が何を借りていったのかを聞かれるだけ。まずこの、何と言うこともない役に土屋喜男さんががっつりハマっています。THE 普通。土屋喜男さんを今作で初めて認識した(「電送人間」にも出ておられたようでしたが、全然思い出せず、でしたw)知識の乏しい私は“怪しい”とも思わず、真面目な男性、という印象のみ。

航空自衛隊に入りたかったが体格ではねられてしまい、図書館の職員となった水野。図書館の職員であれば仕事をしながら勉強ができるかもしれない、という志をもっていましたが、そう思うようには行かず。無為に時が過ぎていくなか、佐野博士が現れます。

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このくだり、若い水野の、何も成し遂げられないまま歳を重ねてしまうのかという焦燥感とか、苛立ちが伝わります(土屋喜男さん、こういう役が得意な方だったのかな。旧作邦画、鋭意お勉強中のため知識不足なところはご了承ください(^_^;))。水野の生真面目さ、繊細さ、脆さ、を感じられ、それが、藤千代を世間に評価させるために犯罪を犯していくことも厭わない一途さや情熱と地続きなのだ、と理解できるのです。

 

で、この二人に目をつけて追いかける三橋達也さん演じる岡本警部補が、体育会系な感じの”陽”な人間だったりするので、その反対側にいるような藤千代と水野のもつ、人ではない何かを抱えた人間の悲しさが際だって見えてきて。

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これは十津川警部

 

だから、最初は金や、ガス人間への恐怖で、彼に繋がれているのかと思われた藤千代が、やがてそれぞれのもつ悲しさみたいなものが共鳴して、それだけではない彼女の意志がそこにあって、彼を受け入れているのだ、と感じられるようになります。

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そうしてついに発表会を開くことができた藤千代。しかし、その当日、二人は悲しい結末を迎えます。

 

この結末へと向かうシークエンスは”ガス人間”をテーマにするにふさわしい、特撮作品らしい展開で、その面白さや映像技術に対する驚きもたっぷり。でも、私にはそれよりも、水野の藤千代への一途な愛とそれを受け入れた藤千代の二人の思いの終わり方、その切なさが印象深くて余韻が残り、見出しの通り、良作の恋愛映画を観たようなそんな鑑賞後でありました。 

 

 

 

【おまけ】

ちなみに、佐野博士の研究室はこれ。これぞ特撮作品。

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